THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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地方のMaaSにライドシェアは不可欠

昨年訪れたフィンランドとエストニアのMaaSを含めたモビリティサービスのセミナーを、所属する日本福祉のまちづくり学会が昨日開催したので参加してきました。昨年このブログでも取り上げたように、モビリティではフィンランドはMaaS、エストニアは首都タリンの公共交通無料化と、直線距離100km以下にもかかわらず異なるアプローチをしていますが、今回のセミナーでは共通する部分を教えられました。

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それはタクシーとライドシェアの扱いについてです。拙著「MaaS入門〜まちづくりのためのスマートモビリティ戦略」でも書きましたが、  フィンランドはMaaS導入に合わせて法律を改正。タクシー不足解消のために規制緩和を行い、ライセンス取得の敷居を下げ、Uberなどのライドシェアでも資格を取れば合法としています。エストニアも似たような状況で、タクシーとライドシェアが並立しているそうです。

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欧州でも英仏独など昔からタクシーが普及している国を中心に、ライドシェア撤退を求める動きが起こりましたが、日本のように事業そのものを禁止するわけではなく、一定のライセンスを取得すれば営業可能という方向を選択する国が多くなっています。フィンランドやエストニアの現状はその流れの上にあるようです。

フィンランドの首都ヘルシンキでは、MaaSグローバル社のアプリWhimで選択するタクシーにライドシェアが含まれます。タリンは前述のように市民は公共交通無料ということもあり、交通全体をカバーするMaaSはまだ存在せず、タクシーとライドシェアの配車アプリがメインだそうです。主役級はエストニア発で世界34か国に展開するBolt(Taxifyから名称変更)で、Uberのように電動キックスケーターやフードデリバリーも手がけているようです。

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なぜライドシェアが必要なのか。これも拙著で紹介しましたが、スウェーデンのMaaSアプリUbigoが同国第二の都市ヨーテボリでトライアルを実施した際の結果が参考になると考えています。MaaS導入前と導入後でもっとも大きく増えた移動手段がカーシェアリングだったからです。鉄道やバスはやはり限られた場所しか走っていないので、ラストマイルを含めたそれ以外の移動を気軽に使えることを住民は望んでいたようです。

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一方今年4月、日本で初めてウーバーのアプリを地域交通に導入したことで知られる京丹後市旧丹後町地域の「ささえ合い交通」を利用した際には、地方では移動の需要が少ないことに加え、運転手も不足しており、市民同士が移動を支え合うことが必要であると感じました。フィンランドとエストニアも日本に劣らず高齢化が進み、なおかつ人口はわが国より圧倒的に少ないわけで、同様の悩みを抱えているのではないかと想像しています。

こうした状況にある地方で、移動の利便性や快適性を高めるためにMaaSを導入するなら、やはりライドシェアは重要ではないかという意見が、昨日のセミナーで出されました。同感です。日本のタクシー業界は相変わらずライドシェアを「危険な白タク(タクシーが安全と断定できないことは以前書いたとおりです)」と敵視していますが、タクシーやバスが撤退した地で誰が移動を担うのか、真剣に考えるべき時期に来ていると感じました。

JR初の路線復活と新病院の関係

日本では鉄道やバスの路線が一度廃止されると、復活することは滅多にありません。そんななか2017年、広島市内を走るJR西日本可部線が、それまでの終点だった可部駅から1.6km西のあき亀山駅まで延伸しました。可部線はかつて、広島市に隣接する安芸太田町の三段峡駅が終点でしたが、2003年に可部〜三段峡間が赤字を理由に廃止されました。つまり2年前の開業区間は復活でもあり、JRがいったん廃止した路線を蘇らせた初めての例になります。

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可部線は第二次世界大戦前に広島市内の横川〜可部間が私鉄によって開業したあと国有化され、戦後三段峡まで延伸という経緯を辿っており、もともと可部駅までは電車、それ以遠はディーゼルカーで運行していました。可部駅以遠の赤字が目立っていたので、列車の運行が分かれている可部駅より先を廃止したようです。

Google マップ

しかしGoogleマップで見ると、市街地は可部駅の西側にも広がっていることが分かります。JRは運行上の分岐点である可部駅から先を廃止にしましたが、河戸(こうど)地区の住民を中心に電化延伸の運動が起こりました。広島市がこの声を聞き入れて動き出し、JRやバス会社との協議を重ね、以前県営住宅があった場所までの延伸が実現したのです。

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復活区間には河戸帆待川・あき亀山の2駅が設けられました。廃止前はこの中間に河戸駅があり、2駅先に安芸亀山駅がありました。ゆえに終着駅は「あき」がひらがな表記になったようです。以前は駅がなかった場所なので、駅北側は住宅が点在しており商店などはありません。一方駅南側の県営住宅があった場所は整備が進んでおり、この地に市民病院を建設するという看板がありました。

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広島市は可部線延伸とセットで市民病院移設を考えており、市長が突然発表したことから市議会で賛成反対が同数になり、議長裁決で一度否決されましたが、その後現病院と新病院を並立させる方向で落ち着きました。現病院で地域医療を継続しつつ、新病院で 高度・急性期医療機能、災害拠点病院及びへき地医療機関としての機能を担当するそうです。合わせて南側を流れる太田川の治水対策も進めるようです。

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安佐市民病院についての広島市の資料 = http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1449473900183/simple/08-sankou.pdf

現在の病院は市街地にありますが、可部線中島駅から徒歩10分、可部駅から徒歩15分を要し、最寄りのバス停留所からも徒歩5分と、高齢者が公共交通でアクセスするには不便です。市街地にあるので駐車場が狭く、ヘリポートがないという欠点もあります。一方の新病院はあき亀山駅と屋根付き通路で結ばれ、駐車場も広く確保してあります。 ここを拠点としたバス路線整備の計画もあります。

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つまり可部線再延伸は、総合病院のような施設を誘致することで、地域輸送を維持するうえでの一定の需要を確保するという判断もあったのではないでしょうか。高齢化が進む今の日本で、医療施設と公共交通をつなげることは大切であり、導入のプロセスに問題があったかもしれませんが、まちづくりという観点では納得できるプランです。今はまだ駅がポツンとあるだけなので、新病院開院後の状況をまた見てみたいと思います。

京都のモビリティイベントのご案内

先週に続いてイベントの紹介をさせていただきます。今回は京都府のけいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)で10月3〜4日に開催される「京都スマートシティエキスポ2019」と、併催される「ネクストモビリティExpo2019」です。

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このネクストモビリティExpo2019の3日のラウンドテーブルで、富山のモビリティ改革について報告をさせていただきます。メインは富山ですが同じ北陸の福井、そして地元関東の宇都宮の交通改革についても、最近書籍にまとめたMaaS分野の話題を含めて触れたいと思っています。 

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京都スマートシティエキスポ2019は、ICTの進展によってスマートシティの実現が進む中、少子高齢化や生産年齢人口減少による社会活力の低下、地方衰退などの社会的課題を克服するため、「超快適」スマート社会の創出にチャレンジするとともに、持続的なオープンイノベーション機能を基盤とした新たな事業化、産業化を促進する仕組みの構築を目指して開催するものです。


併催のネクストモビリティExpo2019は、地球温暖化、少子・高齢化、過疎化などの社会課題によって大きな転換期を迎えている交通関連産業の「次世代」にフォーカスし、自動運転、電気自動車、小型低速モビリティ、これらをITによって効率・最適化する交通システムなど、最新技術とビジネス動向をお伝えしていきます。基調講演やトークセッションが行われる他、低速モビリティの試乗もできるそうです。

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京都スマートシティエキスポは、スペインのバルセロナが世界展開する「スマートシティエキスポ世界会議」との連携で2014年から開催しており、昨年の入場者数は1.2万人を超えるほどの規模を誇ります。オフィシャルサイトを見ると、有力企業が多数協賛しており、講演プログラムには「MaaSの父」と呼ばれたMaaS Globalサンポ・ヒエタネンCEOをはじめ錚々たる方々が名を連ねています。

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いずれも入場無料とのことなので、ご興味のある方はぜひ足をお運びください。会期中は近鉄京都線新祝園駅およびけいはんな線学研奈良登美ケ丘駅、JR学研都市線祝園駅から会場まで無料バスが運行されるそうです。よろしくお願いいたします。
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