THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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サンフランシスコはケーブルカーだけじゃない

先週に続き米国を取り上げます。今回はニューヨークの前に訪れたカリフォルニア州サンフランシスコです。サンフランシスコの乗り物と言えばまずケーブルカーを思い出すでしょう。1873年に開通した、現存する世界最古のケーブルカーであり、坂の多い港町を象徴する存在になっています。しかしサンフランシスコの公共交通はケーブルカーだけではありません。

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ケーブルカーはMuniの愛称で知られるサンフランシスコ市交通局が運行していますが、Muniはこれ以外にメトロ、ストリートカー、バス、トロリーバスも走らせています。メトロは昔からある路面電車をベースとして、都心部を地下化するとともに郊外への路線延伸をしたもので、車両は日本や欧州のLRTで使われているものに似ています。米国で生まれたLRTという言葉の語源、ライトレールという呼び名を実感できる交通手段です。

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ストリートカーはメトロが地下化したマーケット・ストリート上の線路を活用しており、レトロな車両が走っています。ケーブルカーに近い位置づけかもしれません。同じ場所には市内各方面へ向かうトロリーバスやバスも走行しており、停留場も共用していました。欧州でもよく見られる手法ですが、乗り場が集約されていて便利に感じました。

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鉄道としてはこのほか、サンフランシスコ国際空港やサンフランシスコ湾岸のオークランド、リッチモンドなどを結ぶBART(ベイエリア高速鉄道)、シリコンバレーのマウンテンビュー、サンタクララ、サンノゼ方面に伸びるカルトレインがあります。これらはMuniとは別組織ですが、クリッパーカードという共通カードがあれば乗ることができます。

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サンフランシスコにはニューヨークやポートランド同様、自転車シェアリングもあります。特筆すべきは自動車会社のフォードが運営していることです。ニューヨークなどで自転車シェアリングを手掛けるモティベート社からサービスを受け継いだもので、2017年にフォード・ゴー・バイクの名前でサービスを開始。サンフランシスコのほかサンノゼなど5都市で7000台が稼働しています。

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サンフランシスコ湾岸の都市の間にはフェリーも運行しています。フェリーターミナルに到着した船を見ていると、歩行者に混じって自転車を押す人も目立ちました。訪れた日が比較的温暖だったためもありますが、米国の中では自転車利用が多い都市という印象を受けました。

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サンフランシスコは半島の上にある都市で、川に囲まれたニューヨークのマンハッタン同様、周辺からアクセスする道路は渋滞に悩まされているようです。これが公共交通重視のまちづくりにつながったのでしょう。さらに周辺にIT企業が集結している関係で、歴史ある街なのに若さを感じます。これが昔ながらのケーブルカーとフォードの自転車サービスが同居するシーンを作り出しているのかもしれません。

マンハッタンの道づくり

仕事で初めてニューヨークを訪れました。観光をする暇はほとんどなかったのですが、マンハッタンのホテル周辺を歩いてみると、他の大都市とはひと味違う道づくりをしていることが分かりました。

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マンハッタンは川に囲まれた南北に細長い島で、面積は東京の山手線内とほぼ同じ。碁盤の目のような道は19世紀初めに整備されたそうで、比較的新しい街であることが分かります。特徴は多くの道が一方通行であること。大阪市などにも見られますが、おかげで車線を多く取ることができています。

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多くの道ではその車線を自転車レーンに活用していました。それも駐車・駐輪スペースの外側に設置してあるので、駐車スペースに出入りする自動車との接触も防げそうです。さらにテーブルやイスを置いて歩行者のための小さな広場としている場所もありました。近年治安が良くなったことで、このような取り組みが可能になったのかもしれません。

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サインや標識が整理されていて見やすいことにも好感を抱きました。下の写真の縦長の案内図は全体図と拡大図、主な場所の方向を簡潔に示してあり、とても見やすいものでした。バスレーンやバスシェルターが整備してあることも分かります。駐車禁止などの標識は簡潔な表現の文字で示すものが多く、景観に溶け込ませようという工夫を感じました。

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このように歩行者や自転車にとっては優しい街である一方、自動車は各所で渋滞が発生しており、走りやすいとは思いませんでした。特に島の外側とを結ぶ道路は、東側のイースト川は6本、西側のハドソン川は州が異なる(ニュージャージー州)こともありわずか3本しかなく、写真のリンカーントンネルは入口上の導入路のさらに奥から車列が続いていました。

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ニューヨークはマンハッタンとそれ以外の地域とで景色がまるで違います。自動車中心のまちづくりは景観を均質化すると多くの専門家が指摘していますが、ニューヨークはルドルフ・ジュリアーニ元市長が治安改善に尽力し、歩行者や自転車に優しいまちづくりを進めたことが、マンハッタンの魅力をさらに引き上げているように感じました。

自動運転車が走り続けるために

3月18日、米国アリゾナ州テンピでウーバー・テクノロジーズ社が公道で実験走行中の自動運転車が、死亡事故を起こしたことは、多くの方がご存じだと思います。すでに現地の警察が映像とともにコメントを発表しており、現地のメディアもさまざまなニュースを配信しています。この場を借りて亡くなられた方にお悔やみを申し上げます。

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私は今月上旬、ペンシルバニア州ピッツバーグの公道で同社の自動運転車に乗ったばかりで、試乗に先駆けて説明も受けました。原因解明はしばらく先になりそうですが、これまでの自動運転車体験も踏まえ、今の時点で考えていることを記すことにします。

映像を見る限り、横断歩道ではない場所で暗闇の中から突然自転車を押した歩行者が飛び出してきており、避けることは難しいという警察のコメントには同意します。また歩行者の側からヘッドライトは見えていたはずであり、自分が歩行者として同じ状況にいたら、このような行動は取らないでしょう。 

誤解している人もいるようですが、自動運転車であってもエンジンやモーター、ステアリング、ブレーキなどのメカニズムは通常の自動車と基本的に共通です。よってブレーキを掛けてから停止するまでの距離は同一です。事故がゼロになるわけではなく、人間のミスを少なくすることで事故を減らす技術です。さらに言えば自動運転車も人間が作るので、開発生産時のミスも考えられます。

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またウーバーは現在全米4か所で200台以上の自動運転車の実験を行っており、2016年1月からの2年間の累計走行距離は320万kmに達するそうです。平均的な人間が一生の間に運転する距離の数倍の経験を積む中で起きた事故と言えます。

一方で今回の自動運転車は、衝突前にブレーキやステアリング操作がなかったという報告があります。センサーやAIが正規の機能を果たしていなかった可能性があります。このようなトラブルになった際、現在実験走行中の多くの自動運転車は、運転席に座るオペレーターに運転を代わってもらうメッセージを出すはずですが、オペレーターの様子から見る限り、そのような兆候がなかったようです。

さらにオペレーターは、自動運転技術で対応できない障害を発見したときには、自主的に運転を変わります。自分がウーバーを含め、今年公道で乗った3台の自動運転車は、路上駐車車両などを追い抜く際に手動に切り替えていました。映像を見る限り、今回のオペレーターはこうした対応もしなかったようです。

しかしこうした状況を理由に自動運転を否定することは早計だと思います。

事故報道を見ながら思い出したのはジェット旅客機の歴史です。世界初のジェット旅客機は英国デ・ハビランド社のコメットでしたが、与圧と減圧の繰り返しで機体の金属疲労が想定以上に進み、2度の空中分解事故を起こし多数の犠牲者を出しました。しかし現在、多くのジェット旅客機が世界の空を飛んでいます。コメットの教訓を安全対策に生かして進化を続け、社会の要求に応えたのです。

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自動運転が必要と考える社会もまた存在します。その代表はこのブログで何度も報告してきたように高齢化が進む過疎地で、公共交通は採算悪化のうえに運転手不足もあって廃止や減便が進み、多くの住民が日々の移動に困っているような場所です。注目したいのは、こうした場所で実験を重ねている車両の多くが最高速度約20km/hという低速で走行していることです。

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スイスのシオンで無人運転バスに乗車中、歩行者が直前に飛び出してきましたが、低速なので瞬時に停止し事なきを得ました。そして今回の死亡事故。現状の技術を考えれば、まず低速走行の公共交通として実用化するのが社会的にも理に叶っているのではないでしょうか。歩行者は永遠に自動化されません。だからこそ徐々に速度を上げつつ、人間とAIが力を合わせて歩行者との付き合い方を考えていくことが大事だと思います。
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