THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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BRT=連節バスではない

少し前のブログでご紹介したように、今日は「横浜にLRTを走らせる会」が毎年夏に開催している「LRTフォーラム」で講演をさせていただきました。テーマは以前触れたように「道路は人のために 交通は街のために」でしたが、最後のほうで、最近LRTを語る際に比較対象として登場することが多いBRTにも触れました。

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BRTとはBus Rapid Transitの略で、バス高速輸送システムと訳されるのが一般的です。専用レーンを確保するなどして、定時性を高めるところに最大の目的があります。しかし日本のBRTを見てみると、連節バスの導入がBRTであると勘違いしている自治体があるようです。BRTがBus Rensetsu Transit(連節バス輸送システム)の略であるかのような解釈です。

連節バスは通常のバスより速く走れるわけではありません。乗車定員は多く、乗降口も多くなるので、乗り降りのスピードは速くなるような気がしますが、現在のように運転手が1か所で料金収受を行う方式だと、乗客が多い分時間が掛かることになります。定時性確保のためには専用レーンの整備が不可欠であり、それが無理ならBRTと名乗るのは控えてほしいと考えます。

たとえばパリでは、2000年からバスレーン「モビリアン(Mobilien)」の整備を進めています。写真のように一部は自転車レーンと共用しています。定時性確保のほか,、排気ガス削減という環境対策も込められており、バスの所要時間は平均で25%切り詰めることができたそうです。車両は通常のバスと共用であり、BRTという言葉こそ使っていませんが、実態は日本の一部のBRTよりもBRTに近い内容です。

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最初の写真は同じフランスのルーアンを走るBRT(旧塗装)で、専用レーンを用意するだけでなく、運転席上にカメラを装着し、停留所付近で自動操縦を行い、車両と停留所の隙間をLRT並みに狭め、車いすやベビーカーがそのまま乗り降りできるユニバーサル性能をも実現しています。公共交通に賭けるフランスの本気を感じるシステムです。

日本の自治体の中には、LRTを走らせるには車道の幅を減らさなければならず、渋滞を助長するので及び腰というところが見られますが、本物のBRTでもそれは同じことです。費用が膨大になるからLRTを諦め、渋滞が発生するからBRTも諦め、という消極的な考え方で、真の交通改革ができるのでしょうか。整備費用を抑えることも公共交通にとっては大切ですが、利用者にとって快適な移動手段を提供することはもっと大切であると考えます。

バスとタクシーの間が求められている

今週木曜日、仕事でつながりのある2つの会社から、相次いで案内が届きました。そこで取り上げている乗り物が偶然にも似たような方向性を持っていたので、まとめて取り上げることにします。

ひとつは日本のヤマハ発動機が発表した、デザインコンセプト「GEN」の第5弾・第6弾となる「05GEN」「06GEN」です。2台の車両は瀬戸内海に浮かぶ大三島で建築家の伊東豊雄氏が指揮する「島づくり」活動に賛同し、生活圏内や旅先での短い距離をゆっくり移動するモビリティとしてデザインされました。

05GENは体を優しくくるむ「衣」をイメージした電動アシスト3輪自転車、06GENは内でも外でもない曖昧な空間「縁側」をイメージした電動4輪車(写真)だそうです。2台は大三島の今治市伊東豊雄建築ミュージアムで7月2日に開催されるリニューアルオープン内覧会と翌日のトークイベントで展示され、05GENはその後もミュージアムで展示するそうです。

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05/06GENのウェブサイト=http://global.yamaha-motor.com/jp/profile/design/features/concepts/0506gen/

もうひとつは、このブログで何度か紹介しているCityMobil2プロジェクトに関わるEPEL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)からスピンアウトした、ローザンヌのIT企業BestMileが、シオンという人口約3万人の都市で2年間、 住民や観光客向けの自動運転バス「スマートシャトル」を運行するというものです。

車両はフランスのベンチャー企業、Navyaが 2015年に開発したARMA で、 乗車定員は15人、最高速度は45km/hです。インターネットで走行ルートをチェックすると、ゾーン30に指定されている旧市街の石畳で、距離は500mほどですが、 一般人を乗せて公道を走る自動運転プロジェクトはこれが世界初だとBestMileは表明しています。

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スマートシャトルのウェブサイト=https://bestmile.com/2016/06/23/bestmiles-first-commercial-project-smartshuttle-is-officially-launched/

ヤマハ06GENとNavya ARMAは、箱型の車体だけでなく、電動で走行すること、ゆっくり移動することなども共通しています。これは偶然ではないと考えています。バスとタクシーの中間の乗り物が、世界的に求められているのです。日本でも過疎地域の移動の主力、デマンド交通では主に小型のワンボックスカーが使われています。06GENはシェアやレンタルを前提としていますが、自動化およびスマートフォンによる料金決済を行えば、スマートシャトルに限りなく近づきます。

現状ではバスとタクシーは完全に作り分けられ、バス業界とタクシー業界は別物とされていますが、移動のニーズの変化はそのジャンル分けに当てはまらなくなっています。車両の開発のみならず、利用者や関係者の考えも変えるべき時期に来ているのではないかと、同じ日に届いた2つのニュースを見て思いました。

道路は人のために 交通は街のために

日本でも遅ればせながら、LRT(次世代型路面電車システム)をはじめとする新しい公共交通システムの導入を、各都市で検討するようになりました。しかしながら、LRTを走らせることそのものが目的となっていたり、LRTと自動車交通を敵対関係に置いたりという、欧州での成功事例とは異なる状況も散見されていることが気になってもいました。

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そんな中、新しい公共交通の導入を検討している我が国第2の都市、横浜市で7月2日に開催される「LRTフォーラム」で講演をさせていただくことになりました。

LRTフォーラムは、2003年に設立された「横浜にLRTを走らせる会」が、5年後に設立された「横浜の公共交通活性化をめざす会」との共催で、毎年夏に開催しているものです。プログラムにあるとおり、専門的なお話は他の方からしていただくことになっているので、私はさまざまなモビリティを見てきた立場からの話題を提供したいと考え、タイトルにあるようなテーマとしました。

最初の写真はフランスのパリで撮影したものです。道路は自動車のものでも、LRTのものでもなく、人間の多彩な移動に対応した空間になっています。しかもLRTがこの道路を走っているのは、地下鉄やバスといった既存の交通と連携して都市の移動をスムーズにするためという、明確な理由があります。こうした話題を、他の国内外都市での実例を交えながら提供したいと考えています。

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  横浜にLRTを走らせる会ウェブサイト=http://lrt.cocolog-nifty.com

LRTフォーラムが開催される波止場会館は、横浜の象の鼻パーク脇にあり、みなとみらい線日本大通り駅より徒歩4分、市営バス26系統大桟橋停留所より徒歩3分です。参加費は一般1000円、学生500円で、事前申し込みは不要です。多くの方のご来場をお待ちしております。よろしくお願いいたします。

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