THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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バスとタクシーの間が求められている

今週木曜日、仕事でつながりのある2つの会社から、相次いで案内が届きました。そこで取り上げている乗り物が偶然にも似たような方向性を持っていたので、まとめて取り上げることにします。

ひとつは日本のヤマハ発動機が発表した、デザインコンセプト「GEN」の第5弾・第6弾となる「05GEN」「06GEN」です。2台の車両は瀬戸内海に浮かぶ大三島で建築家の伊東豊雄氏が指揮する「島づくり」活動に賛同し、生活圏内や旅先での短い距離をゆっくり移動するモビリティとしてデザインされました。

05GENは体を優しくくるむ「衣」をイメージした電動アシスト3輪自転車、06GENは内でも外でもない曖昧な空間「縁側」をイメージした電動4輪車(写真)だそうです。2台は大三島の今治市伊東豊雄建築ミュージアムで7月2日に開催されるリニューアルオープン内覧会と翌日のトークイベントで展示され、05GENはその後もミュージアムで展示するそうです。

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05/06GENのウェブサイト=http://global.yamaha-motor.com/jp/profile/design/features/concepts/0506gen/

もうひとつは、このブログで何度か紹介しているCityMobil2プロジェクトに関わるEPEL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)からスピンアウトした、ローザンヌのIT企業BestMileが、シオンという人口約3万人の都市で2年間、 住民や観光客向けの自動運転バス「スマートシャトル」を運行するというものです。

車両はフランスのベンチャー企業、Navyaが 2015年に開発したARMA で、 乗車定員は15人、最高速度は45km/hです。インターネットで走行ルートをチェックすると、ゾーン30に指定されている旧市街の石畳で、距離は500mほどですが、 一般人を乗せて公道を走る自動運転プロジェクトはこれが世界初だとBestMileは表明しています。

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スマートシャトルのウェブサイト=https://bestmile.com/2016/06/23/bestmiles-first-commercial-project-smartshuttle-is-officially-launched/

ヤマハ06GENとNavya ARMAは、箱型の車体だけでなく、電動で走行すること、ゆっくり移動することなども共通しています。これは偶然ではないと考えています。バスとタクシーの中間の乗り物が、世界的に求められているのです。日本でも過疎地域の移動の主力、デマンド交通では主に小型のワンボックスカーが使われています。06GENはシェアやレンタルを前提としていますが、自動化およびスマートフォンによる料金決済を行えば、スマートシャトルに限りなく近づきます。

現状ではバスとタクシーは完全に作り分けられ、バス業界とタクシー業界は別物とされていますが、移動のニーズの変化はそのジャンル分けに当てはまらなくなっています。車両の開発のみならず、利用者や関係者の考えも変えるべき時期に来ているのではないかと、同じ日に届いた2つのニュースを見て思いました。

道路は人のために 交通は街のために

日本でも遅ればせながら、LRT(次世代型路面電車システム)をはじめとする新しい公共交通システムの導入を、各都市で検討するようになりました。しかしながら、LRTを走らせることそのものが目的となっていたり、LRTと自動車交通を敵対関係に置いたりという、欧州での成功事例とは異なる状況も散見されていることが気になってもいました。

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そんな中、新しい公共交通の導入を検討している我が国第2の都市、横浜市で7月2日に開催される「LRTフォーラム」で講演をさせていただくことになりました。

LRTフォーラムは、2003年に設立された「横浜にLRTを走らせる会」が、5年後に設立された「横浜の公共交通活性化をめざす会」との共催で、毎年夏に開催しているものです。プログラムにあるとおり、専門的なお話は他の方からしていただくことになっているので、私はさまざまなモビリティを見てきた立場からの話題を提供したいと考え、タイトルにあるようなテーマとしました。

最初の写真はフランスのパリで撮影したものです。道路は自動車のものでも、LRTのものでもなく、人間の多彩な移動に対応した空間になっています。しかもLRTがこの道路を走っているのは、地下鉄やバスといった既存の交通と連携して都市の移動をスムーズにするためという、明確な理由があります。こうした話題を、他の国内外都市での実例を交えながら提供したいと考えています。

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  横浜にLRTを走らせる会ウェブサイト=http://lrt.cocolog-nifty.com

LRTフォーラムが開催される波止場会館は、横浜の象の鼻パーク脇にあり、みなとみらい線日本大通り駅より徒歩4分、市営バス26系統大桟橋停留所より徒歩3分です。参加費は一般1000円、学生500円で、事前申し込みは不要です。多くの方のご来場をお待ちしております。よろしくお願いいたします。

駅舎は機能か文化か

今週水曜日、JR東日本が、2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを前に、いくつかの駅の改良計画を発表しました。新国立競技場に近い中央線の千駄ヶ谷および信濃町、代々木競技場に近い山手線の原宿駅について、改札口やコンコースの拡張、ユニバーサル対応、臨時ホームの活用などを行っていくそうです。

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このニュースで話題となったのが原宿駅舎です。1924(大正13)年に建てられた現駅舎は構内や通路が狭く、慢性的に混雑しているとして、新たにホームの上に、駅の南側に掛かる神宮橋に面した駅舎を作るというもので、現駅舎の存続が注目されています。

 JR東日本の計画図によると、横断歩道の目の前にある現駅舎は、新駅舎の敷地にはギリギリで含まれていないようです。しかし元駅舎をどうするかは明記されておらず、新駅の構想からは外れているようです。駅としては使わないので他の用途で使う方がいればどうぞ、というメッセージであると受け取っています。

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JR東日本のプレスリリース=http://www.jreast.co.jp/press/2016/20160605.pdf

私は渋谷区民のひとりとして、現駅舎は駅の機能から切り離し、異なる用途で活用すべきだと思っています。東京都内でもっとも古い木造駅舎であり、 原宿の玄関口として長い間親しまれてきたという文化的価値が大きいと思っているからです。

東京都や渋谷区がJR東日本から駅舎を譲り受け、活用するのが一般的になるでしょう。その場合、施設管理のみを都や区が行い、運営は民間業者が行う、上下分離方式の導入も良いと思っています。観光案内所として活用する以外に、若いクリエーターたちの発表の場にもできそうです。

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プロヴァンス鉄道の紹介記事=http://toyokeizai.net/articles/-/118362

日本では役目を終えた駅舎は取り壊しが常識となっていますが、海外では文化的価値を重視し、残す例も見られます。パリのオルセー美術館は有名ですが、3月に訪れたニースを起点とするプロヴァンス鉄道も、1892年に建てられた旧駅舎を残し、図書館として活用しています。

機能をまっとうした駅舎を残すのは財政の無駄使いなのか、それとも文化の継承なのか。JR東日本と東京都、渋谷区、そして私を含めた住民の見識が、全国から注目を集めそうです。
 
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