THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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大型連休はおうちで移動

大型連休が始まりました。といっても今年は新型コロナウイルス感染防止のため、お出かけ自粛となっています。それを踏まえてウェブサイトでは多彩なオンラインメニューを用意しています。すでにいろいろ利用している人もいるかとは思いますが、ここでは昔からお付き合いのあるフランス観光開発機構が特別に展開しているメニュー「おうち時間」から、都市や移動に関係するコンテンツを中心に紹介します。

Sacre

このサイトは外部リンクを地区別に分けて紹介したもので、フランスの主要な都市や地域が理解できていればすぐに使いこなせると思います。ブログでは静止画を掲載していますが、多くがパノラマビューやバーチャルツアーになっています。たとえばパリでは、街の象徴でもあるエッフェル塔とモンマルトルの丘のサクレ・クール寺院、2つの名所から街並みを上から眺めることができます。パリ観光・会議局のサイトからはルーヴル美術館のオンラインツアーなどに行くことも可能です。

Rennes

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ブルターニュ地域圏の首都レンヌでは、公園、広場、運河などまちなかの景色を、散歩するように辿っていくことができます。城塞都市サン・マロも紹介されています。オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏首都でフランス第3の都市リヨンは、ソーヌ川沿いの旧市街、ローヌ川沿いの遊歩道など、多彩なシーンを楽しめます。フランスの認定制度「魅力ある村」のひとつにも選ばれた小さな村ブシュー・ル・ロワへのリンクもあります。

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ラングドック=ルシヨン地域圏とミディ=ピレネー地域圏が2016年に合併して生まれた南西部のオクシタニー地域圏では、学園都市として知られるモンペリエなどとともに、古代ローマ時代に作られ世界遺産に登録されている水道橋ポン・デュ・ガールのさまざまな表情を、パノラマビューなどで見ることができます。

Mucem

建物についてもロワール渓谷のシャンボール城、ジヴェルニーのクロード・モネ邸など見どころは数多くあります。個人的に特に印象に残ったのはマルセイユにある欧州・地中海文明博物館、通称ミュセム(MuCEM)で、展示内容もさることながら、2013年に開館した建物は外も中もフランスらしい前衛性・独創性にあふれていて、これ自体が素晴らしい芸術だと思いました。



自宅にいる時間が長くて退屈になった方、「おうち時間」を活用してフランスの街歩きや名所巡りをしてみてはいかがでしょうか。これ以外にも「おうち時間」では、ぬり絵やジクソーパズル、フレンチトーストの作り方、朝や夜を快適に過ごす音楽のプレイリスト、バーチャル展覧会など、多彩なメニューを用意しているので、時間がある方はチェックしてみてください。

ウーバーとタクシー 今度は共存を願いたい

先週取り上げたエッセンシャルワーカーの中で、私たちの生活に近い場所にいるのが物流関係者です。外出自粛という状況の中、インターネットショッピングを利用する人が大幅に増えていることに加え、レストランが作った料理を配達してもらう人が多くなっているからです。その一部を担う宅配バイクについては前回紹介したので、今回はウーバーイーツ(Uber Eats)について触れます。

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こちらについてはファッション系メディア「FORZA STYLE」で記事を書かせていただきましたが、そこでも触れたように、昨年末時点では10都市展開にすぎなかった我が国のウーバーイーツは、現在は倍の20都市になっています。これだけでもニーズが急増していることが分かります。そういえば昨年まではひんぱんにポストに入っていたチラシを、最近は見なくなりました。宣伝の必要がないほど需要が伸びているのかもしれません。

さらにウーバーイーツでは、3月には中小規模のレストランパートナーに対して支援を始めるとともに、いわゆる「置き配」の選択を可能とし、感染が確認された配達パートナーには最大で14日間の経済的なサポートを実施。4月にはレストラン支援や利用促進を目的として神戸市および東京都渋谷区と提携を結ぶと、配達パートナーへのマスクの配布も始めるなど、さまざまな対策を実施してもいます。



今週、ここにタクシーが加わることになりました。これまで一部のタクシーでは「救援事業」という名目で買い物代行などを担当していましたが、4月に入ると利用率が前年比で50%以下になる地域が出るなど、経営基盤を揺るがす事態になっていることもあり、国土交通省は4月21日、当面5月13日までという期間限定で、タクシーを使った料理の配送を認めることにしたのです。

今回適用した法律は、自家用自動車が有償で運送できる場合を定めた道路運送法78条の3号「公共の福祉を確保するためやむをえない場合」を適用しています。同じ78条の2号は、日本で初めて地域交通にウーバーのアプリを使った京丹後市の「ささえ合い交通」も用いた「自家用自動車有償運送」です。ウーバーをはじめとするライドシェアを「危険な白タク」と呼び導入に反発してきた日本のタクシー業界が、同じ法律を使ってウーバーイーツと同じ業界に参入するわけで、背に腹はかえられない状況であることが窺えます。

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ただ東京のような大都市では、すでにウーバーイーツが普及しているうえに、細い路地やビルの地下などにあるレストランも多く、路上駐車が渋滞などを引き起こすことも考えられ、タクシーによるフードデリバリーは不向きだと考えます。むしろ鉄道やバスが貧弱な地方で活躍してもらうほうが、フードデリバリー以外の多くのサービスを提供できる可能性があるので有意義ではないでしょうか。

自転車でウーバーイーツの配達パートナーとなっている人にもお伝えしたいことがあります。5年前の兵庫県を皮切りに、日本でも自治体ごとに自転車保険の義務化が進んでいることです。東京都では今月から全域で義務となりました。自転車保険は自治体で用意するもの、生命保険の特約、自動車保険の特約などさまざまなタイプがあります。配達パートナーで保険に入っていない人は、すぐに加入してください。

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個人的には、フードデリバリーは多くの人に利用してほしいという気持ちを持っています。なによりも個性的なレストランに魅力的な料理を提供し続けてほしいですし、外出自粛という中でプロの料理人の味を楽しむのはストレス解消のひとつになるからです。だからこそウーバーとタクシーが以前のような敵対関係になるのではなく、お互いの得意分野を生かし、作る人と食べる人をつなげていってほしいと願っています。

エッセンシャルワーカーのために

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、多く見るようになった言葉のひとつに「エッセンシャルワーカー」があります。医療や介護をはじめ、食品販売、公共交通、物流など、社会を支えるために必要不可欠な、インフラやライフラインに相当する仕事に従事する人のことです。

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フランスのマクロン大統領は今週13日「農家、教職員、トラック運転手、配送業者、電気工、レジ係、ごみ収集員、警備員、清掃員、公務員たちが社会生活が続くことを可能にしてくれた」と、エッセンシャルワーカーへの感謝を口にしました。次の日にはNHKがニュースの中で海外のエッセンシャルワーカーを取り上げ、米国のバス運転士を紹介した後、この運転士がその後感染が原因で亡くなったことを伝えていました。

多くの人が自分の仕事は社会のために必要不可欠だと思っているはずです。しかし海外ではそれを踏まえた上で、インフラやライフラインを守る人たちをエッセンシャルワーカーという呼び名で区別し尊重しているわけです。その裏にあるのは公共という概念への理解だと思います。優れた公共があるからこそ個人が快適に生活できると考えているのでしょう。

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多くのエッセンシャルワーカーが過酷な労働を強いられています。交通分野で見れば物流がそれに該当します。先日そのひとつである宅配バイクについて記事を書きましたが、こうした人たちが安全快適に目的を遂行するためにも、私たち部外者はなるべく道路を使わないことを心がけるべきでしょう。まして今は、交通事故を起こしても病院に入れないかもしれませんし、それによって医療従事者というエッセンシャルワーカーにさらなる負担を掛けることになります。



ところがエッセンシャルワーカーの中で移動を担う人々については、今週水曜日にJ-WAVEのラジオ番組「STEP ONE」でタクシーをテーマに電話出演(radikoであれば1週間聴取可能です)した際にも触れましたが、物流とは正反対に需要の激減に悩んでいます。一部のタクシー会社では、以前から地方では展開が進んでいた買い物代行などを取り入れています。今はバスや鉄道を含めた多くの事業者が、貨客混載を真剣に考える時期かもしれません。



しかしそれだけでは抜本的な解決にならないでしょう。ゆえに米国では今月2日、感染拡大で深刻な影響を受けている公共交通機関に対し、総額250億ドルの緊急支援金を交付すると発表しました。感染がもっとも深刻なニューヨーク周辺だけで54億ドルになりますが、それ以外の多くの都市に交付されるようです。写真のポートランドはTRI-MET(トライメット)という組織が公共交通を一括して管理しているので、ここへの支援になるのでしょう。

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対する日本は、仮に米国のような支援が交付されたとしても、地方都市であっても複数の交通事業者が競合していることが多く、どの事業者にどのぐらい配分するかを自治体や各事業者の間で話し合ったりするプロセスが不可欠で、スピードが遅れるのは明らかです。とりわけ地方の交通事業者は経営基盤が弱い分、さらに深刻になっていると想像できるので、なおさらスピードが必要です。

運営面では民間企業の知恵や工夫は大切であると私も思います。しかしこうした非常時に対面すると、公共の基盤はやはり公的組織が一体で支えることが望ましいと感じます。理想はすべての部分の統合ですが、それが無理なら、すでに国内各地で実例がある上下分離方式で公共交通を維持していくのが、今の日本では理に叶っているのではないかと思っているところです。