THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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自転車ナビマークを見て思うこと

東京の道路で自転車のアイコンや矢印を見かけることが多くなりました。自転車ナビマーク、あるいは自転車ナビラインと呼ばれるもので、前者は自転車を正面から見たアイコンと矢印を道路の左端に白で描き、後者は交差点内で矢印のみをブルーで表示しています。

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私は自宅と事務所、約2kmの道のりを自転車で移動することが多いのですが、そのとき通る上の道にも自転車ナビマークが描かれています。道幅にも余裕があるので問題なく走れます。しかし別の機会に自動車で走った環七(環状七号線)は下のような状況になっていました。片側3車線の道路はいずれも車線が狭く、自転車ナビマークはタイヤが通る場所に描かれています。そのためすでに表示が消えかかっていました。

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警視庁のウェブサイトによれば、自転車ナビマークは道路、自転車ナビラインは交差点で、それぞれ自転車の走る場所や進む方向を示し、安全な走行を促すものとのことです。しかし環七の自転車ナビマークが安全な走行を促すものだと考える人は少ないのではないでしょうか。

自転車ナビマークそのものを否定しているわけではありません。構造を変えずに自転車空間を確保するのが無理な道路が多いわけであり、これを機に多くの場所で「道路の再配分」を進め、明確な自転車レーンを作っていってほしいと思っているのです。さきほどの環七で言えば自動車の車線をひとつ減らし、その分を歩道拡充と自転車レーン新設に充てるのが自然でしょう。

このブログでも告知した3月1日開催の「スマートドライバーフォーラム」で、私は「道路は誰のもの?」というテーマで、欧米各国が過度な自動車依存社会からの脱却を目指すべく、道路の再配分を実行した例をお見せしました。ここではアムステルダム、バルセロナ、ポートランドを紹介します。いずれも最近になって整備された場所であることが写真からお分かりかと思います。

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気づいた方がいるかもしれませんが、すべて歩道上に自転車レーンがあります。3都市とも車道に自転車レーンを用意した場所もありますが、あえてこの3点を出しました。理由は我が国の自転車政策が下のように、自転車は車道走行が原則というルールを自転車レーンにも導入してしまっており、欧米では一般的に見られる歩道上の自転車レーン設置を認めていないからです。

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国土交通省(http://www.mlit.go.jp/index.html)の資料より

その理由として、自転車事故は大幅に減少しているのに対し自転車と歩行者の接触事故が減らないことを挙げていますが、歩行者・自転車・自動車の移動速度の差を考えれば、速度差が大きな自転車と自動車のレーン間を明確に分けたほうが安全ではないかという気がします。逆に自転車と歩行者の速度差は小さく、危険な場面では自転車が速度を落とせば多くの場合事故は防げるのではないかと考えます。

現在国土交通省では、昨年施行された自転車活用推進法に基づき、自転車の活用の推進に関する目標や実施すべき施策を定める「自転車活用推進計画」の骨子をとりまとめ、今年夏までの計画策定に向け、3月27日(火)までインターネットによるアンケートを実施しています。日本の自転車政策をどうすべきか、気になる方は声を寄せてはいかがでしょうか。

どうする新高岡駅

北陸地方の交通はこのブログで何度も取り上げてきました。いずれも先進的かつ革新的な取り組みであり高く評価してきました。しかし中には、これは?と首を捻るような事例もあります。

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まもなく開業3周年を迎える北陸新幹線の富山駅と金沢駅の間に新高岡駅があります。JR城端線との乗換駅で、次の駅が高岡市の中心となる高岡駅になります。新高岡駅は当初、今より250m東側にあるイオンモール高岡付近に作られる予定でしたが、地元自治体の要望を受けて現在の位置に変わりました。自治体側は続いてJR西日本に城端線新駅の設置を要望し、現在の形になったそうです。

筆者は金沢駅から北陸新幹線に乗って新高岡駅で降り、城端線で高岡駅に向かおうとしました。新幹線と城端線の駅は隣接していて乗り換えは楽です。しかし城端線の時刻表を見て唖然としました。本数が少ないうえに新幹線との連絡が考慮されておらず、1時間近く待つことになったのです。

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駅の中には土産物屋がありますが、駅前広場はカフェ、ラーメン屋、ビジネスホテルが点在しているだけ。高岡駅を経由して各地へ向かうバスは本数があります。バス移動を前提とするならイオンモールの場所のほうが良かったのでは?と思いました。それでも1時間近く待って2両編成のディーゼルカーに乗ると、下校時間帯ということもあり東京の通勤電車を思わせる混雑でした。

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高岡駅は4年前に新しい駅ビルが完成し、駅前広場で止まっていた万葉線が中に乗り入れるなど、富山駅を思わせるモダンな作りになりました。おそらく北陸新幹線開業を見据えて建て直したのでしょう。しかし新高岡駅とここを結ぶ城端線は上記のような状況です。万葉線を新高岡駅に伸ばせば利便性は高まるでしょうが、当初からその計画があれば駅構造は違ってきたのではないでしょうか。

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しかも高岡市は慢性的な財政難であり、筆者が訪れた1月は周辺自治体に比べて除雪の遅れが話題になっていました。まして新高岡駅も高岡駅ビルも作ったばかりであり、当面はこれを活用するしかありません。そこで思い出したのが、富山市がJR高山本線に対して行った列車増発の社会実験です。

くわしくは拙著「富山から拡がる交通革命」に書いていますが、社会実験では増発分の費用を富山市が負担する代わりに、乗客増加分の運賃収入をJRから返還してもらう形で進め、まちづくり交付金を活用して沿線の整備も進めました。新興住宅地が広がる場所に婦中鵜坂という新駅も作りました。実験は一定の効果を上げ、駅は常設となり、本数も以前より増えています。

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高岡市などでは停車駅の少ない「かがやき」の新高岡駅停車を求めており、JRでは臨時列車を1日1本停車させていましたが、利用者が少ないことを理由に、昨年12月からは平日の停車がなくなりました。これについて高岡市長は残念とコメントしたようです。受け身の姿勢が感じられて残念に思いました。利用者を増やすのはJRだけの仕事ではありません。自治体がやれることもたくさんあるはずです。

「自動運転があれば公共交通は不要」という嘘

今回はまず、1月に富山で行なったセミナーで使ったスライドからお見せします。「自動運転ですべて解決、ではない」というタイトルの下に4つの乗り物の写真があり、脇に数字が書かれていますが、何を意味しているかお分かりでしょうか。

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数字は自転車、軽自動車、無人運転バス(イージーマイルEZ10)、LRT車両 (富山ライトレール)の乗車定員を示したものです。ここで取り上げるLRT車両の全長は18.4mですが、これと同じ人数を運ぶとするとEZ10では7台・27.4m、軽自動車では20台・67.9mにもなります(自転車はサイズがまちまちで幅がかなり狭いので比較は避けます)。

最近一部のメディアで、自動運転が実用化されれば公共交通は不要になるという論調を目にすることがあります。しかし私はそもそもこの両者を比べることが誤りだと考えます。理由は東京の新交通システムゆりかもめなど、公共交通にはすでに自動運転を実用化しているものがあり、現在実験中の自動運転・無人運転の多くはバスやライドシェアなど公共交通としての利用を目的としているからです。

ライドシェアは現状では個人所有の乗用車を使っているので、パブリックとパーソナルの中間と言えそうですが、 ドライバーがいなくなれば運行業者がコントロールすることになるので、公共交通の一種になります。今月5日から日産自動車とDeNAが実証実験を開始する「イージーライド」については日産が開発した自動運転乗用車を使っていますが、同社では交通サービスと呼んでいます。

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イージーライドについてはこちらもご参照ください=https://news.mynavi.jp/article/20180302-easyride/

自動運転と公共交通を対立軸に置く人は、おそらく自動運転は乗用車、公共交通は鉄道に代表される大量輸送機関をイメージしたのではないかと思われます。正確な言葉を使ってほしいものですが、それでも両者は比較相手にはならないと考えます。理由が最初に挙げた数字です。

場所や時間によって移動する人の数は異なります。過疎化が進む農村部では乗用車で間に合うでしょうが、地方都市でも富山の中心部であればLRTレベルの車両が必要になります。これをすべて乗用車で賄えば、多くの道が大渋滞になるでしょう。自動運転になっても車両の大きさは変わらないのですから。東京で暮らす人は東日本大震災が発生した日の夜を思い出してください。あのときも鉄道がストップしたことで多くの人が自動車で移動した結果、大渋滞となりました。

自動運転乗用車が普及するとコンパクトシティの考えが必要なくなるので、大量輸送機関が必要なくなるという人もいます。しかしコンパクトシティは交通の集約化が目的ではありません。7年前に富山市長の森雅志氏からお聞きした「除雪の費用が大変」という言葉は今も忘れられません。水道やガスなどインフラの長さも違ってきます。コンパクトシティは行政サービスの効率化が最大の目的であり、そのためのツールとして公共交通を活用しているのです。

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このブログで自動運転・無人運転の実験現場を何度も報告してきたことで分かるとおり、私は自動運転推進派です。しかしすべての乗り物が自動運転の乗用車に置き換わることは、インフラのキャパシティなどから鑑みて無理だと思います。モビリティの問題解決のための選択肢がひとつ増えたとするのが自然だと考えています。
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