THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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東京と浜松で講演をします

久しぶりに講演の告知をさせていただきます。今回は10月に東京、11月に浜松で行う予定のものを紹介いたします。

ひとつめは10月25日(金)13時から、年間500回のセミナー開催実績がある東京都港区の新社会システム総合研究所で、「MaaSの実態 先行する欧米と動き出した日本」というテーマでお話しさせていただきます。テーマでお分かりのとおり、濃のブログでも紹介した7月発行の書籍「MaaS入門:まちづくりのためのスマートモビリティ戦略」に沿った内容です。

2019-09-07

書籍というのは執筆から出版までに少々時間を要するメディアであり、執筆後、とりわけ日本のMaaSにはいくつも動きが起こっています。書籍がMaaSの過去から現在にかけてを記したのに対し、講演では現在から未来を見据えてお話ししたいと考えています。申込は下記リンクからお願いします。受講料はやや高価ですが、申し込み時「著者からの紹介」と記載していただければ5,000円の割引が受けられるとのことです。



もう1つは11月16日(土)14時から、浜松市中区の静岡文化芸術大学の公開講座で、「社会・地域・産業の観点から考えるこれからのモビリティ」と、やや広い視点で進める予定です。この講座は、2019年度後期公開講座「Shizuokaから発信する これからのユニバーサルデザイン」のひとつで、10月5日「色弱のお医者さんに学ぶカラーユニバーサルデザイン」、26日「『音のユニバーサルデザイン化』SoundUD推進コンソーシアムの取組み」との3部構成になっています。

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浜松を中心とする遠州地方は遠州地方は、数多くの二輪車メーカーを産み育て、日本のモータウンと呼ばれてきました。その持ち味は現在、電動車いすや電動カートなど、今の時代にフィットしたユニバーサルモビリティとして新たな注目を集めつつあります。こちらの参加は3回とも無料です。申し込みは下記リンクからしていただければと思います。



これ以外にも今年の秋には、モビリティについてお話しする場を設けていただく予定になっています。詳細が決まり次第、このブログでも伝えていくつもりです。引き続きよろしくお願いいたします。

グリーンスローモビリティが活きる場所

昨年6月に国土交通省が概要を発表したグリーンスローモビリティ(以下グリスロ)は、今年4月にはIoTと組み合わせた活用方法の実証事業を公募。6月に7地域が選ばれました。そんな中、昨年度の実証実験からひと足先に、本格的なタクシー事業に移行した事例があります。現場を見るべく、観光地として知られる広島県福山市の鞆の浦に行きました。

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鞆の浦のグリスロは地域のタクシー会社、アサヒタクシーが走らせており、「グリスロ潮待ちタクシー」と名付けられました。鞆の浦は瀬戸内海で潮の流れが変わる場所であり、昔は潮が変わるのを待つ船でにぎわったそうです。運賃は他のタクシーと同じ初乗り630円。そのほか30分単位で貸切での観光利用も可能で、自分は鞆の浦初訪問だったこともあり、鞆港発着の30分コースを電話で予約しました。

福山駅から出るバスの終点、鞆港に着くとすぐに、ヤマハ発動機の電動カートを使ったグリスロタクシーがやって来ました。以前、石川県輪島市で乗った車両に似ていますが、最大の違いは軽自動車の黄色いナンバープレートではなく、他のタクシーと同じ緑ナンバーであることです。ここからも本格導入であることが分かります。

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走り出したグリスロは、いきなり細い路地に入ります。鞆の浦の市街地は、軽自動車でもギリギリという幅の道ばかりでした。範囲は狭いので元気な人は徒歩で巡れますが、快適に観光したい人にこのグリスロタクシーは最適です。ドアや窓がなく、ゆっくり走ることも観光向きです。道が細いので左右のお店に手が届きそうなほどであり、街の一部になって移動している感覚です。見たい場所があればさっと降りて目的地に行くこともありがたかったです。

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いくつかの観光スポットを回ったあと、運転手さんお勧めの絶景ポイント、医王寺に向かいます。道は先ほどより狭く、急な登り坂です。これまで観光客は徒歩でしかアクセスできなかったそうですが、この坂道で断念する人が多かったそうです。しかし今回はグリスロタクシーのおかげで楽に到達できました。山の中腹にある寺からは、ランドマークの常夜燈をはじめ鞆の浦が一望できました。

グリスロは最高速度19km/hなので、すべての道に適しているとは言えません。どんな乗り物にも言えることですが、ふさわしい場所でふさわしい使い方をすれば魅力が数倍にもなります。鞆の浦はグリスロを走らせるのに最適な街でした。ただ自分が知るだけでも、似たような観光地はいくつもあります。そういう場所でもサービスを始めてほしいと思いました。

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あとは予約や支払いをスムーズにできればさらに好ましいところですが、私が訪問した直後、アサヒタクシーはUberと提携し、スマートフォンアプリで配車や決済が可能になったそうです。グリスロタクシーがここに含まれれば、外国人観光客もこの乗り物を利用することで、鞆の浦をより奥深く知ることができるのではないでしょうか。今後の発展に期待します。

東京2020のユニバーサルデザインは?

明日8月25日で、2020東京パラリンピック開催まで残り1年になります。そこで今週は、国内外のモビリティデザインを見てきたひとりとして、今の東京のモビリティ分野におけるユニバーサルデザインについて考えたいと思います。

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まず海外からの来日者の玄関口となる国際空港は、ユニバーサルデザインでは世界的に高い評価を受けています。世界の空港やエアラインを評価しているSKYTRAXという組織が今年から制定したWorld's Best Airport for PRM and Accessible Facilities(高齢者、障害のある方や怪我をされた方に配慮された施設の評価/PRMはPersons with Reduced Mobilityの略)では、1位が羽田(写真)、2位が成田、3位が関西で、10位までに中部、福岡、伊丹と合計6空港が入っているのです。

先日、私が所属する日本福祉のまちづくり学会の公開講座で、これらの空港の設計に関わった方、この分野を研究している方の話を聞く機会がありました。我が国では中部を皮切りに、羽田国際線、成田、新千歳空港国際線の建築や改修において障害当事者が参加をしており、それが世界的な評価につながっているとのことでした。

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ただし空港以外のモビリティシーンでみると、海外にも注目すべき実例がいくつかあります。最初はタイの首都バンコクの高架鉄道BTSの改札口です。健常者は左側の自動改札機を使いますが、高齢者や妊娠している人などは係員がいる右側のゲートを使えます。日本でも通路が幅広い自動改札機がありますが、車いす利用者や大きな荷物を持った人にとって自動改札機は使いにくいはずであり、BTSの改札はそういう人向けの配慮が感じられます。

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続いてはドイツの首都ベルリンを走るSバーン(通勤電車)です。優先席が車いす利用者だけでなく、ベビーカー利用者や怪我をした人なども対象としていることは、最近日本の鉄道も対応していますが、自転車をそのまま載せることができるのはまだ少数です。またホームとの隙間を最小限に保つべく、車体下部に短いステップを装着しており、段差もほとんどありません。さすがドイツと唸らされます。日本でも最近、国土交通省がこの課題について検討を始めたようなので、今後に期待です。

そんな中トヨタ自動車が、東京五輪・パラリンピック用に専用開発した車両APM(Accessible People Mover)を発表しました。高齢者や障害者などアクセシビリティに配慮が必要な来場者に対し、ラストマイルの移動を提供するために開発された車両で、JPN TAXIより簡単な車いす対応、ドライバーが乗り降りしやすい中央運転席など、さまざまな部分に工夫が凝らされており、ユニバーサル性能はかなり高いレベルにあると感じました。

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残り1年でやれることは限られるかもしれませんが、私は2020年がゴールではないと考えます。むしろ2020年をスタートとして、世界トップレベルのユニバーサルモビリティを目指していきたいものです。もちろん車両やインフラの整備だけではダメで、私たち健常者の理解と行動もまた大切です。障害者自身ではなく、彼らを受け入れる社会の側に障害があるわけで、そこには人も含まれることを、忘れてはいけないと思っています。
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