THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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バスの車両改革が進まない理由

今回は昨年乗ったパリのバスの話題から始めます。パリのバスが2025年までにディーゼルエンジン車を全廃するなど、大胆な環境改革を進めていることは以前に紹介しましたが、現時点でもハイブリッドバスは各所で見かけます。

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昨年乗ったのもその1台で、ディーゼルエンジンで発電した電気で走行していました。日産ノートe-POWERやJR東日本HV-E201系に似たメカニズムですが、このメカニズムは都市環境だけでなく、利用者にとっても優しいというメリットを生み出していることが分かりました。

車内の写真を見ていただければ、後輪のさらに後ろまで床がフラットであることがお分かりでしょう。エンジンが発電に専念し、タイヤを回すのはモーターだけなので、このような構造が実現できたようです。おかげで高齢者、車いすやベビーカー利用者などのために広いスペースを用意できています。

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一方日本の路線バス車両は、多くが中扉から後方については従来と同じ構造を持つ、部分低床になっています。しかしこれは、日本のバスメーカーに技術がないからではなく、バスの運行事業者が全低床バスに興味がないわけでもないことを、先日関係者に教えられました。

日本のバス事業者は鉄道事業者と同じように、運賃収入を原資として運行しています。そのため設備投資に割く予算は限られており、車両を購入する際にも、なによりも安価であることを求めざるを得ないそうです。メーカーはその要望に沿って、可能な限り開発費用を抑えた車両しか供給できない状況とのことです。

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このブログで何度も書いてきたことですが、高齢化や過疎化が問題となっている先進諸国で、公共交通を公費で支えるという仕組みがないのは日本ぐらいです。欧米の公共交通は税金を導入した運営がなされているから、先進的なデザインやメカニズムの車両・インフラが積極的に導入できるのではないかと思っています。

日本は世界一の高齢化社会であり、地方の過疎化も進んでいます。多くのバス事業者が苦境に陥っています。このままでは近々実証実験が始まるという無人運転バスの導入もスムーズに進むか心配です。公共交通は公費で支えるという仕組みを一日も早く導入すべきであると、改めて記しておきます。

築地と豊洲の狭間で

東京都中央卸売市場の築地市場を豊洲へ移転する計画が滞っている問題については、以前この地を通る環状2号線の開通が遅れており、東京五輪・パラリンピックに影響することを記しました。あれから2か月が経過しましたが、状況はほとんど進展していません。そんな中、環状2号線が通る予定の勝どき地区を訪れる機会があったので報告します。

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勝どきは3・4丁目と5・6丁目の間に新月島川が流れており、環状2号線は川のすぐ南側を通過しています。写真を見ればお分かりかと思いますが、築地とこの地を結ぶ築地大橋から、晴海との間の朝潮運河に架かる橋まで、道路はほぼ完成し、標識も取り付けてあります。自動車が走っていないのが不思議に思えるほどです。

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道路の脇には高層マンションが林立しています。しかしにぎわいはありません。マンションを眺めると生活感が希薄であることに気づきます。近所には分譲マンションの看板もありました。「空室につき即内覧可能」というフレーズから、販売がいまひとつであることが伺えます。

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勝どきには都営地下鉄大江戸線の駅があります。この場所からの距離は500mほどと、それほど遠くはありません。しかし環状2号線が開通すれば、脇を走る道からBRTに乗って虎ノ門などに行けることになります。マンションの販売業者やすでに生活を始めている人は、それを見越していたでしょう。しかし現状ではBRTがこの道を走るかどうかすら分かりません。

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都市と交通は一体となって計画され建設されます。道路も例外ではありません。しかし勝どきや晴海の場合は、建設はすでに終わっているのに、市場の移転問題に翻弄され、開通時期が不明という状況に陥っています。沿道にいち早く移り住んだ住民は、複雑な気持ちで現在の状況を見つめていると察します。

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市場移転の問題に沿道住民を巻き込むべきではありません。築地にするか豊洲にするか、この議論も早く結論を出してほしいと思いますが、何よりもまず解決すべきは、環状2号線に道路としての機能を与えることではないでしょうか。勝どきや晴海に住む人たちのためにも、1日も早い決着を望みます。

外堀から埋めていくライドシェア

ライドシェアというサービスを考案した米国ウーバーのシステムを活用し、NPO法人「気張る!ふるさと丹後町」が運営する公共交通空白地有償運送(道路運送法施行規則第49条第1項第2号)として注目を集めた京都府京丹後市丹後町の「ささえ合い交通」が、5月26日で運行開始一周年を迎えました。

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ウーバーのウェブサイト=https://newsroom.uber.com/japan/kyotango-1yr-anniversary/

ささえ合い交通は、丹後町の住民がボランティアでドライバーを務め、自家用車を使って地域住民や観光客等を運ぶ公共交通です。スマートフォンやタブレットを用いて利用者が車両を呼んだり料金を支払ったりする公共交通空白地有償運送は、日本ではここが初めてとなります。

ウーバーによれば、毎月平均で60回以上の乗車があり、特に平日午前中の利用が多いそうです。約8割が地元住民の利用らしく、同じ京丹後市でスーパーや病院、役所などが集まる峰山町や網野町などへの利用がメインとなっているとのこと。ウーバーのアプリは世界共通であることから、海外からの観光客の乗車もあるようです。

地元の声に応えた改良も実施しています。昨年9月にはスマートフォンやタブレットを持たない人のために代理人に配車をしてもらえる「代理サポーター制度」を、12月にはクレジッドカードを持たない人のための「現金決済」を導入しています。日本の過疎地の事情に即した最適化と言えそうです。現在は代理サポーター制度を利用する人が全体の約7割、現金決済を利用する人が8割以上に上っているといいます。

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気張る!ふるさと京丹後のウェブサイト=http://kibaru-furusato-tango.org

問題もあります。ひとつは現在の公共交通空白地有償運送制度のルール上、丹後町外で降りることはできても乗ることはできない決まりとなっていることです。もうひとつは、ささえ合い交通の導入直前に、同市の網野町や久美浜町に、一度は撤退したタクシーが再参入したことです。ライドシェアを「白タク行為」として批判する気持ちが実力行使として表れたようです。

一方でウーバーは昨年8月からは、北海道中頓別町でもライドシェアの導入を始めています。こちらは実証実験のなる代わりにNPOなどを介さない形となっています。従来は国土交通大臣が各運輸支局長等に委任していた導入が、移譲を希望する地方自治体で行えるようになったことが大きいようです。首都圏の埼玉県でも導入に向けた検討を行っているほどです。

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埼玉県のウェブサイト=https://www.pref.saitama.lg.jp/a0109/zikayouyuusyou.html

以前ウーバーの関係者に聞いときは、将来は東京などの大都市でも展開していきたいそうですが、そのために正面からタクシー業界と対決せず、危機的状況にある過疎地域の移動を救うべく自治体やNPOと手を組んでじっくり導入を進めていくウーバーの姿勢は共感できるものです。住民のための最良の移動移動はどうあるべきかを、親身になって考えている感じを受けます。
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