THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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ドライバーも公共交通の充実を望んでいる

自動車を運転する人なら、「タイムズ」の存在を知っているでしょう。100円パーキングの愛称もある駐車場の運営の他、カーシェアリング、レンタカーなどを手掛けています。 このタイムズを運営するパーク24では、月1回、「タイムズクラブ」と呼ばれる会員を対象としたアンケートを実施しています。今回のテーマは「交通手段」で、結果が興味深かったので紹介します。

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アンケート項目は、「便利だと思う交通手段は何ですか?」「良く使う交通手段は何ですか?」「交通手段で重視することは何ですか?」の3つでした。まず感心したのは、自動車に関連する企業でありながら、電車(鉄道)やバス、自転車など、他の交通手段を選択肢として用意し、結果も公表していることです。自動車に関連する企業は自動車だけ、鉄道に関連する事業者は鉄道だけという結果も目にする中で、人に軸足を置いた、つまりモビリティ視点の結果に好感を抱きました。

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次に結果を見て気づいたのは、自動車を所有していない人だけでなく、所有する人であっても、鉄道への評価が高いことです。これは「交通手段で重視すること」の結果と関連しています。自動車が優位となる「移動手段までの距離」「乗り継ぎの少なさ」を挙げた人はそれほど多くなく、「料金・速さ・快適さ・便利さ」に回答が集中しています。この質問では、自動車を持っているか否かで回答率がほとんど変わらないことも興味深い点です。

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カーシェアリングを選ぶ人が多いのは、パーク24自身が運営業者であることも大きいと思いますが、それを含めて、自動車を持っていない人が公共交通(私はカーシェアリング、サイクルシェアリングは公共交通の一種と考えます)をバランス良く使い分けており、逆に自動車を持っている人は実際の移動は自家用車に頼るものの、公共交通にも興味を持っていることが理解できます。公共交通がさらに充実すれば、乗り換えが進むのではないでしょうか。今後もこのようなモビリティ視点でのアンケートを期待したいところです。

*資料提供:パーク24  http://www.park24.co.jp/

原付2種という賢い選択

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。といっても2015年はまだスタートしたばかり。そこで昨年末のお仕事の中からひとつ紹介することにします。

それは12月24日発売の2輪雑誌「MOTO NAVI」の特集、「モーターサイクル・オブ・ザ・イヤー2014」です。その年登場した話題の2輪車の中からベストを選ぶ名物企画の中で、原付2種(51〜125cc)クラスを担当させていただきました。ただし日本を代表する2輪テスター8名がジャッジする本編とは違い、自分ひとりの担当だったので、順位づけはせず、 4台の個性を紹介しながら、原付2種の魅力と人気の秘密についても考えてみました。

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くわしくは本誌を読んでいただきたいのですが、最近の原付2種人気は、これまでの日本と少し違う流れだと思っています。とかく高性能や高機能を欲しがる傾向の強いこの国で、高速道路を走れず、ゆえに長距離走行に向かない原付2種が、燃費の良さや保険の安さとのバランスで選ばれているのですから。

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軽自動車の人気も似たような理由ではないかと考えています。大前提として税金の安さがありますが、近年の軽自動車のレベルアップにより、普段の移動はこれで十分と判断した人が増えたからではないでしょうか。

リーマンショックや東日本大震災が、これらの流れのきっかけであることは間違いないでしょう。でも不景気だから原付2種や軽自動車という短絡的な選択がすべてではないような気もしています。さまざまな乗り物を知る国民が出した、成熟の結論でもあると思っています。現に写真で紹介している2台はいずれも付加価値をウリとしています。モビリティ先進地域として知られているヨーロッパの人々もまた、それぞれの生活や社会に最適な乗り物を上手に選択しています。

夢を見るのはもちろん大切なことですが、それとは別に、いまの社会、いまの生活に最適な道具を選んでいく眼力もまた、先進国の人たちに求められる能力のひとつであり、原付2種人気はその流れに合致した、賢い選択ではないかと考えています。

自転車王国オランダの真実

オランダの首都アムステルダムを訪れる機会がありました。アムステルダムの都市交通は、運河を活用した船の他、陸上では地下鉄、路面電車、バス、自家用車など、さまざまな乗り物が共存していますが、やはりいちばん有名なのは自転車ではないでしょうか。

今回は中心市街地と郊外を徒歩や自動車で巡ったのですが、とくに中心市街地の朝夕は通勤の自転車の帯が出現し、かつての中国を思い出しました。郊外になると少なくなりますが、それでも数分に1台はすれ違うような状況です。

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使用している自転車は、ロードバイクのようなスポーツ系は少なく、実用車が中心で、平坦な地形もあってギアなしが主流です。つまり趣味というより、安価で環境に優しい移動手段として生活の中に溶け込んでいる様子が伺えました。シェアサイクルやレンタサイクルの姿も多く見受けられました。

自転車レーンの整備も驚くほどのレベルでした。狭い道では自動車同様、車道の右側を走っていますが、それは例外的で、多くの道で独立したレーンを用意しています。ただそのレーンは、必ずしも車道右側ではなく、歩道にもあり、対面通行としている例もひんぱんに見かけました。レーンの色は多くの場所でレンガ色としていました。

駐輪場も数多く用意されているのですが、橋の欄干や運河の柵などに括り付ける車両も多く、景観面からは好ましくないという印象を受けました。運転マナーについては、日本的な譲り合いの精神はなく、進んで自分の進路を取りに行くような積極性が目立ちました。W杯サッカーにおける両国の戦い方の違いを連想しました。

たしかに自転車レーンの充実や右側通行の遵守など、素晴らしい部分がたくさんありましたが、駐輪マナーはそうでもなく、レーンの敷設は車道右側にこだわらず臨機応変に導入していました。これは自動車や公共交通の分野にも言えることですが、ヨーロッパの状況を美化しすぎて紹介している例が目立ちます。冷静に現状を観察し、正確な情報を流すことが大切だと痛感しました。
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