THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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逆走防止のまちづくり

高齢者による交通事故のニュースが目立ちます。以前から問題になっているペダル踏み間違い暴走に加え、最近は逆走事故も目立ってきました。警察庁によれば、高速道路で逆走したドライバーの約半数が75歳以上の高齢者で、昨年1〜9月の逆走事故を起こしたドライバーの14%は認知症の疑いがあったそうです。

こうした状況を踏まえて警察庁では1月15日、75歳以上の高齢者に対する運転免許制度の改正試案を公表しました。免許更新時の検査で認知症の恐れがある人には医師の診断を義務付け、認知症と診断された人は免許取り消し。認知症の恐れがない人も、その後逆走などによる事故を起こした際には、臨時に検査を受ける制度を設けるなどとなっています。

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*写真はイメージです

警察庁では2月4日まで、この件に関してパブリックコメントを受け付けているので、興味がある人は意見を出してみてください。
 
ただ個人的には、運転免許の分野だけでの解決は無理があると考えています。認知症という診断が下された人の、代わりの足を確保しなければならないからです。現在の状況は、代わりの足がないから、不安な状況の中で自動車を運転しているとも考えられます。
 
具体的には、公共交通での移動に切り替えてもらうべく、駅や停留場・停留所の近くに移り住んでもらうのです。つまりコンパクトシティの推進です。公共交通の新規整備も必要になるでしょう。その際には、バリアフリーの観点から、路面電車がもっとも適していると考えています。近年、欧州各地で路面電車の新規開業が相次いでいるのは、環境対策のほかに、コンパクトシティやバリアフリーという側面があるのです。

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このブログで何度も取り上げた富山市では、市内電車環状線の開業に合わせ、まちなか居住を進めるべく、住宅建設や購入、賃貸に対して助成を行い、文化施設や商業施設の誘致を進めています。その結果、以前は減少が続いていた中心部の人口が増加に転じています。転入者の中心は40〜50歳代の、高齢化予備軍と言える人たちです。つまり富山のコンパクトシティ政策は結果を出しています。
 
警察と自治体がタッグを組み、認知症の恐れがある人に手厚い住宅助成を行うことで、駅や停留場・停留所近くへの移住を促すような仕組みを作れば、高齢者の交通事故を防止できるだけでなく、環境対策にもなり、行政サービス費用削減も期待できるなど、多くのメリットが生まれるのではないでしょうか。

ちなみに私の両親は、10年ほど前にバス停やスーパーマーケットから徒歩圏内の集合住宅に移り住み、まもなく自動車を手放し、運転免許を返納しました。現在も快適に暮らしているようです。 

ドライバーも公共交通の充実を望んでいる

自動車を運転する人なら、「タイムズ」の存在を知っているでしょう。100円パーキングの愛称もある駐車場の運営の他、カーシェアリング、レンタカーなどを手掛けています。 このタイムズを運営するパーク24では、月1回、「タイムズクラブ」と呼ばれる会員を対象としたアンケートを実施しています。今回のテーマは「交通手段」で、結果が興味深かったので紹介します。

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アンケート項目は、「便利だと思う交通手段は何ですか?」「良く使う交通手段は何ですか?」「交通手段で重視することは何ですか?」の3つでした。まず感心したのは、自動車に関連する企業でありながら、電車(鉄道)やバス、自転車など、他の交通手段を選択肢として用意し、結果も公表していることです。自動車に関連する企業は自動車だけ、鉄道に関連する事業者は鉄道だけという結果も目にする中で、人に軸足を置いた、つまりモビリティ視点の結果に好感を抱きました。

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次に結果を見て気づいたのは、自動車を所有していない人だけでなく、所有する人であっても、鉄道への評価が高いことです。これは「交通手段で重視すること」の結果と関連しています。自動車が優位となる「移動手段までの距離」「乗り継ぎの少なさ」を挙げた人はそれほど多くなく、「料金・速さ・快適さ・便利さ」に回答が集中しています。この質問では、自動車を持っているか否かで回答率がほとんど変わらないことも興味深い点です。

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カーシェアリングを選ぶ人が多いのは、パーク24自身が運営業者であることも大きいと思いますが、それを含めて、自動車を持っていない人が公共交通(私はカーシェアリング、サイクルシェアリングは公共交通の一種と考えます)をバランス良く使い分けており、逆に自動車を持っている人は実際の移動は自家用車に頼るものの、公共交通にも興味を持っていることが理解できます。公共交通がさらに充実すれば、乗り換えが進むのではないでしょうか。今後もこのようなモビリティ視点でのアンケートを期待したいところです。

*資料提供:パーク24  http://www.park24.co.jp/

原付2種という賢い選択

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。といっても2015年はまだスタートしたばかり。そこで昨年末のお仕事の中からひとつ紹介することにします。

それは12月24日発売の2輪雑誌「MOTO NAVI」の特集、「モーターサイクル・オブ・ザ・イヤー2014」です。その年登場した話題の2輪車の中からベストを選ぶ名物企画の中で、原付2種(51〜125cc)クラスを担当させていただきました。ただし日本を代表する2輪テスター8名がジャッジする本編とは違い、自分ひとりの担当だったので、順位づけはせず、 4台の個性を紹介しながら、原付2種の魅力と人気の秘密についても考えてみました。

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くわしくは本誌を読んでいただきたいのですが、最近の原付2種人気は、これまでの日本と少し違う流れだと思っています。とかく高性能や高機能を欲しがる傾向の強いこの国で、高速道路を走れず、ゆえに長距離走行に向かない原付2種が、燃費の良さや保険の安さとのバランスで選ばれているのですから。

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軽自動車の人気も似たような理由ではないかと考えています。大前提として税金の安さがありますが、近年の軽自動車のレベルアップにより、普段の移動はこれで十分と判断した人が増えたからではないでしょうか。

リーマンショックや東日本大震災が、これらの流れのきっかけであることは間違いないでしょう。でも不景気だから原付2種や軽自動車という短絡的な選択がすべてではないような気もしています。さまざまな乗り物を知る国民が出した、成熟の結論でもあると思っています。現に写真で紹介している2台はいずれも付加価値をウリとしています。モビリティ先進地域として知られているヨーロッパの人々もまた、それぞれの生活や社会に最適な乗り物を上手に選択しています。

夢を見るのはもちろん大切なことですが、それとは別に、いまの社会、いまの生活に最適な道具を選んでいく眼力もまた、先進国の人たちに求められる能力のひとつであり、原付2種人気はその流れに合致した、賢い選択ではないかと考えています。
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