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モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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バスタ新宿1か月 見えてきた課題

東京の新宿駅に先月開業した日本最大級の高速バスターミナル、バスタ新宿については、事務所から近いこともあり、何度かチェックに行っています。開業直後の模様は「東洋経済オンライン」にまとめたので、今回は1か月後、大型連休中の5月5日午後の様子を報告しつつ、感じたことを記します。

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東洋経済オンラインの記事=http://toyokeizai.net/articles/-/113216

バスタ新宿についてはご存知の方も多いと思いますが、JR東日本新宿駅ホーム上に人工地盤を築いて建設した複合施設の3・4階にあります。3階には高速バス降車場とタクシー、コミュニティバスの新宿WEバス乗り場があり、4階に発券カウンター、待合室、乗り場があります。

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開業直後に訪れたときは、待合室の混雑と暑さが気になったので、まずここに足を運びました。連休中にもかかわらず、さほど混雑していませんでした。以前の写真と見比べると、理由が分かりました。ベンチが少なくなっていたのです。そのためか、部屋の暑さも解消されていました。バスの運行は前回同様、混乱はなく、整然と乗客を乗せ、次々に発車していました。

しかし前回の訪問でもうひとつ気になっていた点、飲食店が存在しない状況は変わっていませんでした。そもそも乗り場がある4階にはそれにふさわしいスペースはないのですが、それに比べればスペースに余裕がある3階にも、観光案内所しかありません。

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タクシー乗り場もこの3階に統合したことで、目の前の甲州街道の陸橋上の渋滞が減るなど、バスタ新宿は交通結節点の機能としては評価できます。でもターミナルは単なる交通結節点ではありません。待ち合わせや乗り換えなどの時間を過ごす場所としての、おもてなし施設も必要だと考えます。

逆に同じ建物の2階にある新宿駅には飲食店が複数あります。南側には駅に出入りする電車を眺められるデッキがあり、SHINJUKUのオブジェは子供たちの遊び場所になっていました。また隣のJRミライナタワーには、レストランも備えたNEWoMan(ニュウマン)と呼ばれる商業施設が入っています。さすがルミネを展開する会社だけあります。ところがバスタ新宿に、これら飲食施設の案内はありません。 

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交通結節点という機能に徹したバスタ新宿と、ターミナルの魅力をアピールするJR東日本の施設は、同じビルの中にあるとは思えないほど雰囲気が違っており、お互いの連携もイマイチでした。バスタ新宿を手掛けた国土交通省関東地方整備局とJR東日本の間で、この点についての話し合いは持たれなかったのか、不思議に思うほどです。

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バスタ新宿はすでに動き始めており、大きな変更はできません。しかし東京を代表するターミナルのひとつであり、世界の目が注がれる施設であることも確かです。両者が協力することで、空きスベースの活用や案内の充実などを行い、より良いターミナルに育てていってほしいと考えています。 

移動者の公共性を問う

今年は大型連休中の交通事故の報道が目立ちます。中でも個人的に気になったのは、判断ミスや運転ミスなどが原因ではない、起こるべくして起こった事故、避けられない事故がいくつかあったことです。

ひとつは今月3日、神戸市中央区で乗用車が暴走して歩道に乗り上げ、歩行者を相次いではね、5人が重軽傷を負った事故で、乗用車を運転していた男性が逮捕されました。その後の捜査や鑑定で、運転手は自身が鬱病であると認識しており、事故当時、助手席に乗っていた次男の呼びかけに返答できなかったそうです。さらに昨年も2度人身事故を起こしていたことが分かっています。

もうひとつは6日、東京都国分寺市で、生後7か月の赤ちゃんを背負った母親の自転車が乗用車と接触し、自転車が転倒。赤ちゃんが頭を打ち死亡した事故です。母親が運転する自転車は、赤ちゃんを背負うという不安定な状態で、信号待ちをしていた車の間を通り抜けて対向車線に出た際に、走ってきた乗用車と接触したそうです。こちらは乗用車を運転していた女性を逮捕しました。

神戸の事故を起こしたドライバーは、正常な運転ができなかった可能性が高いようです。こうしたドライバーは自ら運転を控えるべきですが、それが難しいなら、家族と医療機関、警察、自治体が連携して、正常な運転ができない人にはハンドルを握らせず、自動車を使わなくても生活できる場所で暮らしてもらう仕組みを作ることが急務でしょう。

国分寺の事故では、自転車は車両であり、対向車が走行する本線が優先であるにもかかわらず、自転車利用者は過失を問われず、ドライバーだけが逮捕された状況に疑問を持っています。自転車は車両であるという認識で対応してもらわないと、一部の自転車利用者の無謀運転を助長する恐れがあります。

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しかし今の日本の状況を考えると、行政や警察任せの姿勢では、また同様の事故が頻発するのではないかとも思っています。もっとも大事なのは、道路を利用するすべての人がルールを守り、マナーを心得ることです。そうすれば、現状下でも不幸な事故は確実に減るはずです。

先月東京都の新宿駅に開業したバスターミナルは、それまで駅をまたぐ陸橋上にあったタクシー乗り場もターミナル内に併設したことで、陸橋の渋滞が大幅に減りました。ところが先日訪れると、早くも駐停車禁止の陸橋上に違法駐車をしている車両を目にしました。この陸橋が駐停車禁止だと認識しているドライバーも多く、渋滞が発生していました。この状況が続くようだと、やがて事故が発生するでしょう。

私たちが使う道路の多くは、公道という呼び名があるとおり、公共の場所です。つまり公園や美術館などと同じです。歩行者、自転車、自動車など、さまざまな立場で移動をする人が同じ場所を共有して、初めて円滑な交通が成り立ちます。自転車や自動車はパーソナルなモビリティですが、だからといって自分さえ良ければいいという身勝手な移動は許されません。それを走らせる道はパブリックな場所だからです。

自分を含め、道路を使うひとりひとりが、道路は公共空間であるという認識を肝に銘じてほしいと思っています。

なぜ新幹線の復活が歓迎されたのか

今月14日に最初の地震が発生した熊本・大分両県を震源とする地震は、昨日も大分で震度5強を記録する余震が起こるなど、なかなか鎮まりません。被災地の皆様は、まだ避難所や車中で過ごしている方も多く、心労が重なっているのではないかと察しています。あらためてお見舞い申し上げます。

その一方で、復興への動きも進んでいます。交通関係では、19日に熊本空港が営業再開、21日にJR九州鹿児島本線が全線で運転再開し、九州新幹線は23日に博多〜熊本間の運転を再開すると、27日に全線開通。九州自動車道も29日に全線復旧しました。

九州新幹線

この中でひときわ大きなニュースとなったのが、九州新幹線の復活でした。九州自動車道より2日早かったこともあり、大動脈の復旧と大々的に報じられ、沿線住民だけでなく、被災地へ向かうボランティアや、被災地を励まそうという観光客など、多くの乗客を熊本へ運びました。その過程で、2011年に九州新幹線が全線開通した際に制作されたテレビCMも話題になりました。

なぜ新幹線の復活が大きく扱われたのか。そこには他の交通にはない「つながる」実感が大きいのではないかと考えています。飛行機や船には、道がありません。道路は見えますが、そこにバスが走っているとは限りません。運転免許を持っていない人は、誰かの助けを借りなければ遠距離移動が困難です。しかし鉄道は、線路や駅が営業していれば、確実に移動することができます。

これは新幹線に限らず、ローカル線を含めた鉄道すべてに言えることです。被災地の方々は、地震直後にはライフラインも寸断され、心細い思いをしてきたからこそ、新幹線によって多くの地域と「つながる」ことを心待ちにしたのでしょう。思えば東日本大震災後の三陸鉄道の運転再開のときもそうでした。

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移動とはそもそも、人間が本来持っている欲求のひとつであり、欧米ではそれを「移動権」として法制化している国もあるほどです。そして人は誰かと「つながる」ことで安心するものです。だからこそ今回のような災害時に、鉄道がありがたい存在になるのでしょう。
 
現在もなお、JR九州では熊本と大分を結ぶ豊肥本線の一部が運休しており、途中の立野を起点とする南阿蘇鉄道はいまも全線で運転を休止しています。また高速道路では、大分自動車道の日出ジャンクションと湯布院インターチェンジの間が通行止めとなっています。まだまだ余震が続く、予断を許さない状況ではありますが、1日も早く九州の交通が元通りになることを願っています。
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