THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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ベルリンのモビリティミックス

ドイツの首都ベルリンを16年ぶりに訪れました。今回は市内2か所で開催していた見本市の視察が主な業務だったので、公共交通で動きました。そこで見たのは、多種多様な乗り物が人々の移動を支えているという事実でした。

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鉄道は日本のJRの通勤電車に相当するSバーンと地下鉄のUバーンがあります。10路線あるUバーンは市内で完結しているのに対し、Sバーンは郊外にも伸びています。Sバーンは中心市街地を環状に巡る路線と東西に貫く路線がメインで、路線図は東京を思わせます。この鉄道網を補完するようにバスもくまなく走っており、市の東側では路面電車のネットワークも発達しています。 

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Sバーンは独特の2トーンカラー、Uバーン・路面電車・バスはすべて黄色で統一しており、識別しやすいものでした。運賃は多くの欧州都市と同じゾーン制で、環状線内がゾーン1、環状線外のベルリン市内がゾーン2、市外がゾーン3という、こちらも分かりやすいルールでした。 

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シェアリングサービスも充実しており、自転車、自動車に加えて電動スクーターまであります。自転車はいくつかの事業者が競合している状態。一方自動車はダイムラー、スクーターはボッシュという大企業の関連会社が運営しています。ちなみに自転車レーンは写真のように、歩道に敷設するパターンが多いようでした。

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これ以外にタクシーも走っており、もちろん自家用車も多く目にします。しかしここまで多種多様な公共交通を用意しているためか、渋滞はほとんど目にしませんでした。

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さまざまな乗り物を組み合わせることで便利な移動環境を提供することを、モビリティミックスと呼ぶことがあります。このブログでも初めて紹介する言葉です。異なる種類の発電方法を組み合わせて理想的な電力供給を実現するエネルギーミックスと同じような意味です。

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ベルリンのような大都市では、すべての人が状況に応じて最適の移動を選択できることが、都市力の重要なポイントだと思っています。もちろんそこでは使う力も求められます。自動車産業が主力の国の首都でありながら公共交通を充実させ、誰もが環境に負荷を掛けず快適に移動できるモビリティシーンを作り出した姿勢に共感しました。

ちょっと変わった「自動運転本」出しました

久しぶりに本を出すことになりました。写真でお分かりのとおり自動運転に関する書籍で、4年前の超小型モビリティの本と同じ秀和システムから、来週火曜日9月12日に発売となります。すでにAmazonなどでは予約を受け付けています。価格は1500円(税抜き)です。

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自動運転に関する書籍は多く出されていますが、本書はタイトルにもあるとおり、自動運転の導入によって社会はどうなるか?にフォーカスを当てている点が、やや違うのではないかと思っています。 歴史や技術の解説もしていますが、単なる技術書や経営書ではなく、もっと広い視野での「自動運転社会」を想像しながら、専門的にならず分かりやすく書いたつもりです。

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国内外の数多くの自動運転・無人運転に接してきた結果思ったのは、自動運転にはソーシャルとマーケティングの2つの側面があることです。個人的にはその中で、ソーシャル面を大事にすべきという結論に至りました。よって本書では自動車メーカーの自動運転とIT企業などが主導する無人運転車に同じ比重を置いています。どちらが勝つかではなくどちらも選べることが、安全快適な社会を作るからです。
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もうひとつ、自動運転の基礎技術はほぼ確立しており、そろそろ「どう作るか」から「どう使うか」に考えをシフトすべきと感じています。世界各地で普及しているライドシェアが、10年前に登場したスマートフォン前提のサービスであることを思い出してみてください。自動運転をより便利なものとするためには、ソフト面の発展が大切であると考えています。

このように一風変わった自動運転本ですが、気になった方はぜひお求めいただければと思っています。よろしくお願いいたします。

トロリーバスは過去の遺物なのか

北アルプスを貫いて富山県と長野県を結ぶ観光ルート、立山黒部アルペンルートのうち、富山県の黒部ダムと長野県の扇沢を結ぶ関西電力運行の関電トンネルトロリーバスが2018年で運行を終了し、電動バスに切り替わるというニュースが入ってきました。日本でトロリーバスが走っているのは同じ立山黒部アルペンルートの立山トンネルとここだけです。そのひとつが消滅するということになります。

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日本ではかつて多くの都市にトロリーバスが走っていましたが、現在は2系統だけ。そのひとつが消えるわけで、絶滅危惧種扱いしている人もいるようです。ところが海外ではしばしば見ることができます。筆者はそのうちフランスのリヨンとスイスのローザンヌで乗ったことがあります。ともに内陸にある坂が多い街です。ディーゼルバスでは登り坂での排気ガスが気になり、しかも内陸ゆえそのガスが留まりやすいので好ましくないと考えているようです。

リヨンのトロリーバス

立山黒部アルペンルートも坂道が多いうえに、走行ルートの多くがトンネルなので、排気ガスを出さないトロリーバスを導入したそうです。しかしトロリーバスは電車と同じように架線が必要。長いトンネルの中の架線の保守点検は大変であると想像できます。加えて電気自動車に使うバッテリーが進化したことで、架線に頼る必要がなくなったことも大きいでしょう。

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そしてもうひとつ、日本でトロリーバスを走らせるには厄介な法律があります。車体まわりはどう見てもバスなのに鉄道扱いになることです。海外では同じ道をトロリーバスとディーゼルバスが交互に走るようなシーンをよく見かけますが、日本では鉄道とバス、2種類の申請をしなければならないことになります。信号システムなども別になります。 

実は電動バスも、最新型はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)や東芝インフラシステムズなどがマレーシアで走らせはじめた車両のように、屋上から集電装置を伸ばして充電を行う、トロリーバスのような方式が多くなっています。乗務員がプラグを差したり抜いたりする必要がなく、路面から床下に電気を流すより安全です。黒部のバスにもこの方式が導入されるという噂があります。

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東芝インフラシステムズのウェブサイト=https://www.toshiba.co.jp/cs/

一方スウェーデンでは大型トラックの電動化に向けて、高速道路の車線上に架線を張り、トロリーバスのように上から集電することで長距離走行を可能とする技術の研究開発が進んでいます。充電が必要な一定区間だけ設置するなら、整備費用もそれほどかさまずに済みそうです。

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トロリーバスをバスの仲間としておけば、スウェーデンのように架線を張ることで、同じ集電装置で走行中も充電できるはずであり、バッテリー容量を抑えることが可能となります。以前このブログで紹介した、JR東日本烏山線を走る蓄電池駆動電車に似た方式です。バスの電動化を進めるためにも、そろそろルールを変えて良いのではないかと思っています。
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