今週18日、東京都心の京橋から銀座を経由して汐留に至る全長2kmの東京高速道路、通称KK線について、東京都が2年前から進めてきた検討会で、自動車専用から歩行者中心に転換し、緑豊かな公共空間とすべきという提言を踏まえ、今年度中に方針をとりまとめ、具体化に向けて進めていくことになったという報道がありました。
この少し前にはフランスのパリで、シャンゼリゼ通り1.9kmの歩行者ゾーンを広げてテラスカフェや専用のサイクルレーンも用意し、車道を片側2車線に縮小する2019年提案の計画に、アンヌ・イダルゴ市長がゴーサインを出したというニュースが流れました。これには両端にあるコンコルド広場、凱旋門があるエトワール広場も含まれます。 つまり日仏の首都で歩行者中心の道づくりが進むことになります。
Comité Champs-Elyséesのウェブサイト =
https://www.comite-champs-elysees.com/le-comite-champs-elysees-salue-la-decision-de-la-mairie-de-paris-de-transformer-lensemble-de-lavenue-des-champs-elysees/
KK線はかなり前にこのブログでも取り上げました。第2次世界大戦後の銀座の復興と渋滞緩和のため、銀座周辺の外堀と京橋川、汐留川を埋め立てて高架道路を建設したもので、道路下を地上2階、地下1階の商業施設としてテナント料を徴収し、通行料無料としていることが特徴です。両端で首都高速道路の都心環状線と接続し、銀座の北端で八重洲線が分岐しています。
首都高速では都市景観の観点から、日本橋付近の都心環状線を地下に移す計画が進んでおり、八重洲線はKK線の旧京橋川部分の地下を進んで都心環状線に合流する計画です。計画が実現すると、通行量が大幅に減少すると予想されることから、今後についていくつかの方向性を検討した結果、「Tokyo Sky Corridor(空中回廊)」として緑豊かな公共空間を目指すことになったそうです。
東京都都市整備局のウェブサイト = https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bunyabetsu/kotsu_butsuryu/kk_arikata.html
一方パリのイダルゴ市長は2014年の当選以来、都市の道路を自動車中心から歩行者と自転車を優先したモデルに変えることを提唱し、セーヌ川沿いの道路の一部を公園に転換するなどしてきました。コロナ禍であってもこの流れは変わらず、2024年までに最大650kmの一時的・恒久的な自転車専用レーンを設置する計画を発表しました。
もっともパリではそれ以前から、歩行者中心の政策を推進してきたことも確かです。 そのひとつがクレ・ヴェルト・ルネ=デュモン(coulée verte René-Dumont)です。1969年に廃止された鉄道の線路跡を20年後に線状公園に仕立てたもので、レンガ造りの高架橋の下はレストランやショップが並んでいます。ニューヨークの貨物線跡を公園に転換した通称ハイラインは、ここを参考に作られたと言われています。
しかしKK線のような高架道路の転換例は異例です。高いところから銀座の街並みを眺め、適度に休みを取りながら京橋から汐留まで歩いて行けるとなれば、東京の新名所になることは確実でしょう。ただし全長2kmなのでパーソナルモビリティの用意があればありがたいですし、下で販売している飲食物が上で味わえるような仕組みを作っても喜ばれるのではないかと思います。
最初に書いたように、KK線が走る場所は昔は水路でした。水路が道路に変わり、移動や物流の主役が船から自動車に変わったことになりますが、それが歩行者のための広場になるというのは、シャンゼリゼの歩行者ゾーン拡大ともども、新たなフェーズに入ったと感じます。以前紹介した国土交通省の「2040年、道路の景色が変わる」もそうでしたが、先進技術を駆使して効率性や安全性を「進化」させつつ、人々の交流の場に「回帰」させる道づくりが、これからの主流になりそうな気がします。
この少し前にはフランスのパリで、シャンゼリゼ通り1.9kmの歩行者ゾーンを広げてテラスカフェや専用のサイクルレーンも用意し、車道を片側2車線に縮小する2019年提案の計画に、アンヌ・イダルゴ市長がゴーサインを出したというニュースが流れました。これには両端にあるコンコルド広場、凱旋門があるエトワール広場も含まれます。 つまり日仏の首都で歩行者中心の道づくりが進むことになります。
Comité Champs-Elyséesのウェブサイト =
https://www.comite-champs-elysees.com/le-comite-champs-elysees-salue-la-decision-de-la-mairie-de-paris-de-transformer-lensemble-de-lavenue-des-champs-elysees/
KK線はかなり前にこのブログでも取り上げました。第2次世界大戦後の銀座の復興と渋滞緩和のため、銀座周辺の外堀と京橋川、汐留川を埋め立てて高架道路を建設したもので、道路下を地上2階、地下1階の商業施設としてテナント料を徴収し、通行料無料としていることが特徴です。両端で首都高速道路の都心環状線と接続し、銀座の北端で八重洲線が分岐しています。
首都高速では都市景観の観点から、日本橋付近の都心環状線を地下に移す計画が進んでおり、八重洲線はKK線の旧京橋川部分の地下を進んで都心環状線に合流する計画です。計画が実現すると、通行量が大幅に減少すると予想されることから、今後についていくつかの方向性を検討した結果、「Tokyo Sky Corridor(空中回廊)」として緑豊かな公共空間を目指すことになったそうです。
東京都都市整備局のウェブサイト = https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bunyabetsu/kotsu_butsuryu/kk_arikata.html
一方パリのイダルゴ市長は2014年の当選以来、都市の道路を自動車中心から歩行者と自転車を優先したモデルに変えることを提唱し、セーヌ川沿いの道路の一部を公園に転換するなどしてきました。コロナ禍であってもこの流れは変わらず、2024年までに最大650kmの一時的・恒久的な自転車専用レーンを設置する計画を発表しました。
もっともパリではそれ以前から、歩行者中心の政策を推進してきたことも確かです。 そのひとつがクレ・ヴェルト・ルネ=デュモン(coulée verte René-Dumont)です。1969年に廃止された鉄道の線路跡を20年後に線状公園に仕立てたもので、レンガ造りの高架橋の下はレストランやショップが並んでいます。ニューヨークの貨物線跡を公園に転換した通称ハイラインは、ここを参考に作られたと言われています。
しかしKK線のような高架道路の転換例は異例です。高いところから銀座の街並みを眺め、適度に休みを取りながら京橋から汐留まで歩いて行けるとなれば、東京の新名所になることは確実でしょう。ただし全長2kmなのでパーソナルモビリティの用意があればありがたいですし、下で販売している飲食物が上で味わえるような仕組みを作っても喜ばれるのではないかと思います。
最初に書いたように、KK線が走る場所は昔は水路でした。水路が道路に変わり、移動や物流の主役が船から自動車に変わったことになりますが、それが歩行者のための広場になるというのは、シャンゼリゼの歩行者ゾーン拡大ともども、新たなフェーズに入ったと感じます。以前紹介した国土交通省の「2040年、道路の景色が変わる」もそうでしたが、先進技術を駆使して効率性や安全性を「進化」させつつ、人々の交流の場に「回帰」させる道づくりが、これからの主流になりそうな気がします。