THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

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モンパルナスの駅上庭園が意味するもの

一見すると普通の大都市の公園。しかしこの場所はタイトルにあるように駅の上です。場所はパリの鉄道ターミナルのひとつモンパルナス駅です。ホームの上に人工地盤を築き、緑で埋め尽くしてしまったことになります。

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パリの他の鉄道駅が石造りの重厚な建物と大きな屋根を特徴とするのに対し、モンパルナス駅はいわゆる駅ビルとなっています。1960年代に駅の位置を南に移動させ、それまで駅がある場所に高層ビル(モンパルナスタワー)を建てるという再開発が実施されたためで、駅舎を含めて三方をビルで囲まれる姿となりました。

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しかしその後、パリでは行きすぎた再開発を見直す動きが起こり高層ビルの建設はストップ。逆に緑地を増やしていきます。この過程でラ・ヴィレットの食肉市場、ベルシーのワイン倉庫、シトロエンの自動車工場の跡地などが公園に姿を変えました。その流れでモンパルナス駅のホーム上も1994年に庭園化されたのです。

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名前はアトランティック庭園。モンパルナス駅を出るTGVが大西洋岸に向かうことが理由だそうです。たしかに照明のデザインは風になびく旗を思わせ、公園の中央にはギリシャ神話に出てくる西の楽園ヘスペリデスの園にちなんだ「ヘスペリデスの島」があり、温度計や風向計などを内蔵したオブジェが置いてあります。明確なコンセプトが空間をより魅力的に見せています。

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公園の中には子どものための遊園地、テニスコート、さらに美術館もあります。複合的な余暇施設であることが分かります。駅に早く着いたとき、こうした場所でも待ち時間を過ごすことができそうです。ちなみに敷地内にいくつかある通気口からは駅のアナウンスや電車の音、乗客の喧騒が聞こえてきます。

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東京で駅の上のスペースというと、ほぼ例外なく商業施設になります。モンパルナス駅にもカフェや売店はありますが、それ以上にこの公園のようなフリーな場所に多くの空間が割かれています。これは駅に限ったことではありません。近年のパリは空間があれば緑にするような雰囲気なのに対し、東京は空間があれば店を作るという印象があります。文化の違いを痛感しました。

東京地下鉄運賃統一に必要なこと

下の写真は私が海外で使った公共交通の乗車券です。カード式が多いうえに、1日乗車券やプリペイド式乗車券を使う機会が多かったので手元に残っているようです。こうして海外で公共交通を使っていると、日本とくに東京との違いがよく分かります。少し前に東洋経済オンラインの記事にまとめたので、興味のある方はご覧ください。

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東洋経済オンラインの記事=http://toyokeizai.net/articles/-/176049

そこでも触れたのですが、 東京の鉄道が多くの事業者によって分割運営されていることは、1日乗車券を含め、国内外からの観光客にさまざまな悪影響を及ぼしています。その最たるものが、地下鉄の運営事業者が東京メトロと都営地下鉄の2つあることでしょう。駅へ行くと自分の路線網の料金表が中心に据えられ、もうひとつの地下鉄への乗り換えは連絡乗車券扱いになるというのは、なんとも理解しにくいものです。

海外にも複数の交通事業者が都市交通を運営する例はあります。そのひとつがシンガポールで、地下鉄に相当するMRT(マス・ラピッド・トランジット)と新交通システムのLRT(ライト・ラピッド・トランジット)が、SBSトランジットとSMRTトレインズの2社で運行されています。しかし運賃体系はひとつで、通常のきっぷで相手の鉄道会社の駅に行けます。フランスのパリもフランス国鉄とパリ交通公団が地下鉄や路面電車などを走らせていますが、運賃は一元化されています。

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東京メトロの山村明義社長が昨日の社長就任会見で、2020年をめどに都営地下鉄との運賃の一元化について協議していることを明らかにしました。お互いの路線を乗り継いだ際に発生する2度目の初乗り運賃をなくし、単純に距離に応じた料金とする方式が有力とのことです。その理由として外国人利用客などから「分かりにくい」との声が上がっていたことを挙げています。

東京の地下鉄一元化については、猪瀬直樹元都知事が積極的に取り組み、九段下駅の東京メトロ半蔵門線と都営地下鉄新宿線の間の壁を撤去するなどの実績を残しました。しかしその後の舛添要一都知事は問題に触れることもないまま辞任。小池百合子現都知事も東京メトロ社長の発言を受け、「効果や経営面への影響など分析を進めながら検討する必要がある」と言及するにとどめています。

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東京地下鉄一元化に慎重な立場を取ってきた東京メトロの新社長がこの問題に触れたのは、動かない自治体に業を煮やしたためもあると思っています。都市交通を前に進めるには自治体の力が重要であることは、国内外の多くの事例が証明してます。東京都が主導して問題解決を進めてほしいところですが、残念ながら明日投票が行われる東京都議会議員選挙で、この件に触れた候補者はほとんどいないようです。

ル・マンはトラムも24時間

世界3大レースのひとつと言われるフランスのル・マン24時間レースを初めて観戦しました。レースが行われるサーキットは多くの場合、公共交通では行きにくい場所にあるのですが、ル・マンは2007年にトラム(LRT)が導入されたことで、数少ない例外となりました。私もトラムを使ってサーキットに向かいました。

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トラムはフランス国鉄ル・マン駅を中心に3路線が走っています。このうち3号線はバスを使ったBRTで、1・2号線が路面電車になっています。駅の南方にあるサーキットへ向かうのは1号線です。パリのモンパルナス駅からル・マン駅までは高速鉄道TGVで約1時間。駅のすぐ横にトラムの停留場があるので乗り換えは楽です。

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ル・マン24時間には2輪レースと4輪レースがあり、2輪はブガッティ・サーキットと呼ばれる専用コースで開催されるのに対し、今回観戦した4輪レースは周辺の一般道を含めたサルト・サーキットで行われます。終点のAntarès-MMArena停留場はこのサルト・サーキットの内側にあり、3分ほどで入口に着きます(上の写真の奥に入口が見えるかと思います)。

ル・マンの街にとって24時間レースは特別なイベントであり、街の各所にポスターが貼られ、レストランやショップにはレースをイメージした飾り付けがなされます。そしてトラムも「24時間仕様」になります。路線案内はレーシングドライバーのイラストが入った専用のものとなり、乗車券も同様のデザインになります。そしてレースが行われる土曜日から日曜日にかけては終夜運転が行われます。

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キャンピングカーやテントを持ち込んだ人以外は、スタートからゴールまでサーキットに居続ける人は少なく、どこかのタイミングで自宅やホテルに戻ります。長丁場ということでお酒を飲みながら観戦する人もいるでしょう。またサーキットに行ったことがある人の多くは、帰りの渋滞に悩まされた経験をお持ちだと思います。いろんな面でトラムの24時間運行はありがたい存在です。

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各時間帯の運転間隔は決まっていますが、帰り客が殺到した時間帯には次々に車両が送り込まれていました。阪神電鉄の甲子園駅を思わせる臨機応変な輸送を行っていました。またレース前日夕方には市内のジャコバン広場周辺でドライバーのパレードが行われましたが、このときはパレードのコースと重なる区間を運休としていました。

ヨーロッパにおけるトラムは、多くが都市問題の解決のために導入されています。しかしル・マンの場合はそれに加え、世界的に有名なモータースポーツ・イベントの成功を後押しする存在でもありました。自動車と鉄道を敵対関係に位置付ける人も多い中で、ここでは見事な共存が図れていました。
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