本田技研工業(ホンダ)と米国GMクルーズホールディングス(クルーズ)、ゼネラルモーターズ(GM)が今週、日本で自動運転タクシーサービスを2026年初頭に開始するために、サービス提供のための合弁会社設立に向けた基本合意書を締結したと発表しました。指定場所への迎車から目的地への到達まですべて自動運転で行われ、配車から決済までをスマートフォンのアプリで完結するサービスとなるそうです。
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使用するのは3社で共同開発した専用車両「クルーズ・オリジン」で、運転席のない対面6人乗りの箱型であり、自動運転レベルはレベル4相当になるとのことです。同車は来週から東京ビッグサイトで開催される「Japan Mobility Show 2023」で展示予定となっています。当初導入するのは東京都心部で、数十台レベルからスタートし、500台規模での運用を見込んでいるとのこと。その後台数の増加、サービス提供エリアの拡大も目指していくそうです。
私は以前から、自動運転移動サービスは人口減少や高齢化などに悩み、なおかつ交通量が少ない地方こそ向いていると主張してきました。なのでクルーズ・オリジンも地方に進出してほしいと思っていますが、東京都心でまず始めるというプロセスも、別の視点で理解できます。
クルーズのオフィシャルサイトはこちら
東京は交通量が多いので、多彩でかつ難易度の高い交通状況が体験できます。ホンダ自身、ここで安心して使えるサービスが実現できれば、他の地域への展開は難しくはないと説明しています。クルーズがまず米国サンフランシスコで自動運転タクシーサービスを導入したのも、坂道が多くケーブルカーを含めた多彩な交通が存在しているからだったそうです。このあたりの考え方は、ホンダが初めての四輪レースでいきなり頂点のF1に挑戦したことと、なんとなく共通しています。
それに東京都心から始まった新しいモビリティサービスは他にもあります。少し前にこのプログでも紹介しましたが、電動キックボードシェアリングのLUUPは当方の取材に対して、実証実験の場所を東京都心とした理由として、短期間に大量の移動データを取ることが安全性の検証に必要であり、スタートアップで予算もない自分たちにとっても重要だったと語っていました。その結果、現在はホンダが技術実証を行う宇都宮市のほか、宮城県仙台市や大分県別府市など全国各地に展開しています。
東京から導入する理由として、ビジネス面で有利ということもあるでしょう。逆に言えば地方で展開するにはやはり、初期投資や事業収支が問題になりそうです。このあたりは鉄道の考え方に近いのではないかと思います。多くの地方鉄道が、利用者の減少で厳しい状況に置かれていますが、一方で7月に開業した芳賀・宇都宮LRTは投資に見合った効果を出しつつあります。どちらも初期投資や営業収支に左右されず、長い目で考えることが大切だと思います。
もうひとつ、自動運転移動サービスの実現は、ライドシェアとタクシーの関係を変える可能性もあると考えています。ドライバーがいないので、2種免許の有無は関係なくなるからです。それでも一部のタクシー関係者はライドシェア同様、自動運転についても反対するかもしれません。しかしドライバー不足は現実に起こっていることであり、その影響をもっとも受けるのは移動者たちです。乗る人たちのことを第一に考えて判断を下してほしいと願っています。
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使用するのは3社で共同開発した専用車両「クルーズ・オリジン」で、運転席のない対面6人乗りの箱型であり、自動運転レベルはレベル4相当になるとのことです。同車は来週から東京ビッグサイトで開催される「Japan Mobility Show 2023」で展示予定となっています。当初導入するのは東京都心部で、数十台レベルからスタートし、500台規模での運用を見込んでいるとのこと。その後台数の増加、サービス提供エリアの拡大も目指していくそうです。
私は以前から、自動運転移動サービスは人口減少や高齢化などに悩み、なおかつ交通量が少ない地方こそ向いていると主張してきました。なのでクルーズ・オリジンも地方に進出してほしいと思っていますが、東京都心でまず始めるというプロセスも、別の視点で理解できます。
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東京は交通量が多いので、多彩でかつ難易度の高い交通状況が体験できます。ホンダ自身、ここで安心して使えるサービスが実現できれば、他の地域への展開は難しくはないと説明しています。クルーズがまず米国サンフランシスコで自動運転タクシーサービスを導入したのも、坂道が多くケーブルカーを含めた多彩な交通が存在しているからだったそうです。このあたりの考え方は、ホンダが初めての四輪レースでいきなり頂点のF1に挑戦したことと、なんとなく共通しています。
それに東京都心から始まった新しいモビリティサービスは他にもあります。少し前にこのプログでも紹介しましたが、電動キックボードシェアリングのLUUPは当方の取材に対して、実証実験の場所を東京都心とした理由として、短期間に大量の移動データを取ることが安全性の検証に必要であり、スタートアップで予算もない自分たちにとっても重要だったと語っていました。その結果、現在はホンダが技術実証を行う宇都宮市のほか、宮城県仙台市や大分県別府市など全国各地に展開しています。
東京から導入する理由として、ビジネス面で有利ということもあるでしょう。逆に言えば地方で展開するにはやはり、初期投資や事業収支が問題になりそうです。このあたりは鉄道の考え方に近いのではないかと思います。多くの地方鉄道が、利用者の減少で厳しい状況に置かれていますが、一方で7月に開業した芳賀・宇都宮LRTは投資に見合った効果を出しつつあります。どちらも初期投資や営業収支に左右されず、長い目で考えることが大切だと思います。
もうひとつ、自動運転移動サービスの実現は、ライドシェアとタクシーの関係を変える可能性もあると考えています。ドライバーがいないので、2種免許の有無は関係なくなるからです。それでも一部のタクシー関係者はライドシェア同様、自動運転についても反対するかもしれません。しかしドライバー不足は現実に起こっていることであり、その影響をもっとも受けるのは移動者たちです。乗る人たちのことを第一に考えて判断を下してほしいと願っています。