オランダの首都アムステルダムを訪れる機会がありました。アムステルダムの都市交通は、運河を活用した船の他、陸上では地下鉄、路面電車、バス、自家用車など、さまざまな乗り物が共存していますが、やはりいちばん有名なのは自転車ではないでしょうか。

今回は中心市街地と郊外を徒歩や自動車で巡ったのですが、とくに中心市街地の朝夕は通勤の自転車の帯が出現し、かつての中国を思い出しました。郊外になると少なくなりますが、それでも数分に1台はすれ違うような状況です。

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使用している自転車は、ロードバイクのようなスポーツ系は少なく、実用車が中心で、平坦な地形もあってギアなしが主流です。つまり趣味というより、安価で環境に優しい移動手段として生活の中に溶け込んでいる様子が伺えました。シェアサイクルやレンタサイクルの姿も多く見受けられました。

自転車レーンの整備も驚くほどのレベルでした。狭い道では自動車同様、車道の右側を走っていますが、それは例外的で、多くの道で独立したレーンを用意しています。ただそのレーンは、必ずしも車道右側ではなく、歩道にもあり、対面通行としている例もひんぱんに見かけました。レーンの色は多くの場所でレンガ色としていました。

駐輪場も数多く用意されているのですが、橋の欄干や運河の柵などに括り付ける車両も多く、景観面からは好ましくないという印象を受けました。運転マナーについては、日本的な譲り合いの精神はなく、進んで自分の進路を取りに行くような積極性が目立ちました。W杯サッカーにおける両国の戦い方の違いを連想しました。

たしかに自転車レーンの充実や右側通行の遵守など、素晴らしい部分がたくさんありましたが、駐輪マナーはそうでもなく、レーンの敷設は車道右側にこだわらず臨機応変に導入していました。これは自動車や公共交通の分野にも言えることですが、ヨーロッパの状況を美化しすぎて紹介している例が目立ちます。冷静に現状を観察し、正確な情報を流すことが大切だと痛感しました。