北陸地方の交通改革というと、私も書籍に記した富山が有名ですが、他の場所でもさまざまな動きがあります。その中から、近年変貌著しい福井駅周辺に足を運び、ここを地盤とする2つの鉄道、福井鉄道とえちぜん鉄道を中心とした現状を、地元の専門家の方にご案内いただいて見学してきました。

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JR福井駅に降り立つのは初めてです。まずは今年春に完成したばかりという西口の交通広場に驚かされました。目の前にバスのロータリー、右手にタクシー乗り場があり、奥には以前は駅前通りにあった福井鉄道の停留場が延伸され、交通広場に組み込まれています。整理されていて分かりやすく、白を基調とした建造物も洗練されていて、2005年に一新した駅舎と統一感がありました。

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3年前に登場した福井鉄道の新型車両、FUKURAMの愛称が付けられたF1000形に乗って移動します。駅前通りは活気にあふれていました。もともと駅前に県庁や市役所などが集結したコンパクトシティであるところに再開発の手が入り、商業施設も入る大型ビルが完成したことも大きそうですが、駅や電車のデザイン力も貢献していそうです。

次に向かったのは田原町駅。ここは以前からえちぜん鉄道との乗換駅でしたが、今年春に線路をつなげ、相互乗り入れが始まりました。地方鉄道で異なる事業者同士が乗り入れ運転を行うのは異例です。それに合わせて田原町駅はリニューアルし、木の風合いを活かした素敵な空間となっていました。

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その後、乗り入れ列車の終点であるえちぜん鉄道の鷲塚針原駅まで行って折り返し、今度は福井市の隣にある、メガネ作りで有名な鯖江市まで足を伸ばしました。大都市ほど本数が多くない地方鉄道だからこそ、乗り換えなしで行けるのは便利です。

福井駅の近くを通り抜けてしばらくすると、線路は道路から離れ、軌道から鉄道に変わります。沿線で目立つのはパーク&ライド駐車場です。写真の水落駅をはじめ、鉄道区間の半分以上の駅に用意されており、イベントホールやショッピングセンターの駐車場と共用とした駅もあります。えちぜん鉄道でも多くの駅にパーク&ライド駐車場を用意しています。

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福井鉄道、えちぜん鉄道ともに、かつては廃止が議論されました。しかし沿線住民の存続の要望に応え、福井県や沿線の市がサポートする形で存続が決まりました。さらに福井県は2011年、「クルマに頼り過ぎない社会づくり」を進める宣言も出しています。県を挙げて公共交通再整備を推進しているのです。

その流れから、福井鉄道とえちぜん鉄道の相互乗り入れ、新型車両導入、パーク&ライドなどが実現しました。他にも新駅開業、乗継運賃割引など、さまざまな活性化策を実施しています。効果は確実に出ており、新聞記事によれば、2008年度には約160万人だった福井鉄道の乗客数は、2015年度には約198万人にも増えています。

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福井の交通改革は、富山ほど知られていないようです。しかし既存の設備を上手に活用していること、基幹となる車両や施設に集中的に投資をしていること、デザインの力を活用して魅力的に見せていることに関しては、遜色ないという印象を受けました。もうひとつの北陸交通改革として、今後も目を向けていきたいと思っています。