THINK MOBILITY

モビリティジャーナリスト森口将之のブログです。モビリティやまちづくりについて気づいたことを綴っています

2021年01月

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コロナ禍での二輪車人気に思う

毎年1月は前年の統計がいろいろ発表されます。それを見ると、新型コロナウイルス感染拡大でモビリティシーンにもさまざまな変化が訪れたことを実感します。そのひとつに、二輪車の増加が挙げられます。東京の道を見ていても目にすることが増えたと感じていますが、数字にもそれは現れています。

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日本自動車工業会、日本自動車販売協会連合会、全日本軽自動車協会連合会が発表した2020年の新車販売台数を前年と比べると、軽自動車を除く乗用車は87.8%、軽乗用車は90.0%なのに対し、軽二輪車(125〜250cc)は127.5%、小型二輪車(251cc以上)は101.4%と伸びています。原付(原動機付自転車)の出荷台数は一種(〜50cc)が92.7%、二種(51〜125cc)が96.5%でともに減っていますが、自動車に比べると落ち込み幅は小さくなっています。

コロナ禍でパーソナルモビリティの需要が高まったことは各所で報じられていますが、自動車は車両価格や維持費が高く、すぐに買えるような乗り物ではありません。それに比べれば二輪車は敷居が低く、速達性は自転車はもちろん自動車より上です。軽二輪がとりわけ人気なのは、車検がないのに高速道路に乗れるカテゴリーであるうえに、魅力的な新型車が登場したことが大きいでしょう。

感染防止という観点でも二輪車は有利です。そもそも密室ではありませんし、シールド付きヘルメットはフェイスシールドに近い効果があります。フルフェイスのヘルメットならマスクに近い状況ではないでしょうか。さらに二人乗りの場合は前後に座り、会話にはインカムなどを使うため、自動車より安全と言えます。

とはいえ二輪車にはネガティブな要素もあります。それが表に出たのが昨年の交通事故統計です。警察庁の発表によれば、2020年の交通事故死者数は2,839人で、前年より376人少なく、統計開始から初めて3,000人を下回りました。しかし都道府県別で見ると、前年より増えた地域がいくつかあります。特に目立つのは東京都で、22人も増えて155人になり、ひさしぶりにワースト1になりました。

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警視庁のウェブサイト = https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/jokyo_tokei/tokei_jokyo/index.html

そこで警視庁の統計で死者が大きく増えている項目を見ると、歩行中が10人、自動二輪車運転中が8人、原付運転中が4人プラスとなっていました。歩行中の事故死者が増えたのは、テレワークでいつもとは違う場所を歩く人が増えたためと想像します。原付を含む二輪車運転中の犠牲者が増加したのも、コロナ対策で二輪車で移動する機会が増えた人が多かったからではないかと推測しています。

ではどうすればいいのでしょうか。長年ライダーとして過ごしてきた自分の意見は、まず不要不急の外出は避けることです。現在は病床が逼迫している地域もあるのでなおさらです。また二輪車は天候に大きく左右されます。タイヤの接地面積が小さいので、雨の日はもちろん、同じ道でも路面やタイヤが冷えているとグリップ力が落ちます。横断歩道などのペイント、マンホールの蓋を含め、注意して運転することが大事です。

体がむき出しなので、天候にも左右されます。寒い時期はどうしても体が冷え、動きが悪くなりがちです。昔と比べると今は耐寒性に優れたウェアが多く出ているので、そういうものを身につけ、車体にスクリーンやガードなどを追加すれば、快適性はかなりアップするはずで、それが安全性にもつながると思っています。そして機会があればライディングスクールで自分の技術を見直すこともお勧めします。

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以前にも書きましたが、日本は世界有数の二輪車生産国でありながら、欧州やアジアと比べると普及は今ひとつです。たしかにリスクもありますが、機動性に優れ、操る楽しさが満喫できるだけでなく、環境対策や渋滞緩和にも貢献するうえに、モビリティで重要になる「自由」をもっとも満喫できる乗り物のひとつです。コロナを機にこの世界を知った方々は、安全に留意しつつ、魅力的な移動手段を体験していってほしいと思います。

東京とパリで進む「道路から広場へ」の流れ

今週18日、東京都心の京橋から銀座を経由して汐留に至る全長2kmの東京高速道路、通称KK線について、東京都が2年前から進めてきた検討会で、自動車専用から歩行者中心に転換し、緑豊かな公共空間とすべきという提言を踏まえ、今年度中に方針をとりまとめ、具体化に向けて進めていくことになったという報道がありました。

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この少し前にはフランスのパリで、シャンゼリゼ通り1.9kmの歩行者ゾーンを広げてテラスカフェや専用のサイクルレーンも用意し、車道を片側2車線に縮小する2019年提案の計画に、アンヌ・イダルゴ市長がゴーサインを出したというニュースが流れました。これには両端にあるコンコルド広場、凱旋門があるエトワール広場も含まれます。 つまり日仏の首都で歩行者中心の道づくりが進むことになります。

Bas des Champs Élysées bird view ©PCA-STREAM
Comité Champs-Elyséesのウェブサイト =
https://www.comite-champs-elysees.com/le-comite-champs-elysees-salue-la-decision-de-la-mairie-de-paris-de-transformer-lensemble-de-lavenue-des-champs-elysees/

KK線はかなり前にこのブログでも取り上げました。第2次世界大戦後の銀座の復興と渋滞緩和のため、銀座周辺の外堀と京橋川、汐留川を埋め立てて高架道路を建設したもので、道路下を地上2階、地下1階の商業施設としてテナント料を徴収し、通行料無料としていることが特徴です。両端で首都高速道路の都心環状線と接続し、銀座の北端で八重洲線が分岐しています。

首都高速では都市景観の観点から、日本橋付近の都心環状線を地下に移す計画が進んでおり、八重洲線はKK線の旧京橋川部分の地下を進んで都心環状線に合流する計画です。計画が実現すると、通行量が大幅に減少すると予想されることから、今後についていくつかの方向性を検討した結果、「Tokyo Sky Corridor(空中回廊)」として緑豊かな公共空間を目指すことになったそうです。

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東京都都市整備局のウェブサイト = https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bunyabetsu/kotsu_butsuryu/kk_arikata.html

一方パリのイダルゴ市長は2014年の当選以来、都市の道路を自動車中心から歩行者と自転車を優先したモデルに変えることを提唱し、セーヌ川沿いの道路の一部を公園に転換するなどしてきました。コロナ禍であってもこの流れは変わらず、2024年までに最大650kmの一時的・恒久的な自転車専用レーンを設置する計画を発表しました。

もっともパリではそれ以前から、歩行者中心の政策を推進してきたことも確かです。 そのひとつがクレ・ヴェルト・ルネ=デュモン(coulée verte René-Dumont)です。1969年に廃止された鉄道の線路跡を20年後に線状公園に仕立てたもので、レンガ造りの高架橋の下はレストランやショップが並んでいます。ニューヨークの貨物線跡を公園に転換した通称ハイラインは、ここを参考に作られたと言われています。 

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しかしKK線のような高架道路の転換例は異例です。高いところから銀座の街並みを眺め、適度に休みを取りながら京橋から汐留まで歩いて行けるとなれば、東京の新名所になることは確実でしょう。ただし全長2kmなのでパーソナルモビリティの用意があればありがたいですし、下で販売している飲食物が上で味わえるような仕組みを作っても喜ばれるのではないかと思います。

最初に書いたように、KK線が走る場所は昔は水路でした。水路が道路に変わり、移動や物流の主役が船から自動車に変わったことになりますが、それが歩行者のための広場になるというのは、シャンゼリゼの歩行者ゾーン拡大ともども、新たなフェーズに入ったと感じます。以前紹介した国土交通省の「2040年、道路の景色が変わる」もそうでしたが、先進技術を駆使して効率性や安全性を「進化」させつつ、人々の交流の場に「回帰」させる道づくりが、これからの主流になりそうな気がします。

移動のエネルギーをどう考えるか

年が明けてからも新型コロナウィルスの感染拡大が止まらない日々が続きますが、一方で今月はこれまでに、モビリティに関係する2つの大きなニュースがありました。北陸地方などを襲った大雪と、全国的な電力不足です。この2つの出来事では、電気自動車で立ち往生したらバッテリー切れで生命の危険につながる、これ以上電気自動車を増やしたら停電が頻発するなどの声が出ました。

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たしかに立ち往生と電力不足という結果だけ見れば、電気自動車はふさわしくないという論調になりますが、それぞれの問題を起こさないようにすることもまた大事です。

まず大雪は、地震や台風と同じ天災のひとつですから、不要不急の外出は控え、どうしても移動が必要な場合は絶対に止まらない技能と装備を義務付けるべきでしょう。今回の大雪では先月の関越自動車道に続き、北陸自動車道で長時間の立ち往生が発生しました。そもそも高速道路は駐停車禁止であるはずで、1時間を超える立ち往生車両は取り締まるなどのルールを作らないと、何度も同じ過ちを繰り返すことになりそうです。

次に電力不足について。こちらは当初、今の日本は慢性的な電力不足であり、解消のためには原子力発電所の再稼働が必要という主張が一部から出ました。しかし慢性的であれば、これまでも幾度となく電力不足に陥っていたはずです。実際の原因は、火力発電に使うLNGの貯蔵量不足とのことでした。こうした事態を避けるには、エネルギーの選択肢を数多く持つことが大事になりそうです。

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経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」ニュースリリース =
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201225012/20201225012.html



政府では昨年末、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表しています。以前このブログでも取り上げた、2030年半ばまでに乗用車新車販売で電動車100%実現を目指すことが盛り込まれたほか、エネルギーについても多角的に触れています。この発表を含めた自動車のエネルギーについては、インターネットメディア「ビジネス+IT」でも書かせていただきました。

この中で注目したいのは、アンモニアを燃料とする火力発電およびe-fuelと呼ばれる合成燃料です。これらが実用化されれば、火力発電やエンジン車が環境に悪いという前提そのものが変わることになります。水素同様、製造には電気などが必要になりますが、非常時を考えれば輸入に頼る石油などより安心できます。

自然エネルギーでは洋上風力発電が戦略に盛り込まれていますが、個人的には水力発電と地熱発電にも注目してほしいと思います。山がちで雨が多く、火山国でもある日本の国情に合っているからです。逆に太陽光発電は、日本は国土が狭い上に雨が多いわけで、工場の屋上やビルの壁面などへの設置は理に叶っていますが、メガソーラーは生態系にも悪影響を及ぼしがちで地球に優しいとは思えません。

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加減速がひんぱんな都市内では電気、高速巡航が多い都市間では内燃機関の効率が高いことは、プラグインハイブリッド車などが証明しています。モビリティシーンを含めて、今後も電気に頼る生活が続いていくことは確実ですから、LNGが不足になっただけでピンチになるような事態は避けてほしいところですし、私たちもエネルギーの特性を理解したうえで効率的な移動を心がけたいものです。

2度目の緊急事態宣言に思うこと

あけましておめでとうございます。本年もTHINK MOBILITYをよろしくお願いいたします。

2021年の東京はいきなり緊急事態宣言で幕を開けました。すでに発令された首都圏1都3県に続き、関西圏の2府1県でも発出を要請しています。理由はもちろん、新型コロナウイルス感染の爆発的な拡大と、それに伴う医療崩壊の恐れでしょう。東京都内だけで連日2000人を超える感染者が出ていることを含め、かなり厳しい状況に置かれていることを実感しますが、それとともに昨年の出来事も思い出しました。

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自宅マンション真下に消防車と救急車が相次いで到着したので不安になり下を見ると、階下の人が急に倒れたが玄関を開けることができないので協力を要請されました。その後、レスキュー隊の人たちが我が家に入り、非常用はしごを使って次々に降りていきました。まだ暑い時期だったので階下は窓が開いており、無事に救出することができました。

このとき私は、誰に言われるまでもなく、家具を移動させるなどして、通路を作ったりしていました。今思えば緊急車両が背後から来たとき、車両を路肩に寄せるのと同じような対応です。自然にそういう動きが出たのは、レスキュー隊の方々の統率のとれた無駄のない動きに圧倒されたからです。日頃の高度な訓練の成果でしょう。

こうした経験もあるので、自分はなるべくエッセンシャルワーカーのお世話にならぬよう、さらに気をつけようという気持ちになりましたが、一方で正月の箱根駅伝の観客数は昨年の85%、つまり沿道での応援自粛が言われていたのに15%は現地に出向いていたわけで、医療従事者などの苦労を考えずに行動する人が一定数いることもまた事実です。

今回の緊急事態宣言は、前回のそれより規制が緩いうえに、緊急事態宣言そのものに慣れていることもあるので、効果が出るかどうかは未知数です。さらに強いメッセージ、具体的には罰金などの措置が必要だと思いつつあります。上に書いたように、感染拡大の最大の原因は一部の個人にあるので、飲食店などよりも、むしろ個人を対象にしてほしいと考えています。

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長期にわたりロックダウンなしに感染拡大を抑えている台湾でも、公共交通でのマスク着用や入国者の一定期間隔離などのルールに違反した人には罰金が課せられているようです。最近、東京の繁華街を歩いていると、外国人観光客の姿が目につきます。一定国からのビジネスや駐在目的以外の往来は停止しているはずですが、明らかに観光客に見えます。こうした人々への対策はどうなのか、不安に思っています。

今週4日に警察庁が発表した昨年の交通事故死者数は、記録を取り始めて初めて3000人を下回りました。コロナで外出が減ったためもありますが、1970年前後には1万6000人を超えていたのですからわずか5分の1です。国やメーカーの安全対策とともに、違反者個人への罰則も効果を上げているはずです。今は位置情報などで人の動きは把握しやすくなっています。個人の移動にも目を向けた対策を望みます。