国土交通省が昨日、昨年春に改正された踏切道改良促進法に基づいて選んだ全国1479か所の「課題のある踏切」のうち、改良すべき踏切として529か所を指定しました。昨年の58か所に続く指定で、ピーク時1時間に40分以上遮断している「開かずの踏切」のほか、交通量の多い場所、事故が起こった場所などが選ばれています。

同省はこれらについて、改正法の趣旨を踏まえ、立体交差化や拡幅等だけではなく、必要に応じて当面の 対策や踏切道の周辺対策等、地域の実情にあわせた改良計画の検討を行っていきたいとしています。

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この発表を見て、ちょっと不思議な気持ちになりました。開かずの踏切と踏切事故は、本来相反するものではないかと思ったからです。それがともに問題となっているのは、遮断時間が長いので待ちきれずに踏切を渡る人がいるからでしょう。現にテレビのニュースでは地元住民が同様のエピソードを挙げていました。

予想どおり、529か所の約8割は首都圏、中京圏、関西圏に位置しています。やはり一極集中(この場合は三極ですが)が影響を及ぼしているようです。 この問題を解決するのに、いままでどおりの手法で取り組んでも限界があると考えています。高架化や地下化は、高齢者や身障者にとって鉄道を使いにくいものとしてしまいます。建物が密集した都市の道路の拡幅も簡単にはできません。

2か月前「東京の通勤電車をどうするか」というテーマでブログを書いたとき、東京都の小池百合子知事が打ち出した「満員電車ゼロ」実現のために、勤労者の在宅勤務や事業所の地方移転を進めることを提案しました。この提案は踏切問題を解消していくためにも効果があると考えています。そしてもうひとつ、歩車分離を提案します。

下の写真は今月訪れたポートランドのライトレール停留場です。車道には信号があるのに対し、歩道はホーム間の連絡通路と共用としており、待つことはほとんどありません。警報機や遮断機はないので、各自が安全確認する必要がありますが、個人的には危険だとは感じず、むしろ安全意識が高まって良いと感じました。

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ポートランドのライトレールは郊外では高速で走り、駅間も長く、踏切には遮断機が付いています。一方、都心では短い駅間をゆっくり走り、道路との交差部分はこういう構造が多くなっています。欧州ではトラムトレインと呼ばれる形態で、日本でも広島や福井などで走っています。

日本の都市部の鉄道駅も昔はこういう構造が多かったようですが、安全対策の名の下に跨線橋や地下道に切り替わりました。歩行者専用道路に路面電車を走らせるトランジットモールが認められないのも、この安全思想が影響しているのでしょう。しかしその結果、駅の利用者にとっても、踏切の通過者にとっても、不便なものとなっているのです。

優等列車が高速で疾走する昼間は遮断機は必要かもしれません。しかし朝のラッシュ時は多くの路線がノロノロ運転なので、こうした構造が適用できるのではないでしょうか。

たしかにこの場合、利用者一人ひとりが安全を確保する割合が高くなります。しかしそれは移動においてもっとも大切な心得です。信号がないのは危険と言われたラウンドアバウトが、実際には信号付き交差点より事故が少ないというデータもあります。個人の安全意識を高める方向でのインフラ作りを希望します。