今週木曜日、宅配便最大手のヤマト運輸の労働組合が、今年の春闘で荷物の取扱を抑える要求を行うというニュースが流れました。これを受けて経営側も協議に応じる構えだそうです。通常の労使交渉は賃上げを議論するのが一般的ですが、今回は賃下げにもつながる取扱量低下を組合側が求めるという異例の事態になっているようです。

インターネットショッピングで購入した商品の配送が急増したことに加え、送料無料やスピード配送などのサービス競争が運送業者の負担になっていることは、昨年秋あたりから話題になりはじめており、このブログでも9月17日に取り上げています。しかし今回は私を含めた外野の声ではなく、労働組合という内部の声です。今までよりもさらに深刻な状況になりつつあることが想像できます。

IMG_3136

昨年のブログでも書いたように、私自身もインターネットショッピングを利用しているので、その利便性自体は否定しません。しかし郵便の速達にしても、鉄道の特急にしても、通常より早く到達する行為に対しては追加料金を払うのが一般的です。ところが一部のインターネットショッピングでは、会費を払えば送料無料かつ速達というサービスが何度でも使えるという状況になっています。

人間が長年掛けて育て上げてきた物流システムとは異なる解釈のもとで生まれたサービスであり、売上高を増やすことはもちろん、ウェブサイトへのアクセス数を稼ぎ、広告収入を上乗せしたいという目的もあるのではないかという気がします。少し前に問題となったキュレーションサイトに通じるような印象です。

IMG_2353

キュレーションサイトと違うのは、宅配のトラックが公道を走っていることです。過酷な労働状況が原因で運転ミスが引き起こされた場合、同じ道路を走る私たちが巻き込まれる可能性もあります。昨年は山陽自動車道のトンネル多重事故で運送業者の過剰労働が問題となりましたが、こうした事故が自宅の周辺の生活道路で引き起こされるかもしれません。

昨年9月のブログでは、物流には相応の時間とコストが必要であるとひとりひとりが認識し、明らかに過剰なスピードや低価格をアピールするサービスは使わないという意志表示をすべきだと書きました。それに加えて、無料即配をアピールするサービスになんらかの規制を掛けることが必要ではないかと思いはじめています。最大の理由はもちろん道路交通の安全のためです。