昨年後半から、自動運転とは別に、無人運転という言葉が使われるようになってきました。政府が発表した官民ITS構想・ロードマップ2016では自動走行システムの種類として「自動パイロット」と「無人自動走行移動サービス」を分けていますし、このブログで何度も紹介している仏イージーマイル「EZ10」を日本で走らせているDeNAはこのモビリティを無人運転バスと称しています。

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さらに先月末には、 自動車メーカーが無人運転への参入を明らかにしました。ルノー・日産アライアンスが世界各地で公共交通の運営を行う仏トランスデブ(Transdev)との間で、無人運転車を活用した公共交通およびオンデマンド型交通向けのモビリティサービスを共同開発すると合意したのです。まずはルノーの電気自動車「ゾエ(ZOE)」を使ったパリでの実証実験や、トランスデブのオンデマンド配車や運行管理・経路選択のためのプラットフォームなどの検証を行うそうです。

少し前まで、多くの人はこれらを自動運転車の一種として見なしていました。私は自動車メーカーが開発する車両とIT企業や研究機関が開発する車両では方向性が違うので分けて扱っていましたが、やはり自動運転車と総称していました。しかし自動車メーカーの自動運転車が、運転席に人間が乗っていることを前提とするのに対し、EZ10などの無人運転車はその名のとおり無人でも走ります。この違いを呼び名として使ったのは分かりやすいと感じています。

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両者は普及のプロセスも違ってきます。自動運転車は個人が買って乗ることを前提としていますが、無人運転車はバスやタクシーなど公共交通として走らせることを念頭に置いています。EZ10をはじめとして箱型車体が多いのはそのためです。公共交通の運営が厳しい過疎地や、自動車の運転が難しくなった高齢者の移動手段として自動運転を期待する声がありますが、その要望に応えるのは主に無人運転車になりそうです。

日本ではソフトバンクグループのSBドライブが、自動運転技術を活用して新しいモビリティサービスを提供するとアナウンスしており、いくつかの市町村と連携協定を締結しています。自治体では福井県永平寺町が鉄道の廃線跡を活用して来年度に実証実験を行うそうです。一方EZ10および同じシティモビル2プロジェクトから生まれた仏ナビヤ「アルマ(ARMA)」は、米国やニュージーランドなど世界各地で実験を進めています。最初の写真でお分かりのように米国のテストにはトランスデブも関与しています。

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自動運転の報道では、IT企業VS自動車メーカーという取り上げ方が続いてきました。しかし自動運転車と無人運転車は敵対関係にはありません。片やパーソナル、片やパブリックな移動手段になりますが、個人が自家用車を使って公共交通を担うライドシェアを見れば分かるように、モビリティにおいてパーソナルとパブリックを分けることは意味がなくなりつつあるのです。大切なのは、すべての人が安全快適に移動できること。新しい自動車として、新しい公共交通として、無人運転車の普及を望みます。