今月9日、タクシーなどの相乗りについて2つの発表がありました。ひとつは国土交通省が明らかにしたもので、来年度に相乗りや乗車時運賃確定についての実証実験を営業車両で行うというもの。もうひとつはNTTドコモと公立はこだて未来大学発ベンチャー企業・未来シェアが共同で、やはり来年度にAIを使った相乗り自動配車のサービス開始を目指すという動きです。

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アイディアそのものはライドシェアで実現済みですが、ご存知のとおり日本ではタクシー業者がライドシェアの本格導入に反対してきました。理由は一般ドライバーの有償輸送が「白タク」行為にあたり危険というものでしたが(以前書いたように実際にはタクシーのほうが一般ドライバーより事故率が高くなっています)、もうひとつのライドシェアの美点、相乗りや乗車時運賃確定については、業界側も導入を要望しているそうです。

ドコモと未来シェアの発表会では実際に乗車体験もできたので内容を紹介すると、事前にAIを活用して需要予測を行い、それに基づいてルートや車両の大きさ、台数などを決定。利用者がスマートフォンのアプリで乗車希望を送信すると、近くにいる車両が立ち寄り、名前で本人かどうかを確認をしたあと、目的地まで輸送するというものです。

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最初に乗る人にはあらかじめ到着時間を幅をもたせて伝え、相乗りを受け入れてもらうことにするそうです。AIはその範囲内で何人まで相乗り可能かを計算。料金についてもAIがルートを計算し事前に確定する形になるようです。途中で相乗りになった場合は、所要時間は長くなるものの、逆に料金は下がっていくことになります。

従来のデマンド交通は前日までに予約する例が一般的でしたが、AIを活用したこのサービスなら瞬時に予約が可能です。一方交通事業者にとっては運行効率を高められるので、その分をサービス向上に振り向けることができます。NTTドコモと未来シェアではこのサービスを、日々の移動に困っている交通空白地での移動に役立ててもらいたいとのことです。さらにNTTドコモでは、DeNAとともに実証実験を進めている無人運転バスの導入も考えているそうです。

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しかしまだ問題は残っています。日本ではタクシーは定員10名以下、バスは定員11名以上で、ここを境に法律が変わってくるからです。デマンド交通は乗客数が不確定で、状況によってタクシーとバスのどちらが良いかは変わってきます。タクシーの相乗りや乗車時運賃確定認可はもちろん好ましい動きですが、同時に両者の境目を考え直すことも必要だと思っています。