大型連休を前にして、東京都内を走る路線バスに下のようなポスターが掲出されていました。夏休みや年末年始を含めた繁忙期に羽田空港の一般車駐車場が混雑し、数時間待ちという事態も予想されるので、なるべく公共交通を利用してくださいというお願いです。

交通が不便な地方空港ならともかく、モノレールを含めた鉄道やバスが乗り入れている羽田に、どうして自家用車で向かう人が多いのか、疑問に思う人も多いと思います。私も前後の予定の関係で自動車を使わねばならないとき以外は鉄道かバスなので、同様の気持ちです。

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ただベビーカーや車いす利用者、足腰の弱い人、怪我をしている人、ペット連れの人など、大きな荷物を持って行く場合に、自動車でなければ移動が難しい人々もいます。私が身を置いているジャーナリズム業界ではカメラマンなど、荷物が多いなどの理由で自動車での移動が前提となる人もいます。

空港や駅のエレベーターでは最近、こうした方々に優先して乗ってもらう表示を見るようになりました。駐車場でも車いす利用者のための枠を建物への出入口近くに用意する施設が多くなっています。羽田空港の駐車場も、ただ公共交通への転換を促すだけでなく、優先順位を記したほうが、理解が深まるのではないでしょうか。

もちろん利用者側の理解も必要です。駐車場は公共施設であるわけですから、他の公共施設と同様の配慮が欲しいところです。また旅行用の荷物を小さくまとめることは、公共交通で空港に行こうという気持ちにさせるだけでなく、目的地での移動など多くの場面でメリットになることを、自分自身の経験からも付け加えておきます。

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平日に何度か羽田空港の駐車場を利用した経験から言えば、キャパシティが決定的に不足しているとは思えません。空港アクセス交通はあらゆるモビリティを統括して考えた結果であり、ここまで鉄道やバスが充実している羽田へのアクセスは公共交通が原則と考えるべきでしょう。

たしかに自動車は、自分の好きな時に好きな場所へ行けることが魅力のひとつです。しかしその結果、環境面をはじめ多くの問題が起こっているわけで、今回のような場合には真に自動車での移動を必要としている方々に道路や駐車場を譲るという考え方が根付いて良いのではないかと思っています。