ひさしぶりに京都に行ったので、以前から気になっていた四条通を訪れました。京都市の中心部を東西に貫く四条通は、国内外から多くの観光客が訪れることから、歩道の狭さが問題となっていました。そこで2005年の地元関係者からの要望をもとに歩道拡幅事業を実施。2015年に完成しました。その様子を2年後に見に行ったということになります。

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四条通の歩道拡幅については2年前にニュースで報じられたのでご存知の方も多いかと思います。当時は変更直後で大渋滞が発生していたので批判が多かったと記憶しています。そのニュースを見て、現場を知らない人の中には、片側2車線だった車道をすべて1車線に狭めたと誤解している人もいたようです。しかし実際はもっと柔軟な対応をしていることが分かりました。

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歩道拡幅が行われ車道が1車線になっているのはバス停留所の部分ぐらいで、それ以外の部分はタクシー乗り場、荷捌き場、左折車線のために2車線のままとしてあるのです。直進車線を1車線に限定し、残りの空間についてはそれぞれの場所に見合った用途に転用しているという状況でした。

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今回はタクシーに乗る機会もあったので、運転手の方にも歩道拡幅について聞いてみました。タクシー乗り場以外で客扱いがしにくくなったこともあり、四条通を走ることは少なくなったと言っていたぐらいで、表だった苦情は述べていませんでした。たしかに私が訪れた平日の夕方は、渋滞は発生していませんでした。2年が経過してドライバーたちが道の変化に慣れたと言えそうです。

またこのタクシー運転手は、京都を訪れる観光客の多くはバスで移動するので、一般的な路線バスとは逆に土日祝日のほうが本数が増え、その影響で四条通のバス停留所には多くの人が押し寄せ、歩道通行の支障になっていたことを指摘していました。その状況を考えれば今回の歩道拡幅は理に叶っています。バス停留所も前後に長くなり、表示も多彩になっていて利用しやすくなっていました。

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車線の中央には車両1台分のゼブラゾーンが設けられています。京都市ではこのゼブラゾーンを、緊急車両の通行用に確保したと表明していますが、四条通を走る自動車は停車中のバスを追い越すためにこのゼブラゾーンを使っていました。ここではドライバー側が道路を柔軟に活用していたわけです。

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欧米では歩道の拡幅や自転車レーンの設置、路面電車の導入などを理由として車道を減らす例は数え切れないほどあります。当初は批判の声も聞かれるようですが、数年すると新しい道路環境に見合った交通が形成されています。交通とはそもそも流動的なものです。問題解決のために積極的に動いていくことが正しい流れを作っていくはずであると、四条通を眺めながら思いました。