ライドシェアというサービスを考案した米国ウーバーのシステムを活用し、NPO法人「気張る!ふるさと丹後町」が運営する公共交通空白地有償運送(道路運送法施行規則第49条第1項第2号)として注目を集めた京都府京丹後市丹後町の「ささえ合い交通」が、5月26日で運行開始一周年を迎えました。

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ウーバーのウェブサイト=https://newsroom.uber.com/japan/kyotango-1yr-anniversary/

ささえ合い交通は、丹後町の住民がボランティアでドライバーを務め、自家用車を使って地域住民や観光客等を運ぶ公共交通です。スマートフォンやタブレットを用いて利用者が車両を呼んだり料金を支払ったりする公共交通空白地有償運送は、日本ではここが初めてとなります。

ウーバーによれば、毎月平均で60回以上の乗車があり、特に平日午前中の利用が多いそうです。約8割が地元住民の利用らしく、同じ京丹後市でスーパーや病院、役所などが集まる峰山町や網野町などへの利用がメインとなっているとのこと。ウーバーのアプリは世界共通であることから、海外からの観光客の乗車もあるようです。

地元の声に応えた改良も実施しています。昨年9月にはスマートフォンやタブレットを持たない人のために代理人に配車をしてもらえる「代理サポーター制度」を、12月にはクレジッドカードを持たない人のための「現金決済」を導入しています。日本の過疎地の事情に即した最適化と言えそうです。現在は代理サポーター制度を利用する人が全体の約7割、現金決済を利用する人が8割以上に上っているといいます。

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気張る!ふるさと京丹後のウェブサイト=http://kibaru-furusato-tango.org

問題もあります。ひとつは現在の公共交通空白地有償運送制度のルール上、丹後町外で降りることはできても乗ることはできない決まりとなっていることです。もうひとつは、ささえ合い交通の導入直前に、同市の網野町や久美浜町に、一度は撤退したタクシーが再参入したことです。ライドシェアを「白タク行為」として批判する気持ちが実力行使として表れたようです。

一方でウーバーは昨年8月からは、北海道中頓別町でもライドシェアの導入を始めています。こちらは実証実験のなる代わりにNPOなどを介さない形となっています。従来は国土交通大臣が各運輸支局長等に委任していた導入が、移譲を希望する地方自治体で行えるようになったことが大きいようです。首都圏の埼玉県でも導入に向けた検討を行っているほどです。

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埼玉県のウェブサイト=https://www.pref.saitama.lg.jp/a0109/zikayouyuusyou.html

以前ウーバーの関係者に聞いときは、将来は東京などの大都市でも展開していきたいそうですが、そのために正面からタクシー業界と対決せず、危機的状況にある過疎地域の移動を救うべく自治体やNPOと手を組んでじっくり導入を進めていくウーバーの姿勢は共感できるものです。住民のための最良の移動移動はどうあるべきかを、親身になって考えている感じを受けます。