北アルプスを貫いて富山県と長野県を結ぶ観光ルート、立山黒部アルペンルートのうち、富山県の黒部ダムと長野県の扇沢を結ぶ関西電力運行の関電トンネルトロリーバスが2018年で運行を終了し、電動バスに切り替わるというニュースが入ってきました。日本でトロリーバスが走っているのは同じ立山黒部アルペンルートの立山トンネルとここだけです。そのひとつが消滅するということになります。

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日本ではかつて多くの都市にトロリーバスが走っていましたが、現在は2系統だけ。そのひとつが消えるわけで、絶滅危惧種扱いしている人もいるようです。ところが海外ではしばしば見ることができます。筆者はそのうちフランスのリヨンとスイスのローザンヌで乗ったことがあります。ともに内陸にある坂が多い街です。ディーゼルバスでは登り坂での排気ガスが気になり、しかも内陸ゆえそのガスが留まりやすいので好ましくないと考えているようです。

リヨンのトロリーバス

立山黒部アルペンルートも坂道が多いうえに、走行ルートの多くがトンネルなので、排気ガスを出さないトロリーバスを導入したそうです。しかしトロリーバスは電車と同じように架線が必要。長いトンネルの中の架線の保守点検は大変であると想像できます。加えて電気自動車に使うバッテリーが進化したことで、架線に頼る必要がなくなったことも大きいでしょう。

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そしてもうひとつ、日本でトロリーバスを走らせるには厄介な法律があります。車体まわりはどう見てもバスなのに鉄道扱いになることです。海外では同じ道をトロリーバスとディーゼルバスが交互に走るようなシーンをよく見かけますが、日本では鉄道とバス、2種類の申請をしなければならないことになります。信号システムなども別になります。 

実は電動バスも、最新型はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)や東芝インフラシステムズなどがマレーシアで走らせはじめた車両のように、屋上から集電装置を伸ばして充電を行う、トロリーバスのような方式が多くなっています。乗務員がプラグを差したり抜いたりする必要がなく、路面から床下に電気を流すより安全です。黒部のバスにもこの方式が導入されるという噂があります。

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東芝インフラシステムズのウェブサイト=https://www.toshiba.co.jp/cs/

一方スウェーデンでは大型トラックの電動化に向けて、高速道路の車線上に架線を張り、トロリーバスのように上から集電することで長距離走行を可能とする技術の研究開発が進んでいます。充電が必要な一定区間だけ設置するなら、整備費用もそれほどかさまずに済みそうです。

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トロリーバスをバスの仲間としておけば、スウェーデンのように架線を張ることで、同じ集電装置で走行中も充電できるはずであり、バッテリー容量を抑えることが可能となります。以前このブログで紹介した、JR東日本烏山線を走る蓄電池駆動電車に似た方式です。バスの電動化を進めるためにも、そろそろルールを変えて良いのではないかと思っています。