今週水曜日、ライドシェアの生みの親であるウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)が「空飛ぶタクシー」の一種であるウーバーエア(uberAIR)についての発表を行いました。ウーバーは今年、すでに米国テキサス州ダラスとアラブ首長国連邦(UAE)ドバイで2020年までにウーバーエアの飛行実験を始める計画を発表しています。今回はそれに加えカリフォルニア州ロサンゼルスでも2020年に実験を行うというアナウンスでした。

ウーバーエアが使うのは無人操縦のドローンではなく、4人乗りの電動垂直離着陸機(eVTOL)となるようです。ヘリコプターのように垂直方向に離陸・着陸可能でありながら、既存の多くのヘリコプターとは違って電動なので静かで排出ガスを出さず、環境に優しいモビリティであることが特徴となっています。ウーバーの分析では、時速320kmで飛行する電動飛行機とガソリンエンジン自動車を用いたウーバーXでは移動コストには大差がないとのことです。

Uber Elevate
ウーバーエアを紹介したウェブサイト(英語)https://www.uber.com/info/elevate/

公開された動画では、利用者がアプリを立ち上げると車両選択メニューの中にウーバーエアが登場し、高層ビルの屋上から他の利用者と相乗で飛び立つ様子が紹介されています。同じアプリで自動車と飛行機を選択できる点は新鮮です。ただ相乗りではありますが機体はウーバー所有となるようなので、ライドシェアではなくタクシーという表現にしました。

ウーバーはすでにインフラ開発企業と提携を結んでおり、ロサンゼルス周辺の20以上の離着陸拠点を独占的に利用できるとしています。ラッシュ時にロサンゼルス国際空港からステイプルズセンターへ移動する場合、地上での移動では最大1時間20分かかるところ、ウーバーエアなら地上移動時間を含めても30分以内(うち飛行時間は4分)で到着するとのことです。

App

ただしこの所要時間は、近隣に他のウーバーエアが飛んでおらず、かつウーバーエア以外に同種のサービス事業者がいない場合に限られるでしょう。同様のサービスを考えている企業は他にもいると想像できますし、一都市のモビリティをひとつの民間企業が独占して良いのかという議論もあります。多くの事業者が数多くの飛行機を飛ばせば、たちまち道路と同じような渋滞が空中で発生するでしょう。

前述したようにウーバーでは移動コストは自動車と大差ないと表明していますが、もし料金を同等とすれば需要が殺到し、渋滞が予想されます。渋滞対策として機体数を制限すれば、予約が殺到して不便なモビリティとなります。料金を高価に設定したプレミアムな移動手段とする考え方もありますが、こちらは2009年に森ビルがヘリコプターによる東京都心と成田空港間の移動サービスを片道5万円で始めたものの、2015年にサービスを終了しているという前例があります。

Sample route

ドローン活用を含めた空飛ぶタクシーの構想は、自動車が発明された直後のシーンを想像します。自動車も当初は馬車より早く快適な移動手段として注目されましたが、大衆化が進むと事故や渋滞など、さまざまな問題が表面化しました。

2028年のロサンゼルス五輪パラリンピック開催時には、ロサンゼルス住民はウーバーエアを日常的に利用し、世界でもっとも先進的な都市交通システムのひとつになっているだろうとウーバーはコメントしています。しかしその構想を実現するためには、さまざまな周辺整備が不可欠になるでしょう。個人的には大都市だけでなく、離島と本土を結ぶようなシーンでの活用も期待したいところです。