春は時節柄、二輪車の話題が多くなります。3月は大阪と東京でモーターサイクルショー、4月は日本自動車輸入組合(JAIA)の二輪車試乗会が開催され、新型車もいくつか発表されました。さらに今月は日本自動車工業会(JAMA)の市場動向調査が乗用車・軽自動車ともども公開されました。そこで最新バイク事情をデータとともに紹介することにします。

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まずはJAMAが発表した最近5年間の販売台数からお見せします。バイクの販売台数は減り続けていると多くの人が考えているかもしれませんが、昨年度はこのように反転しています。50cc以下の原付一種は減少が続き、51〜125ccの原付二種も少し減らしている反面、126〜250ccの軽二輪と251cc以上の小型二輪は5年間で最高の数字をマークしていることが分かります。

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日本自動車工業会のウェブサイト http://release.jama.or.jp/sys/

日本には本田技研工業(ホンダ)、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工業(カワサキ)の4メーカーがありますが、軽二輪では前年度比でホンダが149%、スズキは実に169%を記録しています。スズキは写真の「ジクサー」などライバルより安価な車種をいくつか送り出したことが効いているようです。小型2輪はカワサキの136%が目立ちます。かつての名車「Z1」を彷彿とさせる「Z900RS」が原動力となっているようです。

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なお小型二輪は趣味性の高いカテゴリーということもあり、全体の約3分の1が輸入車になっています。JAIAの発表によれば、昨年度は全体では横ばいでしたが、ブランド別では400cc以下の手頃なサイズと価格の車種が充実しているBMWやKTMなどが伸びています。

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日本自動車輸入組合のウェブサイト http://www.jaia-jp.org

ユーザーはバイクのどんな部分に魅力を感じているのでしょうか。2017年度二輪車市場動向調査によると、 原付を含めた購入理由として多く挙がったのは、「身軽に動ける」「移動の時間が短縮できる」「自転車より楽」「燃費が良い」などでした。以前このブログで取り上げた機動性が経済性ともども評価されているようです。

最近モデルチェンジしたホンダのスクーター「PCX」の開発担当者に聞いたところ、自動車の2台所有が難しい世帯で、車検のない軽二輪や任意保険を自動車保険の特約で賄える原付二種を所有する家庭が増えているそうです。二輪車は自動車取得税と車庫証明が不要で、自動車税や自動車重量税が四輪乗用車より大幅に安いことをメリットと感じているのでしょう。

一方二輪車に乗って困る点については、出先での駐車場不足が挙げられますが、2013年度の調査と比べると全国で47%から30%、東京23区で76%から53%と減少しています。レンタルバイクの利用者が多いのも最近の傾向で、理由としては「さまざまな車種やモデルに乗る機会」を魅力と考える人が多く、10〜20代については「購入はできないが乗りたい」とする人も目立ち、レンタル後には40%のユーザーが「買いたい」「買ったほうがいい」と思うそうです。

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今後の動きとしては、原付一種から二種への移行があるでしょう。50ccを主力としているのは世界中でも日本ぐらいで、以前ここで報告したようにホンダとヤマハは協業を決定。3月にモデルチェンジしたヤマハのスクーター「ビーノ」はホンダ「ジョルノ」と基本設計を共有し、ホンダの工場で作られます。

一方原付二種については、AT車の教習所での技能教習を最短3日間から2日間に短縮し、取得を容易にする検討を進めています。警察庁では5月8日までこの件についてパブリックコメントを実施しているので、興味のある方は意見をお寄せください。この動きに合わせるように、今後原付二種の新型車の発表がいくつか予定されており、前述したPCXはハイブリッド仕様や電動仕様を準備しているようです。

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警察庁のウェブサイト https://www.npa.go.jp

PCXの全長は1925mm、全幅は745mmで、路上占有面積は軽自動車の3分の1以下です。原付二種仕様のカタログ燃費は50km/Lを超えており、四輪車を圧倒します。狭い日本に合った移動手段のひとつだと認識しています。今後も原付一種の販売台数は減るでしょうが、原付二種以上はかつてとは異なり、国も免許制度や駐車場整備などで後押しの姿勢を見せています。多くの人が二輪車のモビリティとしての魅力に気づくことを期待しています。