大型連休前半は栃木県益子町の陶器市に行きました。新宿からJR東日本の湘南新宿ラインと水戸線を乗り継ぎ、真岡鐵道で益子に向かいました。最初の写真は水戸線と真岡鉄道の乗り換え駅となる茨城県筑西市の下館駅です。ホームの向こう側に「筑西市役所」という文字が見えるでしょうか。

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行き帰りとも乗り換え時間に余裕があったので外に出てみると、駅前広場に面していた市役所は、当初から市役所として作られた建物ではないことがすぐに分かります。もともとここは1991年、駅前ショッピングセンター「スピカ」としてオープンした建物だったそうです。

筑西市はその後2005年に、下館市と周辺の明野町、協和町、関城町が合併して生まれました。当初は駅から500mほど離れた場所にある旧下館市役所が任務を引き継ぎましたが、スピカに空き店舗が増えてきたことを踏まえ、数年後に市役所の一部機能をここに移転。そして昨年、市役所本庁舎として稼働を始めたとのことです。

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商業施設をリノベーションして市役所に充てているのは筑西市だけではありません。有名なのは宮城県石巻市役所でしょう。2008年に閉店したJR東日本石巻駅前のさくら野百貨店石巻店の施設を譲り受け、2年後に市役所として稼働を開始。私が訪れた2011年6月には、全国各地の自治体の職員が応援に駆けつける中で、東日本大震災復興の陣頭指揮を取っていました。

いずれの都市も自動車の普及で郊外型ショッピングセンターに多くの人が集まった結果、中心市街地の空洞化によって駅前ショッピングセンターが閉店に追い込まれたものです。しかし高齢化が進んで自動車の運転に不安を持つ市民が増えつつあることを考えれば、二次交通の拠点にもなる市の中心駅近くに市役所を設けることは、将来を見据えた方針とも言えるでしょう。

ちなみに石巻市では震災で被災した市立病院を2016年に市役所の隣に移設開業し、市の西部の集団移転先にはJR東日本仙石線の新駅(石巻あゆみ野駅)を開設するなど、復興と並行して駅を拠点としたコンパクトなまちづくりを推進しています。

一方筑西市で気になるのは、公共交通の軸である水戸線の本数の少なさです。下館駅には水戸線と真岡鐵道のほか関東鉄道常総線も乗り入れています。見た目は単行ディーゼルカーの常総線より5両編成電車の水戸線のほうが立派ですが、平日日中は水戸線が1時間1本なのに対し常総線は2本運行しています。

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筑西市では路線バスが廃止される中、一昨年から広域連携バスや地域内運行バスを運行していますが、これらの拠点もまた下館駅です。富山市が公共交通を軸としたコンパクトシティを推進するときに使った「お団子と串」になぞらえれば、下館駅はもっとも大きなお団子であり、水戸線はもっとも太い串であることは間違いないでしょう。

水戸線のダイヤを決めるのはたしかにJR東日本です。しかし仙台と石巻を結ぶ速達列車として2015年に走り始めた仙石東北ラインは、JR東日本と沿線自治体が共同で実現したサービスだといいます。自治体が駅を中心としたまちづくりを目指すのであれば、鉄道会社もその方針を理解し、積極的にバックアップするような状況を望みたいところです。