このブログでも何度か報告してきた栃木県宇都宮市・芳賀町のLRT(運行事業者:宇都宮ライトレール)計画が動き出します。2022年3月の開業を目指し、5月28日に起工式が行われる予定で、それを前に明日20日からは車両デザインアンケートが始まります。くわしくは特設ウェブサイト「MOVE NEXT」で紹介していますが、候補に挙がっている3案すべてが黄色をシンボルカラーとしていることがお分かりかと思います。

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MOVE NEXTのウェブサイト=https://u-movenext.net

なぜ黄色か。これについては昨年、宇都宮ライトレールのトータルデザイン契約候補者になっている東京のデザイン会社の関係者に話を伺った内容を記事にまとめたので、気になる方はご覧になっていただければと思いますが、LRTは都市のシンボルとしての役割も持たされていることから、自分が訪れた多くの都市で色へのこだわりを感じるのも事実です。

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宇都宮ライトレールの色についての記事=https://toyokeizai.net/articles/-/195367

日本のLRT(路面電車と呼ばれているものを含みます)は富山ライトレールをはじめ、車両によって色が異なるパターンが多いですが、欧州ではひとつの交通はひとつの色で統一するのが多数派です。なかでも感心するのは都市や州の色と合わせた例です。自分が訪れた都市ではスイスのチューリッヒ(写真)、オーストリアのウィーンがそうで、バスも同じ色に塗られていました。

統一していない都市もあります。同じスイスのバーゼルでは、バーゼル・シュタット準州が運行する車両は緑、南側のバーゼル・ラント準州まで乗り入れる車両は黄色に赤のストライプという出で立ちです。また米国オレゴン州ポートランドにはMAXライトレールとストリートカーの2種類があり、両者で車両が異なることに加え、ストリートカーはオレンジやグリーンなどカラフルな色で彩られています。

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日本の地方の公共交通で見られる広告ラッピング車両も見かけます。下は同じバーゼルの銀行の広告をまとった車両です。チューリッヒのようにひとつの都市がひとつの色なら問題ないでしょう。でもバーゼルのように色によって行き先が異なると、パッと見ただけではどちらへ向かう車両か分からず戸惑います。広告は一部にとどめ、シンボルカラーを生かしてほしいものです。

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こうした経験から言えば、宇都宮ライトレールは車両からウェブサイトまで黄色で統一しており、しかも地域に由来する色ということで、欧米の水準から見ても高い評価を与えられます。また欧米の多くの都市はタクシーの色も統一していますが、東京を中心に台数が増えつつあるトヨタ自動車「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」は深藍(こいあい)で共通化しており、日本も都市交通のカラーマネジメントを真剣に考える人が多くなってきたと好感を抱いています。