今週も西日本豪雨で被害を受けた地域の鉄道にスポットを当てます。今回は岡山県岡山市と総社市を結ぶJR西日本吉備線(愛称・桃太郎線)です。同線は今年4月、JRと両市がLRT(ライトレール)化における役割分担や費用負担について基本合意しました。

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これを受けて現地で三者などに取材した内容が、今日発売の鉄道専門誌「鉄道ジャーナル」に掲載されました。かなり長い記事でもあり、興味がある方は購読していただきたいのですが、取材を通して考えた吉備線LRT化の特徴としては、既存の鉄道路線を継承することと、廃止が議論されるほど利用者減少に悩んでいないことが挙げられます。

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前者は富山ライトレールという前例がありますが、吉備線の一日の平均利用者数はライトレール化される直前のJR富山港線の3倍以上に上ります。実際に乗ってみても、沿線には住宅が立ち並び、学校が多いこともあって、朝のラッシュ時を含め利用者の多さに驚きました。しかし車両は古いディーゼルカーで、本数は朝のラッシュ時でも3本、昼間は1〜2本に過ぎず、家や会社があるのに駅がないという場所も目立ちました。

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岡山県もまた自動車移動者が多く、交通渋滞が問題となり、環境悪化も懸念されています。高齢化も進んでおり、移動困難者の増加や高齢ドライバーによる事故も問題視されています。増えつつある外国人観光客のための交通整備も重要です。しかし現状の吉備線は、こうした要求に応えきれていないと感じました。

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駅を増やすとともにユニバーサル性を高め、加減速性能の良い小さな車両を数多く走らせれば、自動車で移動していた住民の一部が吉備線に移行し、沿線訪問をためらっていた観光客も使ってくれるようになるのではないでしょうか。つまり吉備線のLRT化は、いまある線路を有効活用することで住民や観光客などの利便性を高めつつ、都市問題の解決を図るための選択と言えます。

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吉備線が開通したのは今から110年以上前の1904年。当時もまちづくりのような考えはあったと思いますが、今とは状況が大きく異なります。同じ線路を使いながら、未来のまちづくりに見合った鉄道にできるか。その答えがLRT化なのだと思いました。

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LRT化の議論はまだ始まったばかりであり、今後住民理解など多くのステップをクリアして行く必要があります。その前に今は三者とも復興に全力を注ぐ時期だと思います。しかし少子高齢化をはじめ、将来起こり得る問題に対し、先手を打って対処していこうという積極的な姿勢には好感を抱きました。