少し遅めの夏休みを取って新潟県に行ってきました。十日町市と津南町で行われている「大地の芸術祭」を見るためです。この地域も過疎化や高齢化が進んでおり、アートの力で地域の魅力を発信するというコンセプトで2000年にスタート。3年に一度開催され世界的に注目を集めているようです。

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作品数は357もあり、見ることができたのはその10分の1ぐらいですが、印象に残ったことのひとつに、廃校を舞台とした作品が3つ存在したことがありました。校舎の中には1980年代に建てられたものもありました。半世紀足らずの間に急速に少子化が進み、廃校を余儀なくされたようです。

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現在、日本の多くの地域で過疎化や高齢化が進んでおり、交通の分野では鉄道やバスの廃止や減便が問題となっていますが、今回は廃校という形で、その実情を教えられました。

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ただし大地の芸術祭の会場は、廃校になったとはいえ校舎は残され、美術館という別の形で、期間限定ではありますが再活用されています。これを鉄道に当てはめると、廃線ではなく、いまある線路を生かして従来とは異なるタイプの列車を走らせ、線路を活用するというパターンになるでしょう。

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さまざまな作品を見た後、帰路に着くべく十日町駅に足を運ぶと、来年全線開通90周年を迎える飯山線のホームに、観光列車「越乃Shu*Kura」が停まっていました。車内では新潟県内の銘酒や地元の食材にこだわった軽食を用意し、ジャズまたはクラシック等の生演奏、お酒にまつわるイベントも実施しているようです。

過疎化や高齢化はもちろん社会問題として意識しないといけません。しかし一方で、時代の変化によって暮らしかたが変わるのは仕方がないことでもあり、昔作られた学校や鉄道が、当初と同じ目的で生き残るのは難しいとも考えています。以前ショッピングセンターを市役所として再活用した事例を紹介しましたが、学校や交通も、社会状況の変化に対応する能力が求められていると言えそうです。

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ただし学校や鉄道は、作られた当時は地域の核として存在していたことは確実です。安易に校舎や駅を取り壊したり、線路を剥がしたりということはせず、将来的にその地域がどう変わっていくか、どう変えていくべきかを見据えて対処することが大事でしょう。大地の芸術祭の会場として再活用されている校舎が、幸せに見えたのは紛れもない事実ですから。