前回に続き災害関連の話題を取り上げます。今回は既存の交通の中で地震に強い乗り物は何かを考えていきたいと思います。

9月6日に北海道を襲った地震では、全道停電という事態に陥り鉄道や飛行機はストップ。道路も信号が消え麻痺しました。翌日から徐々に停電は解消し、交通も回復しはじめました。その中でいち早く平常運転を実現した公共交通のひとつが札幌市電(札幌市交通局路面電車)でした。

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下は地震発生翌日夕方の北海道のYahoo!路線情報です。JR北海道は全線で運転を見合わせ、(画面には映っていませんが)札幌市営地下鉄は動き始めていたもののダイヤが乱れていた中で、札幌市電だけが平常運転を行っていました(現在は節電対策で本数削減中)。

2018-09-11
Yahoo!路線情報 = https://transit.yahoo.co.jp

今年6月に発生した大阪北部地震でも、大阪市と堺市を結ぶ阪堺電車(阪堺電気鉄道上町線・阪堺線)が、地震発生からわずか10分後に走りはじめたという報道がありました。2011年3月の東日本大震災では、東京都交通局の都電荒川線が2時間以内に運行再開を果たしています。

路面電車が地震に強いのは、理解できる人も多いのではないでしょうか。多くの鉄道が都市内を通過する際に用いる高架橋やトンネルは、地震が起きた後の点検に時間が掛かります。しかし路面電車はその名のとおり道路上を走っているので、被害が見つけやすく直しやすいと想像できます。自動車よりはるかに重い電車の走行を前提として軌道は固められているので、被害にも遭いにくいでしょう。

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ライトレールやLRTではなく、あえて路面電車と書いたのは、道路上を走っていることを強調したかったためもあります。欧米のライトレールは都心では地下を走っていたりするからです。さらに我が国の路面電車は、最高速度が40km/hに制限されています。これについては時代錯誤だという意見も多々ありますが、40km/h制限だから復旧が早いということはあるでしょう。

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もちろんバスやタクシーは路面電車より前に動き出していますが、1台で輸送できる人数に限りがあるうえに、道路が渋滞すると前に進めません。乗用車も同様です。東日本大震災では家人が、普段は地下鉄で約30分の距離を同僚の自動車で移動したところ5時間経っても家に帰れず、途中で動き始めた地下鉄に乗って戻ってきたことを思い出します。

実は今回のブログと似たような話題を、大阪北部地震発生直後にウェブメディア「citrus」で取り上げたことがあります。その内容が今月の北海道の地震でも通用したことを知り、路面電車が地震に強いことは自分の中で確信になりつつあります。