前回のブログではMaaSがフィンランドの首都ヘルシンキで生まれたことを書きました。でもヘルシンキの交通事情が飛び抜けたレベルにあるかというと、そんなことはありません。下は都心にある市立公園の脇の道です。石畳の道を、路面電車と自動車が共用していることが分かります。次の写真のように都心からやや外れると、道幅が広く、路面電車の軌道と自動車用の車道が分かれています。

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ヘルシンキは約500年前からある都市であり、その後誕生した自動車や鉄道のために作られてはいません。これは欧州の多くの都市に共通しています。ゆえに大通りでは軌道と車道を分けて路面電車の定時性や速達性を確保し、狭い道では共用するという、臨機応変な判断をしているのです。これも欧州の都市で良く見られることです。さらに道が狭ければ線路を単線にします。日本の路面電車は複線の専用軌道にこだわりがちという印象を受けます。もう少し柔軟に考えてもいいのではないでしょうか。

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もうひとつ、歩道が広いことにも気づいたかと思います。最初の写真の道では歩道と車道がほぼ同じ幅を確保しているように見えます。これも欧州の都市では一般的な光景です。おかげで歩いて移動する機会が増え、自動車や電車に乗っていると分からない魅力を発見できたりします。まちなかの賑わいを盛り上げる効果もあるでしょう。日本でも少しずつ歩道を広げる動きは見られますが、まだまだ差は大きいと言わざるを得ません。

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ちなみに自転車レーンは多くが歩道側にありました。石畳の道が多いことが関係しているかもしれません。面白いのは横断歩道の描き方です。最初は歩道の上に横断歩道が描かれているのかと錯覚しましたが、すぐ慣れました。下の写真は路面電車の停留場で、利用者は自転車レーンを横切ることになりますが、自転車側が注意すれば問題は起きないでしょう。ここでも歩道の広さが目立ちます。

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 バス停留所はここまで整備されているところは少なく、裏通りではこのように、停留所の看板だけという、日本のバス停でも良く見られるパターンもありました。ここには自転車レーンもありませんでした。こういう場所では車道右側を走ることになります。ただ日本の同程度の裏通りと比べると、やはり歩道が幅広いとは感じます。

 ヘルシンキのバス

ヘルシンキの道をさまざまな手段で移動しながら、人間中心の考え方が伝わってきました。歩道を広く取る道作りはもちろん、電車やバスは狭い道であってもまず路線を用意し、MaaSアプリに代表させるソフトウェアで使いやすさを高めようとしています。ヘルシンキは現在、市内4か所で再開発を進めており、それに合わせた公共交通を整備してもいますが、同時に既存の交通を生かすためにMaaSのような考え方を導入したことが分かりました。