昨年末のセミナー「地域交通と情報技術〜MaaS・ライドシェア・自動運転と地域交通計画〜」で自動運転とMaaSの関係について話したことは、前回のブログで書きました。自動運転というと多くの方はバスやタクシーを含めた自動車を連想するでしょう。私の話もメインは自動車についてでしたが、最後に車いすについても触れました。

このブログで何度も紹介しているWHILLは、パナソニックと共同開発した自動停止・自律移動・隊列走行可能な「WHILL NEXT」を、2017年に羽田空港で実証実験を行い、東京モーターショーで展示もしましたが、今月米国ラスベガスで開催したCES(家電見本市)では独自開発の自動運転システムを公開するとともに、MaaSの中でラストワンマイルを担っていくと表明しました。

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WHILLのウェブサイト = https://whill.jp

私も短期間ながら車いす利用経験があります。10年ほど前のフランス出張時に足を骨折し、その状態で帰国となった際に、パリと成田の空港内で介助スタッフとともに車いすのお世話になったのです。パリの空港で事情を説明したところ車いすがスタッフとともに準備され、飛行機のドア直前まで移動。到着した成田でも車いすが用意されており、スタッフの介助で快適に空港を出ることができました。

両空港と航空会社(エールフランス)の協力により、フランス出国から日本入国までのプロセスをシームレスにつなげてもらったわけで、今思えば一種のMaaSであったと感じています。また当時、松葉杖での歩行はできたにもかかわらず車いすのお世話になった経験から、普段は車いすに乗らない人でも、長距離・長時間移動の際に車いすを選ぶという考え方はアリだと思うようになりました。

ではその車いすを自動運転とする理由は何か。空港のように多数の人が行き交う場所での接触事故防止に役立ちますし、空港に慣れていない人にとっては、目的の飛行機に確実に搭乗するためにMaaSと自動運転の連携は有効です。そして使い終わった車いすを回収し、必要とされる場所に輸送する際にも自動運転は役立ちます。パナソニックがプレゼンテーションしたように、同じシステムを用いたパレットを連携させることも可能でしょう。

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パナソニックのウェブサイト = https://www.panasonic.com/jp/home.html

技術的にも、日本における電動車いすの最高速度は6km/hであり(本音を言えば欧米諸国のような15km/h前後が望ましいですが)、制動距離は自動車に比べると圧倒的に短くて済みます。また自転車と違って停車時に自立しているので、自動停止や隊列走行がしやすいという利点もあります。自動運転との相性が良い乗り物のひとつと言えるのです。

もちろん空港だけでなく、ショッピングモールや展示会場など、車いすと自動運転・MaaSの融合はさまざまなシーンで、足腰の弱い人々の移動を快適にしてくれるでしょう。昔のブログで、英国の商業施設で車いすを貸し出す「ショップモビリティ」という仕組みを紹介しましたが、それの進化形と言えるかもしれません。2020年に公道での自動運転実現を目指すというWHILLの取り組みに期待します。