以前からメディアで話題になっていた、佐賀県上峰町にある大型商業施設「イオン上峰ショッピングセンター」が一昨日閉店しました。運営会社のイオン九州が2018年5月の取締役会で、2月28日の閉店を決定していました。現地に行ったことはありませんが、この件は以前から気になって調べたりもしていたので、閉店を機に感じたことを綴りたいと思います。

aeon1

同店は1995年に「上峰サティ」としてオープン。当時は佐賀県のみならず福岡県南部や長崎県を含めても最大級の商業施設だったそうです。場所は佐賀市と福岡県久留米市のほぼ中間で、マイカーを使って広範囲から訪れてもらうことを狙ったようです。当初はその狙いが成功し、レストラン街や映画館も設置するショッピングセンターに成長しました。

しかし1998年、大規模小売店舗が事実上の規制緩和となり、目の前にオープンしたドラッグストアをはじめ、周辺に相次いで商業施設が作られました。このうち佐賀市、唐津市、筑紫野市のショッピングセンターはイオン系列でした。中でも佐賀大和店および筑紫野店は、レストランや映画館を含めた総合商業施設になっていました。対照的に上峰店は映画館やレストラン街が閉鎖されるなど衰退していったそうです。

商機のある場所に力を注ぎ、そうでない場所は撤退を含めた見直しを行う。ビジネスとしては当然の結論かもしれません。しかしそこからは地元とのつながりが見えてこないのも事実です。ついでに言えば、営業を続けていても利益の多くは大都市にある会社本部に流れ、地元に落ちるお金が限られることは、地場の商店との違いになります。

高度経済成長時代、郊外に建てた一軒家からマイカーで直行でき、そこへ行けば何でも揃うショッピングセンターは、生活のパートナーとして理想だったかもしれません。しかしその結果、多くの地域で町の中心にあった商店街が廃れたうえに、近年はインターネットショッピングの普及でショッピングセンターも苦境に陥っています。買い物をする場所そのものが失われつつあり、しかも住民は高齢化で運転免許を返納する人が増えているというのが実情です。

aeon2
イオン上峰ショッピングセンターのウェブサイト = http://kamimine.aeonkyushu.com

昨年の閉店決定を受けて記者会見した上峰町長は「イオンがあるからこの町に転居してきた人も多い」と発言するなど、ショックは大きかったようです。町はイオン九州に対して土地や建物の無償譲渡を求め、合意しました。町では跡地を含めた中心市街地の再開発を行う予定で、そこにはイオンも関わっていくようです。いずれにせよショッピングセンターに生活機能をおまかせするような姿勢は変えていかなくてはならないでしょう。

上峰町には鉄道駅がないので、佐賀市と久留米市および鳥栖市を結ぶバスを交通の軸と考え、行政施設や病院を跡地に集結させ、デマンドバスやライドシェアで周辺の移動を担うというシーンが思い浮かびます。あのイオンが無償譲渡で撤退したことから悲観的に見る人もいるようですが、個人的にはここまで有名になったことを逆に生かし、各方面からの知見を集めて、同様の立場に置かれた地方の再開発のモデルになっていってほしいと思っています。