今年2月、国内の2つの空港に乗り入れるアクセス鉄道についてのニュースが立て続けにありました。東京の羽田空港と熊本空港で、羽田はJR東日本が計画していた「羽田空港アクセス線構想」の一部ルートを対象に、東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価手続きの実施に向けた準備を進めることが発表され、熊本は県知事が、県を中心に設立する第3セクターが整備し、JR九州が費用の一部を負担すると発表しました。運行はJR九州が担当することになるでしょう。

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羽田空港は、現在はJR東日本グループの一員である東京モノレールが京浜急行とともに乗り入れており、リムジンバスが首都圏各地に向けて走っています。JRは貨物線を活用することで羽田空港と山手線東側および西側、りんかい線を結び、宇都宮線や高崎線、常磐線などにも乗り入れることで、リムジンバス並みの広範囲のアクセスを改善しようと考えているようです。

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現状でも羽田は交通環境は恵まれている感じもしますが、モノレールは浜松町発着というのがネックです。大阪伊丹空港に乗り入れる大阪モノレールが延伸を発表しているのとは対照的です。一方リムジンバスは、首都高速道路の山手トンネルが開通したこともあって、新宿からでは鉄道より早く着きますが、渋滞によって時間どおりに行けなかったり、乗車定員が少ないので次の便に回されたりすることがあり、鉄道の安定性を実感することが何度かあります。

羽田空港アクセス線が開通すると、東京モノレールの命運が気になるところです。京浜急行についても品川方面のルートは競合になるでしょう。ただ羽田は利用者数が多いので、万一のためも考えて複数のルートを用意しておくことも大切と考えます。ちなみに自分は、リムジンバスは国内線、モノレールと京浜急行は国際線ターミナルから回っていくので、その違いも考えて選びます。マイカーは渋滞に加え駐車場の混雑もあり時間が読めないのでほとんど使いません。

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一方の熊本空港は市電の延伸やモノレールの新設などが検討されてきたようですが、その中で空港の北側を走るJR豊肥本線から線路を伸ばす案に落ち着いたようで、最新情報では懸案に上がっていた3ルートのうち、三里木駅からのルートが有力になっています。滑走路をくぐる必要がないうえに、熊本県民総合運動公園や運転免許試験場の近くを通過するので、空港利用者以外の需要も取り込めることが理由のようです。
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ただし熊本空港は現状では国内線・国際線合わせて1日平均で約40便にすぎません。自分が利用したことがある空港で発着数が同等なのは、国内では広島や北九州、海外ではエストニアのタリン、オーストリアのザルツブルク、フランスのボルドーなどですが、鉄道が乗り入れていたのはタリンだけで、しかもライトレール(トラム)でした。

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熊本県知事はアクセス鉄道の列車は豊肥本線に乗り入れないと明らかにしており、JR熊本駅は中心市街地から離れているので、空港から街の中心まで二度の乗り換えが必要になります。整備費用が少なく都心に直行する市電の延伸のほうが、利用者にとっては楽ではないかという気がします。現状ではオーバースペックという印象は否めず、飽和状態にある福岡空港を肩代わりする形での国際線充実など、空港側の改革も必須ではないかと思っています。