近年、我が国のタクシー業界にいろいろな動きがあることは、このブログでも取り上げてきましたが、今月も2つのニュースがあったので、今回はこの話題を取り上げることにします。

ひとつは3月7日に行われた政府の「未来創生会議」で、地域の移動手段について議論が行われ、地方を中心にドライバーの人手不足が深刻化している中、自家用車による有償運送制度を利用しやすくするため、タクシー事業者との連携を容易にしていく法制度の整備を図っていくとしました。さらにタクシーについてはICT活用も含めた相乗りの導入で、利用者が安価に移動できるようにもするそうです。

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もうひとつはタクシーやバスの運転に必要な2種免許のありかたを検討していた警察庁が、来年度に実験的な教習を行ったうえで、現在21歳以上かつ普通免許を取得してから3年以上となっている年齢要件を引き下げることを検討し、必要な教習の内容を議論した結果、一定の運転教習を受けた者については特例的に引き下げても問題はないとする提言を取りまとめました。

前者については、すでに一部の公共交通空白地域で米国Uberのアプリを活用した自家用車による有償運送を行なっていますが、こうした動きについてタクシーとライドシェアが協力して移動を支えていくことを示したもので、歓迎すべき発表だと考えます。相乗りについても一部の事業者がAIデマンドタクシーなどの名称で実証実験を行なっており、その流れを促進するものであると感じています。

ところが同日、全国から集まったタクシー約400台が経済産業省を取り囲み、ライドシェアで自らの客を奪われることに反対の声を挙げたそうです。多くは営業に困らない大都市部のタクシーではないかと想像します。そこまで抗議するなら自分たちが撤退した公共交通空白地域に再進出して営業してほしいものです。大都市と地方では状況が大きく異なることを踏まえるべきですし、何よりもまず利用者のことを考えて行動してほしいものです。

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一方の2種免許取得年齢引き下げについては、タクシー業界は受験資格を19歳以上かつ普通免許等保有1年以上に引き下げることを要望しているようですが、警察庁では現状の普通2種免許の技能教習28時限、学科教習24時限を技能教習60時限、学科教習18時限にする考えを持っているようで、ただでさえ自動車への興味が薄れている若者が、教習時間の増える免許を取得しようとするのか疑問です。

そもそも日本の運転免許取得は、欧米の自動車先進国と比べて時間も金額も掛かることが知られています。その結果、交通事故の比率が著しく低くなっているかというと、そうではありません。運転手の人材に困らなかった時代であればともかく、現在のように多くの業界でドライバー不足と高齢化が課題となっているのであれば、運転免許取得のハードルそのものを見直すことも必要ではないでしょうか。

ヘルシンキタクシー

ちなみに昨年秋に訪れたフィンランドでは、 MaaSを含めた公共交通移動促進のプロセスにおいて、タクシーの営業資格を国の主導で規制緩和し、資格を取得すればUberなどのライドシェアも営業が可能となり、MaaSアプリの一部に組み込まれるようになっています。タクシーとライドシェアが対決するという構図は過去のものであり、共存こそが理想であるこというフィンランドの姿勢に共感します。