2022年に開業予定の栃木県宇都宮市・芳賀町LRT(宇都宮ライトレール)については、このブログでも何度か取り上げてきました。昨年5月に工事が開始していますが、昨年暮からはプロモーション活動がいままで以上に活発になってきました。

IMG_9854

まず紹介するのは、今年1月に発行されたLRT START BOOKです。導入予定車両のデザインとカラーをかたどった小冊子で、電車の乗り方、路線図、所要時間、運賃、交差点での信号表示、バリアフリー対策、バスターミナルや駐輪場を併設したトランジットセンター、 LRT導入の理由、収支予測、西側への延伸予定、車両寸法と乗車定員などが、イラストともに分かりやすく解説してあります。

またひと月前の昨年12月には、起点となるJR東日本宇都宮駅の東西自由通路で、ラッピングシートによるLRT情報発信が始まりました。小冊子ほどではありませんが、こちらも主な情報を分かりやすく掲示してあり、人通りが多い場所ということもあり、足を止めて見る人が多くいました。なお上記2つは宇都宮市のウェブサイトでダウンロード可能なので、気になる方はアクセスしてみてください。

IMG_9840

その宇都宮市では、以前から市役所1階ホールでLRTのプロモーションビデオを流すなどしていましたが、先日訪れた際には、工事情報を記したパンフレットを置いてもいました。地図とともに工事期間や時間などを示してあり、バスやマイカーなどで現場周辺の道路を使う市民にとっては有益な情報でしょう。

IMG_9851
宇都宮市LRTのウェブサイト = https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kurashi/kotsu/lrt/index.html

いずれのプロモーションにも共通するのは、「雷都」と呼ばれるほど雷が多い土地にちなんだシンボルカラーの黄色を効果的に使い、洗練されたグラフィックと目立つコピーで分かりやすくまとめてあることです。少し前から宇都宮市ではLRTへの理解を深めてもらうべく、ビデオやパンフレットを作成してきましたが、今回はデザイン面でも評価できるレベルで、手法も多彩であり、注目度は上がりそうです。

それ以外の情報発信も積極的です。7月31日には宇都宮地域における「地域連携ICカード」を利用した IC乗車券サービスの提供について、地元の協議会とJR東日本が合意しました 。LRTやバスをJR東日本のIC乗車券Suicaで乗れるだけでなく、高齢者割引などの行政サービス導入も検討しているそうで、MaaSのひとつとしても注目できます。LRT開業前年の2021年に導入される予定で、JR東日本によれば地域連携ICカードを利用した地域交通事業者への具体的なサービス提供に向けた初のケースになるそうです。
startbook201901
宇都宮市にはこれまでLRTのような公共交通が走ったことがないので、市民に対してさまざまな説明が必要となりますが、それを過剰にならず、地味にもならず、スマートな手法で周知していこうとする姿勢は好感が持てるものです。地域連携ICカードの導入など、乗りやすく使いやすいLRTにしていこうという姿勢も伝わってきます。公共交通導入前のプロモーションデザインとしては優れた部類に入るのではないかと思っています。