明日8月25日で、2020東京パラリンピック開催まで残り1年になります。そこで今週は、国内外のモビリティデザインを見てきたひとりとして、今の東京のモビリティ分野におけるユニバーサルデザインについて考えたいと思います。

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まず海外からの来日者の玄関口となる国際空港は、ユニバーサルデザインでは世界的に高い評価を受けています。世界の空港やエアラインを評価しているSKYTRAXという組織が今年から制定したWorld's Best Airport for PRM and Accessible Facilities(高齢者、障害のある方や怪我をされた方に配慮された施設の評価/PRMはPersons with Reduced Mobilityの略)では、1位が羽田(写真)、2位が成田、3位が関西で、10位までに中部、福岡、伊丹と合計6空港が入っているのです。

先日、私が所属する日本福祉のまちづくり学会の公開講座で、これらの空港の設計に関わった方、この分野を研究している方の話を聞く機会がありました。我が国では中部を皮切りに、羽田国際線、成田、新千歳空港国際線の建築や改修において障害当事者が参加をしており、それが世界的な評価につながっているとのことでした。

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ただし空港以外のモビリティシーンでみると、海外にも注目すべき実例がいくつかあります。最初はタイの首都バンコクの高架鉄道BTSの改札口です。健常者は左側の自動改札機を使いますが、高齢者や妊娠している人などは係員がいる右側のゲートを使えます。日本でも通路が幅広い自動改札機がありますが、車いす利用者や大きな荷物を持った人にとって自動改札機は使いにくいはずであり、BTSの改札はそういう人向けの配慮が感じられます。

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続いてはドイツの首都ベルリンを走るSバーン(通勤電車)です。優先席が車いす利用者だけでなく、ベビーカー利用者や怪我をした人なども対象としていることは、最近日本の鉄道も対応していますが、自転車をそのまま載せることができるのはまだ少数です。またホームとの隙間を最小限に保つべく、車体下部に短いステップを装着しており、段差もほとんどありません。さすがドイツと唸らされます。日本でも最近、国土交通省がこの課題について検討を始めたようなので、今後に期待です。

そんな中トヨタ自動車が、東京五輪・パラリンピック用に専用開発した車両APM(Accessible People Mover)を発表しました。高齢者や障害者などアクセシビリティに配慮が必要な来場者に対し、ラストマイルの移動を提供するために開発された車両で、JPN TAXIより簡単な車いす対応、ドライバーが乗り降りしやすい中央運転席など、さまざまな部分に工夫が凝らされており、ユニバーサル性能はかなり高いレベルにあると感じました。

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残り1年でやれることは限られるかもしれませんが、私は2020年がゴールではないと考えます。むしろ2020年をスタートとして、世界トップレベルのユニバーサルモビリティを目指していきたいものです。もちろん車両やインフラの整備だけではダメで、私たち健常者の理解と行動もまた大切です。障害者自身ではなく、彼らを受け入れる社会の側に障害があるわけで、そこには人も含まれることを、忘れてはいけないと思っています。