11月27日から東京都豊島区の池袋エリアで走り始めた低速電動バス「イケバス(IKEBUS)」に乗ってきました。イケバスは豊島区と高速バス運行で有名なWILLERの共同事業で、デザインは池袋近郊に事務所を構え、国内各地の観光鉄道のデザインでおなじみの水戸岡鋭治氏が担当し、以前このブログでも紹介した群馬県桐生市のシンクトゥギャザーが開発した車両をベースとしています。

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イケバスは単なる公共交通ではなく、豊島区がまちづくりの一環として導入したものです。同区ではこの秋、区役所旧庁舎・旧公会堂跡地を活用して複合施設「Hareza(ハレザ)池袋」を一部オープンしており、テレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」の舞台としても知られる池袋西口公園は「劇場公園」としてリニューアルしました。来年はサンシャインシティ裏の造幣局跡地に防災公園が開園します。イケバスはこれらの拠点をめぐるモビリティとして導入されたのです。路線バスとして使いつつ、保育園送迎などの貸切利用に対応している点も注目です。

運行ルートや時刻表は専用ウェブサイトに載っているので、それを頼りに平日乗りに行きました。特に調べもせずに池袋駅西口に降り立ったのですが、真っ赤なバス停のおかげで乗り場はすぐにわかりました。車体も同じ赤色で、遠くからでも識別可能でした。新しいモビリティでは大事なことです。車内はまさに水戸岡ワールドで、天然素材を多用し、手作り感にあふれた、凝った作りでした。また車体後部には車いす用リフトを用意しているので、車いすでのアクセスは既存の多くの路線バスよりもスムーズにこなせそうです。

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イケバスは国土交通省が制定したグリーンスローモビリティの車両を使っており、最高速度は時速19キロとなります。東京都内の道でこのスピードが他の交通の邪魔にならないか気になりましたが、そもそも駅前や繁華街の狭い道では、時速20キロ以上出せるような状況ではありませんでした。むしろ電動なので静かに進めるメリットの方が印象に残りました。

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一方大通りは、多くの場所が複数の車線を持つので追い越し可能であり、グリーンスローモビリティが走っていることが知られれば、問題にはならなそうでした。ひとつ気になったのは池袋駅東口と西口を結ぶ陸橋で、片側1車線なので後方に車列を作りがちでしたが、この道路の制限速度は30キロであり、近くに大きな陸橋があるので、急ぐ人はそちらを使えば良いと思いました。

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料金は大人200円、子供・高齢者・障害者は100円で、多くのコミュニティバスが大人100円で乗れることを考えると割高に感じる人がいるでしょう。水戸岡デザインの特別仕立てのバスであることを、もっとアピールする必要がありそうです。さらに各種経路案内でのルートで紹介されれば、池袋駅から歩いて10分ほどかかるサンシャインシティに行く人の利用が増えるでしょう。

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池袋は、今年4月に起きた高齢ドライバーによる暴走死亡事故が起こった場でもあります。イケバスも事故現場の交差点がルートに含まれています。計画時点では想定しなかったことですが、あの事故が起きたことで、ゆっくり走る乗り物、高齢者の移動を補助する乗り物に対する好感度が増していることが予想されますし、そうであれば池袋はイケバスのような低速電動モビリティ導入の舞台としてふさわしいと感じました。