タクシー配車アプリの「JapanTaxi」と「MOV」が統合するという発表が、JapanTaxiの親会社である日本交通ホールディングスとMOVを運営するDeNA(ディー・エヌ・エー)から今週なされました。統合日は4月1日で、新会社は両社が共同筆頭株主となり、社名も新しくするそうです。今回の統合により、配車可能な車両数は約10万台となる予定です。

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JapanTaxiは全国をカバーする展開と7万台と言われる提携台数を強みとしていますが、車内に設置したタブレット付属カメラを用いた性別判定機能について、個人情報保護委員会より指導を受けたこともあります。MOVはAI技術や無料タクシーなどの企画力が長けていますが、ソフトバンクとの合弁会社で進出した中国「DiDi(滴滴出行)」、ソニーが東京都内のタクシー会社と運営している「S.RIDE」との競争が激しくなっています。このあたりについては昨年末に公開した記事にコメントを寄せています。



JapanTaxiを使用した経験では、大都市では対応車両が一部なので流しをつかまえたほうが早かったり、地方では配車のみで行き先設定や決済ができなかったりという不満も持っており、インターネットでも同様の書き込みを目にします。その点米国で何度か利用したライドシェアのUberは、配車を手配するとほぼ数分で到著し、行き先設定や料金決済を事前に行えるうえに、運転技術も日本の一部のタクシードライバーより上で、とても使い勝手の良いサービスだと実感しています。

今回の統合は、タクシー事業者母体とIT企業母体という、得意分野が異なるサービスの組み合わせであり、それぞれの短所を相手の長所が埋め合わせる、好ましい組み合わせだと思っていますが、個人的に望みたいのはやはり、タクシーとライドシェアが共存する社会の実現です。

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おりしも国土交通省は7日、地域の移動手段の確保・充実のため、地方公共団体主導で公共交通サービスを改善し、輸送資源の効率的な活用を目的とした「持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定したと発表しました。

くわしくは国土交通省のウェブサイトを見ていただきたいですが、概要として挙げた項目には、地方公共団体による「地域公共交通計画」作成、維持困難なバス路線の多様な選択肢によるサービス継続、鉄道バスにおける貨客混載手続きの円滑化などとともに、過疎地の市町村などが行う自家用有償旅客運送の実施の円滑化が明文化されています。



自家用有償旅客運送とは、名称のとおりマイカーでドライバーが料金をもらって客を運ぶことで、ライドシェアに限りなく近いものです。日本ではタクシー業界がライドシェアに強硬に反対しているのでこの言葉を使っているのかもしれませんが、かつては自家用有償旅客運送という言葉さえ反発を受けたそうで、今はそうでないことを祈りますが、それがこの制度の普及を阻んできた理由のひとつではないかという気がしています。

大都市であろうと地方であろうと、移動者数は時間帯によって大きく変動します。鉄道なら編成の両数を変えることでも対処できますが、 バスは相応の運転士を確保しなければなりません。乗車定員が少ないタクシーはなおさら台数調整が必須です。しかし前述のように地方では絶対的にドライバーが不足しています。必要に応じて移動をサポートするライドシェアを認めたほうが、臨機応変な移動を提供できるのではないでしょうか。

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米国では写真のように、趣味的な車種に乗るドライバーが空いた時間にUberなどで移動をサポートしています。地方の移動確保のためにこうした体制が必要であることは、政府が昨年3月に公表した未来投資会議でも言及しており、その方針が今回の法律案に発展したと認識しています。新会社はぜひ、地方の移動を率先してサポートする姿勢を示してほしいものです。