新型肺炎の感染防止のためにどうすべきか。自分が選んだ行動のひとつが歩くことでした。それまで週1回のペースでジムに通っていたのですが、人が密集しているうえにマスクをするような場所ではないので、しばらく行くのを控えることにしました。でもそのままでは運動不足になりそうなので、片道約2.5kmある自宅の事務所の間の移動を、自転車よりも運動量の多い徒歩に切り替えたのです。

IMG_2640

自宅と事務所を結ぶルートとしては、バスも通る表通りと、昔ながらの商店街を貫いていく狭い道があります。所要時間は自転車ならどちらも15分、バスは停留所までのアクセスを含めて25分、徒歩は40分ぐらいで、個人的な感覚では遅いとは思いませんでした。これが徒歩通勤に踏み切った理由のひとつですが、実践してみるといろいろ発見がありました。

まずは見える景色の違いです。自転車は自動車に比べればゆっくり移動しますが、自分で運転してるので前方を常に確認しなければならず、周囲の風景を認識できるかという点ではバスのほうが上です。それが徒歩になると一変します。もちろん歩行中も前方確認は必要ですが、そもそもスピードが4分の1ぐらいなので、余裕がたっぷりあるのです。おかげで商店街の店先に並んでいる商品が価格を含めてわかるぐらいです。

IMG_2644

また自転車は、一度止まると再び走り出すのにそれなりのエネルギーが必要です。信号無視の自転車が減らないのは、もちろんいけないことですが、そのあたりが原因のひとつかもしれません。それに比べると自分の感覚として、歩きはじめるのにエネルギーはほとんど必要としません。なので路地の奥にある店に寄り道し、買い物をしたりするようにもなりました。

IMG_2637

これまでは鉄道駅やバス停留所まで最寄駅から目的地まで離れている場合などに、必要に迫られて歩くというパターンが多かったので、徒歩にはネガなイメージを持っていました。しかし最初から徒歩で移動と決めていると、それは散歩やハイキングに近いもので、仕方なく歩いているという気分にはなりません。これは新しい発見でした。

自宅から取材や打ち合わせ先に直行・直帰する場合も多く、急いでいるときもあるので、毎日徒歩移動しているわけではありませんが、移動の種類がひとつ増えたという感覚になったのは事実です。新型肺炎の感染は多くが乗り物や病院など密室の中で発生しているようなので、徒歩移動は感染を遠ざける手段のひとつにもなるのではないでしょうか。

IMG_2625

歩いて暮らせるまちづくりというと、マイカーに頼らない、公共交通を活用した生活を指すことが多いですが、表現のとおり、鉄道やバスを降りて歩くことが大事であることがわかりました。沿道の店を利用することが多くなり、それがまちの賑わいにつながると実感したからです。同じ距離を時間をかけて移動する分、同じ距離から得られる情報の多さは圧倒的です。今後も時間を見つけて徒歩移動を組み込んでいきたいと思っているところです。