毎年春に開催されるジュネーブモーターショーが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で中止になったことは前回触れました。ここで公開予定だった新型車の多くはオンラインで公開されましたが、その中で自動車業界のみならず、モビリティ分野の人々も注目している車種があります。昨年自動車づくりを始めて100周年を迎えたフランスのシトロエンが発表した電気自動車「アミ(Ami)」です。

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シトロエンは1960〜70年代の小型車にこの名前を使ったあと、昨年のジュネーブモーターショーでアミワン・コンセプトと名付けたプロトタイプを発表しており、今回発表したアミは量産型になります。全長2.41m、全幅1.39mというコンパクトサイズ、車体前後や左右のドアを共通としたデザイン、ボディをグレーのみとしてアクセントカラーで個性を演出するコーディネートなど、見た目も個性的ですが、超小型モビリティのカテゴリーに属することも注目です。

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欧州の超小型モビリティにはL6eとL7eがあります。L1e〜L5eは2輪車や3輪車となっているので、2/3輪車の延長と考えているようです。軽自動車ベースの認定制度とした日本とは考え方が大きく違います。最高出力や最高速度はL7eが上ですが、代わりに45km/h以下、6kW以下のL6eは運転免許不要で、フランスでは14歳以上、それ以外の多くの欧州諸国でも16歳から運転可能です。アミもこのL6eなので多くの人がドライブできるようになっています。

シェアリング、長期レンタル、購入の3つの乗り方が選べることも画期的です。カーシェアの料金は1分あたり0.26ユーロで、レンタルは最初に2,644ユーロを払うと、その後は月19.99ユーロで利用できる定額制です。販売価格も6,000ユーロからと安価です。申し込みはすべてオンラインで、家電量販店で実車を見たりテストドライブしたりできるそうです。

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実は日本でも超小型モビリティについて動きがあります。昨年秋の東京モーターショーでは複数の企業がコンセプトカーを出展しましたが、その前から国土交通省では新しいルールについて検討を進め、今年2月に公表しました。概要はウェブサイトに出ており、明日までではありますがパブリックコメントを受け付けています。



資料によれば、全長2.5m、全幅1.3m、全高2mを超えない、最高速度60km/h以下の軽自動車について、前面衝突は衝突速度を40km/hとし、横滑り防止装置を義務付けることで側面衝突基準を適用しないなどとあります。これまでは衝突時の乗員保護や歩行者保護などについて、構造要件を満たしていれば衝突試験が免除されていたので、ルール改定によって公道を走れなくなる車両が出てきそうです。欧州のL6e/L7eも衝突試験がないので、シトロエン・アミが日本の道を走るのは難しいと予想しています。

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既存の自動車に近い性能を与えようとする日本と、多くの人に移動の自由を提供しようとするフランス。同じ超小型モビリティでここまで考え方の違いがあることに驚かされましたが、シトロエン・アミは3種類の乗り方を用意したことを含めて、移動をもっと自由にしていきたいという思想が一貫しています。そのあたりが多くのモビリティ関係者に評価されているのではないかと思っています。