新型コロナウイルス感染拡大防止のために厳しい外出規制を実施していた欧米諸国が、ここへきて規制緩和の動きを始めています。感染をある程度抑え込めているというのが理由ですが、それでも1日の死者数は米国が1200人以上、英国が600人以上です。民族性の違いを実感するとともに、約2か月規制しても収束不可能なので経済対策との共存を目指したとも考えられ、出口戦略には程遠いと理解しています。

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注目はその中で、いくつかの都市が道路の再配分に乗り出していることです。最初の3枚のイラストは以前このブログでも紹介した米国オレゴン州ポートランドの交通局が発表した「スローストリート/セーフストリート・イニシアチブ」です。現時点でオレゴン州は外出規制を続けていますが、今後の市民の交通行動の変化を見据え、いくつかのプランを提示しています。

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生活道路では市民の憩いの場を提供すべく、一時的にバリケードを設置して地元住民以外の自動車の通行を制限し、比較的にぎやかな通りでは感染防止のために歩道を拡大。イラストにはないですが自転車レーンの設置も進めていくとのことです。そしてビジネス街では交差点近くの歩道を拡大して歩行者間の距離を維持するとともに、物流のための専用ゾーンを設けていくとのことです。

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一方フランスでは、パリを中心とするイル・ド・フランス地域圏で、RER Vと名付けた広域自転車レーンネットワークの整備が決まりました。もともとこの地域圏で運行していた近郊電車ネットワークRERをモデルに、自転車を意味するveloの頭文字を加えたものです。現地の自転車愛好家からは「コロナピスト」(ピストは日本では自転車の種類として使われますが本来はトラック/競技場という意味です)と呼ばれています。
 
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この動きに対応するように、パリでは5月11日に予定される国の規制緩和に合わせ、ルーヴル美術館の北側を走るリヴォリ通りを歩行者・自転車専用道に切り替える予定です。リヴォリ通りは自分も何度も通ったことがある道なので大胆な決断に驚きましたが、パリではここを含めて50 kmの自転車レーンを新たに追加し、市境のパーク&ライド駐車場を2倍に増やすなどの対策を進めていくとのことです。

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これ以外にもポートランドと同じ米国のニューヨークでは公園の混雑緩和のために市内約100マイルの道路を歩道化するそうで、イタリアのミラノでは約35kmの道路の自動車用車線を減少し、その分を歩道の拡幅や自転車レーン設置に活用していくとのことです。
 
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公共交通での感染を警戒してマイカー移動が増えるという予想があります。しかしそれは、都心の荒廃や大気汚染を防ぐべく公共交通回帰を進めた欧米の都市にとっては後戻りになるわけで、それだけは避けたいという気持ちが、短距離移動を徒歩や自転車に移行してもらいたいという姿勢になっているのでしょう。さらに自転車については、欧米でも電動アシスト(e-bike)が増えて長距離移動が楽になったことも関係していると思っています。