国土交通省が昨日、新型コロナウイルスの影響を受けているレストランやカフェなどを支援する緊急措置として、路上でテイクアウトやテラス営業などのサービスを提供する際の許可基準を緩和すると発表しました。

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緊急事態宣言は解除されたとはいえ、飲食店ではいわゆる「三密」を防ぐために、席を離したり間引いたりという対策を強いられています。収入減は確実です。そこで対策のひとつとして、路上に席を置いたりテイクアウトを提供したりしやすくすべく、今回の緩和に行き着いたようです。同様の取り組みは少し前から仙台市や佐賀市などで社会実験などの形で行っており、それを全国展開した形です。
道路占用許可緩和
国土交通省 = https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/senyo/senyo.html

日本でこれまで飲食店の路上利用ができなかったわけではありません。しかし原則として道路管理者(国道事務所や都道府県土木事務所など)の道路占用許可、警察の道路使用認可、地方公共団体の食品営業許可の3つが必要でした。とりわけ警察の認可は他の分野を見る限り、個々の飲食店が申請を出すにはハードルが高かったと想像しています。

それが今回は、地方公共団体や協議会などが個別の飲食店の要望を受けて一括申請すれば、許可基準が緩和されるそうです。資料の中には警察庁交通局と調整済みという文言もあります。地方公共団体にも取り組みを要請という言葉もあり、積極的な姿勢が伝わってきます。しかも周辺の清掃などに協力をしてもらえれば占用料は免除、つまり無料という特典もあります。

空間については原則として、歩行者が多い場所では3.5m以上、その他の場所では2m以上を確保したうえでの設置とあります。期間は11月末までとなっていますが、12月以降は今回の実状を踏まえて検討としてあり、延長の可能性もあります。地方の財政を考えれば、占用料は地域の裁量に委ねたうえで有料が妥当と考えますが、申請の簡略化は続けてほしいところです。

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オープンカフェというとまず思い出すフランスのパリは、路上営業はパリ市が管理しており、ルールを守れば奨励という立場を取っていますが、料金は有料で、シャンゼリゼなどの大通りに行くほど高くなります。歩行空間は1.6m以上あれば良いとのことですが、景観や音を含めて周囲の環境を妨げないというパリらしいルールもあります。こうして見ると今回の国交省の緩和措置はかなりフレンドリーな内容だと思います。

となると問題は、オープンカフェを展開できるだけの広いスペースがあるかどうかです。やはりまちづくりが絡んでくるわけです。たとえば富山市のように、歩いて暮らせるまちづくりを目指し、公共交通の整備を進めながら歩道を広くとる整備を進めてきた都市であれば、今回の緩和をすぐに受け入れ、展開できるでしょう。それが都市の価値を上げることにもつながります。

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少し前のブログでは、欧米の都市がコロナとの共存を見据え、歩行者や自転車を重視したまちづくりを進めていることを書きました。今回の国交省の発表が、この路線に通じる方向であるのは興味深いと感じています。