1日の乗降客数が約380万人に達し、世界一利用者が多い駅としてギネスブックにも認定された東京のターミナル新宿駅。ここで再開発が始まろうとしています。すでに今年7月には東口と西口をつなぐ地下通路が開通しましたが、将来はホームの上にも自由通路が用意されるとのことです。現在レストランやショップが多く入る地下街も作り変えられるそうです。

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東口と西口の再開発も進みます。特に激変するのは西口で、昔は淀橋浄水場があるぐらいでしたが、1960年に副都心計画が決定し、地下広場、小田急百貨店、京王百貨店が作られるとともに、浄水場跡地には京王プラザホテルを皮切りに高層ビルが次々に作られていきました。甲州街道の宿場町から発展していった東口とはまったく異なる歴史を持つことが特筆されます。

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完成当時は日本でも群を抜く未来的な街並みだったことでしょう。しかし開発から半世紀が経過した今感じるのは、良くも悪くも高度経済成長時代の名残を色濃く感じる場所であり、再開発は必須だと感じています。ということで2016年に新宿駅周辺地域まちづくりガイドラインが策定され、プロジェクトがスタートしました。

すでに旧富士重工業のスバルビルは2019年に姿を消していますが、今後も小田急百貨店や新宿ミロードの場所が地上48階建の高層ビルに生まれ変わるなどの計画があります。一方駅前広場は2層構造で、現在は上下どちらにもマイカーが乗り入れていますが、再開発後は地上は歩行者と公共交通だけ、地下は次世代モビリティが乗り入れる構造になると示しています。

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新宿区の新宿駅周辺都市計画の資料 = https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000266483.pdf

新宿の近くには渋谷、池袋という同規模のターミナルがあり、新宿に先駆けて再開発が進んでいます。方向性は対照的で、渋谷は駅周辺に複数の高層ビルを林立させているのに対し、池袋は公園や文化施設が多くなっています。いずれも従来のまちづくりからの脱却を目指しているように感じます。対する新宿駅西口の再開発は、デッキ、地上、地下の3層からなる構造を生かそうとしていることが目立ちます。



だからこそ望みたいのは、文化的な面での新宿らしさを失わないでほしいことです。以前東洋経済オンラインで記事にしたように、新宿駅西口には副都心の誕生に合わせてオープンした老舗のカフェが複数ありますが、最近は閉店となったところがいくつかあります。そして先月は地下にあるメトロ食堂街が閉館となりました。

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新宿は銀座ほど洗練されてはいませんし、渋谷ほど若さにあふれているわけでもありません。ただこの街はメトロ食堂街が象徴していたように、雑然とはしているけれど名店ぞろいで気軽に利用でき、不思議と落ちつける店が多いのも事実です。今後の再開発に際しても、そんな新宿らしさを継承していってほしいと願っています。