新型コロナウイルスの影響で移動が制限されたり、移動の機会が減少したりする状況が続いていますが、一方でウィズコロナを見据えた新しいモビリティサービスも生まれています。そのひとつがニアミー(株式会社NearMe)が展開する「スマートシャトル」です。

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ニアミーという名前を初めて目にした人もいるでしょう。2017年に東京で創業した同社はまず、タクシーの稼働率を上げるべく利用者と車両をマッチングするプラットフォーム提供を開始しました。日本の法律では、タクシー事業者による乗合(相乗り)は許可されていません。そこでニアミーでは旅行会社としてタクシーに乗りたい人を事前にマッチングし1台に乗ってもらう形をとりました。

続いてこのプラットフォームを使い、成田空港と都内15区の指定場所を結ぶ空港シャトルをスタートします。ところがコロナ禍で空港需要が止まります。この状況を見て同社は空港向けの仕組みを使って公共交通の密を回避し、タクシーにも有益になる仕組みとして通勤シャトルを提案。東京都内で6月にトライアルを開始、翌月本格導入したのです。

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短期間でサービスを立ち上げ軌道に乗せただけでなく、コロナ禍で需要が減ると、逆に需要がありそうな分野に同じ技術を転用していく。ニアミーの大胆かつ柔軟な展開は以前から注目しており、代表取締役社長の高原幸一郎氏にテレビ会議で取材を行い、インターネットメディアの「ビジネス+IT」で公開しました。

そこでも一部書きましたが、その後も同社は展開を広げており、通勤シャトル導入と同時期には福岡県で、トヨタ自動車の工場と福岡空港や県内指定エリアを結ぶシャトルの実証実験を始め、7月からは空港シャトルを羽田空港および那覇空港にも導入。9月にはJAL、JTB上海、「乗換案内」でおなじみのジョルダンとの連携を次々に発表しました。今月は総額5億円もの資金調達を完了しています。



私自身は通勤電車や路線バスは感染の可能性が高いとは思っていません。現実にこの半年間利用を続けてきましたが感染はしていません。なので通勤の必要があっても通勤シャトルは使わないし、空港へは鉄道を利用するでしょう。ニアミーもJALという大量輸送サービス会社と連携しているわけですから公共交通を否定しているわけではなく、移動の選択肢を増やしているのだと理解しています。

そのなかで感心するのはタクシーという既存の交通機関を活用し、1台のタクシーに多くの人を乗せることで、以前から厳しい状況にあったタクシーの経営改善を図ろうとしていることです。さらに高原社長は取材で、今後は日々の移動に困っている地方の高齢者にもスポットを当てていきたいと語ってました。この点にも期待を寄せています。

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地方はタクシー会社があっても数台というところが多く、移動者の生活サイクルは似ているので利用が集中しがちという話を聞きます。1台で多くの利用者が移動できるシャトルサービスは有効でしょう。ただ逆にまったく利用者がいない時間帯が存在するのも事実であり、旅行会社としての登録なら白ナンバー車両も使えるはずなので、持ち前の柔軟性を生かした地域モビリティ構築を望んでいます。