今月、東京にまた新しい公共交通が誕生しました。その名も東京BRTです。以前から東京五輪パラリンピックの観客や関係者の移動、大会後は選手村が一般向けに分譲および賃貸される晴海地区などからの通勤通学の足として以前から計画されていたものです。先日一部区間に乗ってきたので、今後の展望を含めて取り上げます。

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オフィシャルサイトを見ていただければ分かりますが、今回走りはじめたのはプレ運行(一次)であり、運行区間は虎ノ門ヒルズと晴海BRTターミナルの間で、途中のバス停は新橋および勝どき BRTとなります。オフィシャルサイトによればこのあと東京五輪パラリンピック終了後にプレ運行(二次)に切り替わり、2022年度以降に本格運行に移行予定としています。

本格運行まで時間が空いている理由のひとつは、途中の汐留や築地地区を通過するトンネルが、築地市場の豊洲市場への移転を東京都知事が一時期凍結した影響で工事が遅れており、開通予定が本格運行と同じ2022年度となっているためでしょう。さらにBRTの意味はバス高速輸送システムであり、速達化のための環境整備に時間がかかるためもあると考えています。

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東京BRTオフィシャルサイト = https://tokyo-brt.co.jp

運行開始直後に乗った印象をひと言でいえば、停留所の少ない路線バスです。新開発の国産連節バスや燃料電池バスが配備され、停留所を含めてトータルデザインが施されている点は目立っており、停留所の間隔が地下鉄並みに長いので少し速いと感じますが、それ以外は大都市の道路を乗用車やトラックに混じって走る他の路線バスと同じで、BRTのR、つまりラビッド(速い)と呼べるレベルにはありません。

新橋バス停がJRや地下鉄の新橋駅から離れており、汐留に近い場所にあることも気になりました。新橋駅での乗り換えで東京BRTを使う人は、乗り換えに時間がかかることを頭に入れておいたほうがいいでしょう。上で記したトンネルの開通後は、虎ノ門ヒルズから勝どきBRT西側の築地大橋までトンネルで直行できるはずですが、残念ながらトンネル内にバス停は設置されず、本格運行後も一旦地上に出るようです。

となるとやはり、海外ではBRTの前提条件のひとつになっている専用レーンを期待したいところですが、東京BRTのオフィシャルサイトではBRTについて、連節バスの採用、走行空間の整備等により路面電車と比較して遜色のない輸送力と機能を有し、定時性・速達性を確保したバスをベースとした交通システムと書いており、走行空間の整備の具体的な内容には触れていません。

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東京都都市整備局のオフィシャルサイトにも、東京BRTについての記述があります。こちらでは本格運行時には全扉での乗り降りを図るとともに(信用乗車方式)、交差点でBRTの通過を優先させる公共車両優先システム(PTPS)等の導入を目指すと書いていますが、専用レーンや優先レーンについての言及はありません。PTPSも日々進歩していることは理解できますが、専用レーンや優先レーンに比べれば速達性の効果は限定的です。

プレ運行(二次)では晴海BRTターミナルから豊洲まで延伸されるとともに、勝どきBRTから豊洲市場、有明テニスの森、国際展示場を経由して東京テレポートに向かうルートが新設されます。本格運行後もこの2つの路線がメインになります。つまり東京メトロやゆりかもめと競合することになります。道路が空いていればBRTの名のとおり速達性が確保できるでしょう。しかし渋滞で遅れることもあるので定時性は難しそうです。

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まして現在は新型コロナウイルスの影響で都内の自動車交通量は増えていると感じており、この状況が続けば渋滞による遅延が恒常化する可能性もあります。なので現時点では湾岸地区を走るバスの新路線という認識であり、海外のBRTとは大差があると言わざるをえません。ただし事業者自身プレ運行と称しているので改善の余地は残っているはずであり、真のBRTに向けた動きが出てくることを期待しています。