第2次世界大戦前から戦後にかけて、「オート3輪」の呼び名とともに日本の物流を支えた3輪自動車が、ここへきて地域輸送に投入されはじめています。タイのトゥクトゥクなど東南アジアや南アジアで見られる3輪タクシーを電動化したような成り立ちで、グリーンスローモビリティへの登録を見据えているのか、最高速度を20km/h未満としていることも特徴です。

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先日乗りに行ったのは、富山県の氷見市まちなか回遊促進モビリティ「ヒミカ(HIMICA)」と射水市新湊地区の新たな地域公共交通「べいぐるん」です。富山がモビリティ感度の高い地域であることを改めて教えられます。電動3輪車を使うことは同じですが、ヒミカは観光客向けレンタカー、べいぐるんは平日は地域住民向けオンデマンド交通、休日は主として観光客向け定時定路線運行とした点が異なります。

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ヒミカの車両は富山市の光岡自動車が販売している物流用電動3輪車「Like-T3」を乗用にコンバート、べいぐるんの「立山」はインドの3輪タクシーをベースに富山市のアール&スポーツ ディベロップメントが電動化したもので、いずれも地産地消型モビリティと言えます。なお立山のほうは、実証運行終了後は車体を延長して乗車定員を3人から4人(運転手を除く)に改造するそうです。

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ヒミカは自分で運転、べいぐるんは乗客として利用という違いはありましたが、共通して言えるのは、狭い道が多い市街地を巡るのに超小型の3輪自動車はとても適していることです。Like-T3のボディサイズは2485x1075x1575mmと軽乗用車よりさらにひとまわり小柄で、最小回転半径は2.3mと軽乗用車の約半分にすぎません。

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4輪車に比べればたしかに安定性は劣ります。とはいえ最高速度が20km/h未満に抑えられているうえに、前面窓や屋根、シートベルトが装備してあるので、トライクに比べれば安全と言えます。逆に20km/h未満しか出ないことを気にする人がいるかもしれませんが、幹線道路を避ければ交通の妨げにはならず、狭い路地ではむしろ遅いことに好感を持たれるのではないかと感じました。

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一方車両の開発や運行を担当する側のメリットとしては、開発費や維持費の安さがあります。道路運送車両法ではどちらも側車付2輪車(ヒミカは軽2輪、べいぐるんは小型2輪)登録であり、保安基準は軽自動車ほど厳しくはなく、税金も安くなります。電動車両なのでランニングコストも抑えられます。それでいて道路交通法では普通自動車となるので、2輪免許がなくても運転できます。

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3輪車が4輪車より優遇されるのは日本に限ったことではありませんが、我が国は乗り物全般について厳しいルールがある中で3輪車は例外的であり、安全面で問題がないなら再注目して良いと考えています。気になる方は海の幸を味わうついでに乗りに行ってはいかがでしょうか。ただしヒミカは12月~3月初旬は冬季休業、べいぐるんの実証運行期間は11月29日までですのでご注意ください。