2020年最後のブログになります。今年はなんといっても新型コロナウイルス感染拡大で多くの人々が影響を受けました。モビリティ分野も例外ではなく、多くの人が外出を控え、テレワークで通勤需要が減ったなどの理由により、公共交通は利用者が激減。当然ながら経営難に陥っている事業者は増えており、タクシー業界では廃業したところさえあります。

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ではどのぐらい打撃を受けているのでしょうか。インターネットメディア「ビジネス+IT」で、路線バスをテーマとした記事を書く際に参考にさせていただいたのが、一般財団法人 地域公共交通総合研究所の代表理事で、岡山県を中心に交通事業を幅広く展開する両備グループ代表を務める小嶋光信氏が11月26日に発表した調査結果です。バス・鉄軌道・旅客船事業に従事する124社が回答というところからも、信頼のおける内容であると思っています。



一部を紹介すると、2020年4~9月で約半数にあたる52%の企業が前年度比で30~50%の輸送人員減少となっており、22%の企業は50~70%、13%の企業は70~90%という壊滅的な減少に見舞われているとのこと。もちろん売上金額も減少しており、結果として9月までに11%が債務超過に転落しており、剰余金を半分以下に減らした企業も39%存在するそうです。

岡山駅前で待機する路線バス

このまま政府などからの補助や支援が得られない場合、19%の企業で今期中に経営維持が困難になり、31%は来期中に経営維持が難しくなるという回答が寄せられました。ただし事業者はすべてを政府に頼る姿勢ではなく、自身の企業努力も行うことを基本とし、そのうえで公的支援を受けながら、公共交通を守るスタンスと報告しています。いずれにせよ国内の公共交通は多くが危機的状況にあることは間違いありません。

この発表が契機になったかどうかはわかりませんが、国も動き始めています。国会では今月2日、改正交通政策基本法が賛成多数で可決、成立しました。人口の減少や大規模災害、コロナに代表される感染症の流行などを踏まえ、公共交通の機能を維持するために国が支援することを明記しています。また15日に閣議決定された第三次補正予算には、国土交通省が緊要な経費として要求した「ポストコロナを見据えた地域公共交通の活性化・継続」が盛り込まれました。



こうした政策によって地域交通の運営が維持されることを期待しますが、一方で以前も書いたように、現状の経営方法では限界に来ていることも実感します。JR東日本が終電繰り上げを発表する際に「需要は元には戻らない」と発表したことは納得できるところであり、欧米のように公共交通は原則として1地域1事業者として税金や補助金で支える経営に切り替える、つまり公立学校や図書館と同じような体制への転換を望みます。
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もちろんその中で経営努力をしていくことは大切ですが、ベースとしての資金が安定していれば車両やインフラのバージョンアップ、自動運転やMaaSなどのテクノロジーの導入がスムーズにいくはずで、乗務員の待遇改善もできるでしょう。写真はフランスの小都市オルレアンのLRTとアンティープのバスです。このように欧州の公共交通は地方であっても美しく、乗りたいという気持ちの原動力になります。

南仏アンティーブの路線バス

コロナ禍では郊外や地方への移住が進んでいます。東京都の人口は今年6月から6か月連続で減少しています。ではどこに移り住むのでしょうか。これも以前ブログで触れたことですが、大都市で暮らしてきた人々は公共交通での移動が習慣になっているので、街選びの段階でもそのあたりの利便性を重視する可能性は十分にあります。いまこそ地域交通が重要であると考えています。

*次回の更新は2021年1月9日となります。良いお年をお迎えください。