レイルウェイ・デザイナーズ・イブニング(RDE)という集まりを知っているでしょうか。鉄道に関わりながら専門分野の違うさまざまなデザイナーが一堂に会し、所属や役職を超えて交流しながら、総合的視点で鉄道の未来を思考する夕べのことであり、これを提供する活動グループのことです。
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奇数年は千葉市の幕張メッセで開催される日本の鉄道技術の祭典「鉄道技術展」で、偶数年は単独でRDEフォーラムを開催し、鉄道デザインの重要性をアピールしてきました。昨年は新型コロナウイルス感染拡大で開催が危惧されましたが、継続が大事であるという方針から、感染対策を徹底し、形式を変え、人数を限定することで、12月上旬に東京都の日本鉄道車輌工業会で開催。今年2月には、これまでの活動などをまとめたオフィシャルウェブサイトが開設されました。

これまで何度か聴衆として参加していた私は、昨年のRDEフォーラムにはゲストスピーチをさせていただいたうえに、フォーラム全体のレポートも担当させていただきました。こちらもサイトで読むことができますので、興味がある方は見ていただければと思いますが、3時間以上にわたる長丁場の中で、多くの参加者から語られ、個人的にも印象に残ったのが、量から質への転換という提言でした。

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高度経済成長時代の鉄道は大量輸送が基本であり、機能性や合理性、生産性の向上がデザインの基本となっていたそうです。しかしそれは、人口も所得も右肩上がりという時代の話であり、人口減少に加えてコロナ禍で移動そのものが減少し、一極集中が一段落しつつある今後は、発想の転換が必要という意見がいくつか出されました。その中で提示された方向性が、量から質への転換でした。

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以前JR東日本の言葉で紹介したように、鉄道事業者は感染収束後も利用者の行動様式は元に戻ることはないと認識しています。たしかにテレワークやネットショッピングが衰退するとは思えず、東京への一極集中も緩和しつつあります。それに合わせて単純に運行を減らせば経営が厳しくなるわけで、付加価値を与えることで利用してもらいつつ収益を上げることが重要だと考えます。

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ここではRDEフォーラムで私が紹介した欧州での実例をいくつか写真で紹介しますが、先週の前橋市での講演でもこの話題を取り上げました。そこではわが国で広まりつつある具体例として通勤ライナー、通勤シャトル、MaaSを紹介しました。

通勤ライナーはコロナ禍を受けて増発に踏み切ったり、新規導入を検討したりする事業者が目立っています。通勤シャトルは以前ここで紹介したニアミーが展開地域を広げています。利用者の側がサービスの質を重視している証拠でしょう。MaaSは複数のモビリティを連携させ移動を快適にするだけでなく、鉄道や駅の混雑状況を知らせるなど多彩なサービスが可能であり、こちらも移動の質を高める役割を果たします。

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いずれにおいても言えるのは、デザインが大切だということです。料金を払ってでも乗りたくなる、使いたくなる存在が理想でしょう。私はデザイナーではないので実際に形や色を作り出すことはできませんが、国内外の素晴らしい事例を紹介するなどして、量から質への転換をお手伝いしていければと思っているところです。