新型コロナウィルス感染症の影響で1年延期された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が7月23日に始まりました。開幕直前に無観客での開催が決まったので、鉄道の深夜運行はなくなりましたが、道路の規制は予定どおり行われています。東京在住の私も、さまざまな乗り物で道路を移動しながら、状況の変化を感じています。

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この話題についてはインターネットメディア「ビジネス+ IT」で記事にもしましたが、一連の交通規制は選手をはじめとする関係者の移動のためで、観客の有無は関係ありません。東京23区で生活や仕事をしている人なら、都内のスポーツ観戦はほとんどの人が公共交通を使うでしょう。なので無観客になっても交通規制が予定どおり行われたのは当然だと思っています。



しかも多くは事前に発表されています。私は一年半前に自動車専門メディア「MOTA」で、偶然にも同じテーマの記事を書いていますが、そのときすでに、2019年夏に本番を想定した実験が行われたものの結果が思わしくなかったので、首都高速道路料金の1000円上乗せが決定されたことなどを書いています。

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首都高速を関係者の移動に使うことは賛成であるとも書きました。自動車専用道路なので警備が楽になるうえに、コロナ禍では沿道の観客の三密を回避できるメリットもあります。とはいえ全面通行止めをする必要はないと思っていたので、エッセンシャルワーカーのための車両の料金は据え置き、マイカーなどだけ1000円上乗せとした判断にも納得しています。

1000円上乗せが始まった初日には、メディアで並行する一般道路が渋滞している様子が報じられました。しかし私がよく使う、首都高速4号新宿線が上を通る国道20号線では、いつもより空いている日もあったほどです。渋滞している道路を探し出して騒ぎを大きくしようという恣意的な報道であったことは、その後が続いていないことで明らかです。



それより注目すべきは、常磐自動車道など首都高速につながる高速道路の一部で車線規制が行われ、連日大渋滞になっていたことです。これも事前に決まっていた、本線料金所のゲート制限の混乱を防ぐためかもしれませんが、車線規制のない高速道路もあるのに、そちらで混乱が起こっているわけではありません。渋滞を作るための車線規制とも言えるわけで、なぜこれがニュースにならないのか不思議です。

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一般道路の規制も、多くが事前に発表されていました。しかしこちらは中途半端な対応が目につきました。専用レーンや優先レーンを示すピンクのラインは、早くも一部がかすれていたうえに(一部はその後塗り直していますが)、見えにくい場所にある標識もありました。既存の観光バスやタクシーを使った関係者用車両は、それを示すステッカーが驚くほど小さく、瞬時には判断できませんでした。

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専用車両はすべて独自のラッピングを施すなどして、ひと目でわかるようにしたほうが良かったのではないでしょうか。そうすれば多くのドライバーやライダーは進路を譲るはずなので、ピンクのペイントや追加の道路標識は必要なかったはずです。都市交通に関わるデザイナーが担当すれば、はるかにスマートに仕立てたと思いますし、実際に好ましい実例を見てきているので、これを今の東京のデザインレベルと判断されるのはとても残念です。