今週木曜日、東京都と埼玉県で震度5強を記録する地震がありました。公共交通では新交通システム日暮里・舎人ライナーの脱線以外は大きな被害は出なかったようですが、地震直後は鉄道のストップや高速道路の通行止めが相次ぎ、翌朝も一部の鉄道で減速運転などが行われ遅れが生じました。幸い私の自宅および事務所に被害はなく、翌日からいつもの生活に復帰しています。

地震発生が23時近くという遅い時間だったため、当日夜はいわゆる帰宅難民が発生し、翌朝は一部の駅で長蛇の列ができました。これを問題視した報道も一部にあったようですが、あれだけの地震があった直後は、一般家庭であっても各部の点検を行うはずで、非常時であっても交通事業者に平常運転を強いる言動には違和感を覚えました。

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一方で好感を抱いたのは、シェアサイクル(いろいろな呼び方がありますがこの言葉を使います)を活用した人がいたことです。東京都などで展開するドコモ・バイクシェアでは、地震発生直後から東京都心部のポートで自転車がなくなり、多くが住宅地のポートに移動しました。サイクルシェアの存在を知っていたかどうかで、当日の動きに大きな差が出たわけで、日頃から地域交通の情報収集をしておくことが大切だと痛感しました。

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このブログでもドコモ・バイクシェアについては何度か触れており、不満点も書いてきましたが、アプリはバージョンアップして電動アシスト自転車のバッテリー容量が確認できるようになり、東京23区での展開は12区に及ぶなど進化している部分もあります。理想を言えば他の事業者との乗り入れを可能にしてほしいところですが、こうした進化を見て「使える」と思い、乗り始めた人もいるでしょう。

しかもドコモ・バイクシェアは地震翌日、地震発生から翌朝5時までの間に利用を開始した料金について、基本料金を除く延長料金を無料とするという支援策を発表しました。恩恵を受けた利用者は、この先似たような状況になったときもここのサービスを思い出すはずで、普及や定着を促すというという点でも好ましいメッセージだと思いました。

2021-10-09 16.53
ドコモ・バイクシェアのニュースはこちら

10年前の東日本大震災のときには、都内にはまだシェアサイクルがなく、一部の人が自転車販売店に駆け込んで購入するという動きがありました。しかしその自転車は多くが一時利用であったはずで、売却に困った人もいるでしょう。そういう意味でシェアリングはありがたいサービスです。とはいえ台数には限りがあります。モビリティシーンに限らず、災害に備えて個々の判断力や対応力を磨いておくことが重要になりそうです。

もちろん地震の直後なので、道路に亀裂が入っている可能性もあります。利用の際には注意してほしいところです。それに他の災害、たとえば台風の時はシェアサイクルは向きません。状況に応じて動く、留まるを瞬時に判断したうえで、動くときには最適な乗り物を選ぶ力を身につけることも大事になるでしょう。そんな状況を踏まえたうえで今回、シェアサイクルを選択をしたことが多数いたことは、好ましい傾向だと感じました。